1. m3.comトップ
  2. キャリアデザインラボ
  3. ノウハウ
  4. コラム
  5. メリットばかりではない?医師の不動産投資、落とし穴とはー知らなきゃ損?!Dr大見の資産形成塾(5)
コラム

メリットばかりではない?医師の不動産投資、落とし穴とはー知らなきゃ損?!Dr大見の資産形成塾(5)

2017年7月31日

大見貴秀(おおみ・たかひで)
前回の記事でわたしは「不動産投資が医師の資産形成として相性がよい」と述べました。その認識は変わりませんが、あくまで投資である以上、不動産投資にもリスクはあります。今回はわたしが不動産投資を行って、感じた4つのメリットと3つのデメリットを詳細にお伝えしたいと思います。

医師が行う不動産投資 4つのメリットとは?

1.専門的な知識を必ずしも必要としない

前回お伝えした内容とも重複しますが、専門的な知識がなくても運営しやすいというのが、不動産投資の最も優れたポイントだと思っています。もちろん不動産投資を始める際にはある程度の知識が必要となりますが、一番手間のかかる物件の管理や入居者の募集は不動産管理会社が代行してくれますし、確定申告や現在の不動産物件の運営状況などの評価、繰り上げ返済の効果やデメリットといった税務や融資に関する知識も、税理士を雇えば、すべてを把握する必要はありません。

株やFXは、専門的な知識がないと資産を目減りさせてしまう可能性が常について回る一方で、不動産投資は“知識が最低限でも問題ない”という点がポイントだと思います。

2.生命保険の代わりになる

不動産投資を行うために融資を受けて物件を購入すると、たいていの場合、「団体信用生命保険」に加入することとなります。団体信用生命保険は融資の返済中に借受人(融資を受けた人)が死亡、もしくは高度障害の状態になってしまった時に、残債が消滅する制度のこと。自宅の購入の時に加入することもあるため、ご存知の方も多いのではないでしょうか?団体信用生命保険に入っておけば、たとえご本人が死亡してしまったとしても、残債がない状態で家族に不動産物件を引き継ぐことができ、 実質的に生命保険のような使い方ができます。このように死亡後の家族の生活をある程度、保証することができるのも不動産投資のポイントの一つです。

3.医師は融資を受けやすい

こちらも前回記事でお伝えした内容になりますが、医師と不動産投資の相性がよい理由は、金融機関からの融資が非常に受けやすいことが挙げられます。一定の収入を安定的・継続的に稼ぎやすい医師という職業は、金融機関からの評価(「属性」といいます)が高く、高額の融資を受けやすいのが特徴です。株やFXなどは、ある程度の自己資金がないと大きなリターンは望めませんし、株やFXへの投資目的で融資を受けられることはほとんどないでしょう。しかし不動産投資の場合、「属性」のよい医師という立場があれば融資が非常に受けやすく、レバレッジ(他者の資金で投資を行い、自己資本を増やすこと)をかけて資産を形成していくことができます。

4.ある程度のゆとりが持てる

不動産投資を始めたばかりのうちは、不動産投資に慣れるためにある程度忙しくなります。しかしある程度慣れて、運営に余裕ができたら生活のゆとりを持つことができます。特に不動産投資では毎月家賃として安定的な収入を得られます。医師は多忙な職業でストレスも多いですが、医業以外で副収入ができることで生まれる心にゆとりは大きなものだと思います。

 医師が行う不動産投資 3つのデメリットとは?

1.ローンの返済が発生する

不動産投資において、「自己資金一括」で物件を購入することはほとんどありません。というのも、自己資金だけで購入してしまうと、不動産投資のメリットであるレバレッジを手放してしまうことになるためです。ある程度の自己資金を入れつつ、残りの金額を融資で賄うというパターンが最も多いでしょう。融資を受けるともちろん、月々の元本と利息の返済が必要になります。万が一、不動産物件の入居率が低下してしまったら、月々の給与や貯蓄から返済分を返さなければならず、精神的な負担にはなり得るでしょう。

