大見貴秀(おおみ・たかひで)
前回の記事でわたしは「不動産投資が医師の資産形成として相性がよい」と述べました。その認識は変わりませんが、あくまで投資である以上、不動産投資にもリスクはあります。今回はわたしが不動産投資を行って、感じた4つのメリットと3つのデメリットを詳細にお伝えしたいと思います。
医師が行う不動産投資 4つのメリットとは?
1.専門的な知識を必ずしも必要としない
前回お伝えした内容とも重複しますが、専門的な知識がなくても運営しやすいというのが、不動産投資の最も優れたポイントだと思っています。もちろん不動産投資を始める際にはある程度の知識が必要となりますが、一番手間のかかる物件の管理や入居者の募集は不動産管理会社が代行してくれますし、確定申告や現在の不動産物件の運営状況などの評価、繰り上げ返済の効果やデメリットといった税務や融資に関する知識も、税理士を雇えば、すべてを把握する必要はありません。
株やFXは、専門的な知識がないと資産を目減りさせてしまう可能性が常について回る一方で、不動産投資は“知識が最低限でも問題ない”という点がポイントだと思います。
2.生命保険の代わりになる
不動産投資を行うために融資を受けて物件を購入すると、たいていの場合、「団体信用生命保険」に加入することとなります。団体信用生命保険は融資の返済中に借受人(融資を受けた人)が死亡、もしくは高度障害の状態になってしまった時に、残債が消滅する制度のこと。自宅の購入の時に加入することもあるため、ご存知の方も多いのではないでしょうか?団体信用生命保険に入っておけば、たとえご本人が死亡してしまったとしても、残債がない状態で家族に不動産物件を引き継ぐことができ、 実質的に生命保険のような使い方ができます。このように死亡後の家族の生活をある程度、保証することができるのも不動産投資のポイントの一つです。
3.医師は融資を受けやすい
こちらも前回記事でお伝えした内容になりますが、医師と不動産投資の相性がよい理由は、金融機関からの融資が非常に受けやすいことが挙げられます。一定の収入を安定的・継続的に稼ぎやすい医師という職業は、金融機関からの評価(「属性」といいます)が高く、高額の融資を受けやすいのが特徴です。株やFXなどは、ある程度の自己資金がないと大きなリターンは望めませんし、株やFXへの投資目的で融資を受けられることはほとんどないでしょう。しかし不動産投資の場合、「属性」のよい医師という立場があれば融資が非常に受けやすく、レバレッジ(他者の資金で投資を行い、自己資本を増やすこと)をかけて資産を形成していくことができます。
4.ある程度のゆとりが持てる
不動産投資を始めたばかりのうちは、不動産投資に慣れるためにある程度忙しくなります。しかしある程度慣れて、運営に余裕ができたら生活のゆとりを持つことができます。特に不動産投資では毎月家賃として安定的な収入を得られます。医師は多忙な職業でストレスも多いですが、医業以外で副収入ができることで生まれる心にゆとりは大きなものだと思います。
医師が行う不動産投資 3つのデメリットとは?
1.ローンの返済が発生する
不動産投資において、「自己資金一括」で物件を購入することはほとんどありません。というのも、自己資金だけで購入してしまうと、不動産投資のメリットであるレバレッジを手放してしまうことになるためです。ある程度の自己資金を入れつつ、残りの金額を融資で賄うというパターンが最も多いでしょう。融資を受けるともちろん、月々の元本と利息の返済が必要になります。万が一、不動産物件の入居率が低下してしまったら、月々の給与や貯蓄から返済分を返さなければならず、精神的な負担にはなり得るでしょう。
2.自分の力ではどうにもならないことも多い
不動産物件の運営は自分の努力だけではどうにもならないことも多いです。例えば入居者の退去するタイミング、予想外の出来事による修繕の発生、入居者間のトラブルの発生など。突発的な出来事も多く、ハラハラすることもありますが、これらの対処は主に専門知識を持っている、管理会社が行うため、そこまで大きな負担にはなりません。退去も修繕も必然的なものなので、過剰な心配はいりませんが、慣れるまではストレスになることもあるので、考慮しておくと良いでしょう。
3.資産の流動性が低い
不動産物件は土地と建物を含めて、価値のある「資産」であり、融資で負債を負っているとしても、不動産物件自体の価値はなくなりません。しかし不動産には、現金や株式と比べて、「資産の流動性が低い」という特徴があります。資産の流動性とは、現金に換えるための容易さのこと。つまり、株式はすぐに売却してしまうことができるのに対し、不動産は売却までに時間がかかるということです。「すぐに現金に変えることができない」という点には注意が必要で。
このように不動産投資にもメリットデメリットは当然ながら存在しますが、全体的に考えれば、「ミドルリターン・ミドルリスク」といったところだと思います。今回の内容も参考に、安易に不動産投資を行うのではなく、メリットデメリットの双方を把握したうえで、ご自身に資産形成の方法を模索してみてはいかがでしょうか。
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