2.自分の力ではどうにもならないことも多い

不動産物件の運営は自分の努力だけではどうにもならないことも多いです。例えば入居者の退去するタイミング、予想外の出来事による修繕の発生、入居者間のトラブルの発生など。突発的な出来事も多く、ハラハラすることもありますが、これらの対処は主に専門知識を持っている、管理会社が行うため、そこまで大きな負担にはなりません。退去も修繕も必然的なものなので、過剰な心配はいりませんが、慣れるまではストレスになることもあるので、考慮しておくと良いでしょう。

3.資産の流動性が低い

不動産物件は土地と建物を含めて、価値のある「資産」であり、融資で負債を負っているとしても、不動産物件自体の価値はなくなりません。しかし不動産には、現金や株式と比べて、「資産の流動性が低い」という特徴があります。資産の流動性とは、現金に換えるための容易さのこと。つまり、株式はすぐに売却してしまうことができるのに対し、不動産は売却までに時間がかかるということです。「すぐに現金に変えることができない」という点には注意が必要で。

このように不動産投資にもメリットデメリットは当然ながら存在しますが、全体的に考えれば、「ミドルリターン・ミドルリスク」といったところだと思います。今回の内容も参考に、安易に不動産投資を行うのではなく、メリットデメリットの双方を把握したうえで、ご自身に資産形成の方法を模索してみてはいかがでしょうか。

大見 貴秀
おおみ たかひで
麻酔科医

フリーランスの麻酔科医。常勤医からフリーランス医になった時の税制の違いに驚き、日本の税制について幅広く勉強する。フリーランスの麻酔科医として就業する傍ら、資産形成を目的として様々な事業展開を行っている。医師としての活動のほか、不動産賃貸業、茶葉通販業、法人の代表取締役として活動中。フリーランスの税制、医師や高所得者の節税、医師の資産形成などの情報発信を行っている。

同テーマの記事シリーズはこちら

エムスリーキャリアは、より多くの選択肢を提供します

先生方が転職をする理由はさまざまです。

  • 現状のキャリアや働き方へのご不安・ご不満
  • ご家庭の事情や、ご自身の体力面などの事情
  • キャリアアップ、新しいことへの挑戦
  • 夢の実現に向けた準備

など、多様なニーズに応えるために、エムスリーキャリアでは全国から1万件以上の求人を預かり、コンサルタントは常に医療界のトレンド情報を収集。より多くの選択肢を提供し、医師が納得のいく転職を実現しています。

転職すべきかどうかも含め、ご相談を承っています。

この記事の関連キーワード

  1. ノウハウ
  2. コラム

この記事の関連記事

  • コラム

    病名告知…誰に、何を、どこまで伝える?

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。今回は、エピソード「侵略者」より、患者の「知る権利」「知らされない権利」に医師はどう応えるかについて考えます。

  • コラム

    「なぜ医師に?」キャリア迷子の処方箋

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。今回は、エピソード「三者三様」より、自分の意思でキャリアを歩む大切さについて考えます。

  • コラム

    ネコ、赤ん坊、代議士がケガ…誰から救う?

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「オペの順番」より、トリアージについて考えます。

  • コラム

    エビデンスだけで患者は満足できない?

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「目撃者」より、患者への寄り添い方について考えます。

  • コラム

    どうする?医療費を払わない患者の懇願

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「サギ師志願」より、医療費未払い問題について考えます。

  • コラム

    診療拒否が正当化、変わり始めた「応召義務」

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「曇りのち晴れ」より、医師の応招義務(応召義務)について考えます。

  • コラム

    ガイドラインにない“医師の仕事”実感した日々

    ドクターと医学生の交流を目的とし、将来の選択肢を増やすためのイベント「Doctors’ Style」の代表を務める正木稔子先生。今回は、医師が“命”に寄り添うことについて語ります。

  • コラム

    患者からの怒り、どう受け止める?

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「復しゅうこそわが命」より、患者から理不尽な怒りをぶつけられた時の対応について考えます。

  • コラム

    しがらみに縛られたキャリアの行方

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「ふたりのピノコ」より、医師の働く姿勢について考えます。

  • コラム

    医師が円満に引退するコツ

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、ストーリー「助っ人」より、医師の引退について考えます。

  • 人気記事ランキング

    この記事を見た方におすすめの求人

    常勤求人をもっと見る