1. m3.comトップ
  2. キャリアデザインラボ
  3. ノウハウ
  4. コラム
  5. 医師が円満に引退するコツ―『ブラック・ジャック』に学ぶキャリアVol.15
コラム

医師が円満に引退するコツ―『ブラック・ジャック』に学ぶキャリアVol.15

2020年9月4日

数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、ストーリー「助っ人」より、医師の引退について考えます。

体の衰えと、後輩医師の台頭

今回のストーリーには、ブラック・ジャックの恩師である山田野教授が登場します。長年、大学病院の外科を率いてきた山田野教授ですが、網膜を患って視力が衰え、手術に支障をきたすようになりました。そのため、草井助教授をはじめとする医局員たちに手術を任せ、自身は診察や診断に注力していました。ところが、草井助教授たちは山田野教授を医局から追い出そうと画策します。目が見えにくい中、無理やり手術を執刀させ、失敗したら笑いものにして辞任に追い込もうとしているのです。

困った山田野医師は、教え子のブラック・ジャックに“助っ人”になるよう頼みました。とはいえ、無免許のブラック・ジャックを医局員たちが受け入れるわけがありません。そこで、ブラック・ジャックは思いも寄らない行動に出るのです。

マンガの詳細、その後の展開はこちらから
※m3.comへのログインが必要です

安心して第一線を離れるために

医師の中でもとりわけ外科医は、体の衰えが仕事に大きく影響します。山野田教授のように、視力低下をきっかけに手術から離れるという話は珍しくありません。そうした時、力をつけてきた後輩の医師に業務を委譲し、ソフトランディングするように第一線から引退することが一つの理想型でしょう。

しかし、このストーリーでは草井助教授らが謀反を起こします。「診察や診断はまだまだ負けん!」「まだまだ働ける!」と現在の立場にこだわる山野田教授に、医局員たちは嫌気が差したのかもしれません。はたまた、山野田教授が後輩たちのケアを怠り、円満な人間関係が築けていなかったツケが回ってきた可能性も考えられます。

今回のストーリーでは、ブラック・ジャックの助太刀のおかげで、山野田教授が手術で恥をかくことはありませんでした。もともと、一般の医師から距離を置かれがちなブラック・ジャックですが、山野田教授は彼の実力を評価し、目を掛けてきました。「引退しても きみとは一生つきあっていたい」と山野田教授は語っています。

ここから導き出される一つの答えは、「部下との信頼関係」の大切さではないでしょうか。自分の体が衰え、引退を考える時、信頼できる後輩がいればスムーズに業務を委譲しやすくなります。また、仮にこのストーリーのように困った状況になっても、誰か頼りになる後輩がいれば協力を呼びかけられるかもしれません。キャリアの最終幕に備えて、心に留めておきたいテーマでもあります。

今後のキャリア形成に向けて情報収集したい先生へ

医師の転職支援サービスを提供しているエムスリーキャリアでは、直近すぐの転職をお考えの先生はもちろん、「数年後のキャリアチェンジを視野に入れて情報収集をしたい」という先生からのご相談も承っています。

以下のような疑問に対し、キャリア形成の一助となる情報をお伝えします。

「どのような医師が評価されやすいか知りたい」
「数年後の年齢で、どのような選択肢があるかを知りたい」
「数年後に転居する予定で、転居先にどのような求人があるか知りたい」

当然ながら、当社サービスは転職を強制するものではありません。どうぞお気軽にご相談いただけますと幸いです。

エムスリーキャリアは全国10,000以上の医療機関と提携して、多数の求人をお預かりしているほか、コンサルタントの条件交渉によって求人を作り出すことが可能です。

この記事の関連キーワード

  1. ノウハウ
  2. コラム

この記事の関連記事

  • コラム

    病名告知…誰に、何を、どこまで伝える?

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。今回は、エピソード「侵略者」より、患者の「知る権利」「知らされない権利」に医師はどう応えるかについて考えます。

  • コラム

    「なぜ医師に?」キャリア迷子の処方箋

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。今回は、エピソード「三者三様」より、自分の意思でキャリアを歩む大切さについて考えます。

  • コラム

    ネコ、赤ん坊、代議士がケガ…誰から救う?

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「オペの順番」より、トリアージについて考えます。

  • コラム

    エビデンスだけで患者は満足できない?

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「目撃者」より、患者への寄り添い方について考えます。

  • コラム

    どうする?医療費を払わない患者の懇願

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「サギ師志願」より、医療費未払い問題について考えます。

  • コラム

    診療拒否が正当化、変わり始めた「応召義務」

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「曇りのち晴れ」より、医師の応招義務(応召義務)について考えます。

  • コラム

    ガイドラインにない“医師の仕事”実感した日々

    ドクターと医学生の交流を目的とし、将来の選択肢を増やすためのイベント「Doctors’ Style」の代表を務める正木稔子先生。今回は、医師が“命”に寄り添うことについて語ります。

  • コラム

    患者からの怒り、どう受け止める?

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「復しゅうこそわが命」より、患者から理不尽な怒りをぶつけられた時の対応について考えます。

  • コラム

    しがらみに縛られたキャリアの行方

    数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「ふたりのピノコ」より、医師の働く姿勢について考えます。

  • コラム

    今だから思う、研修医が報・連・相できない理由

    ドクターと医学生の交流を目的とし、将来の選択肢を増やすためのイベント「Doctors’ Style」の代表を務める正木稔子先生。今回は研修医時代の失敗から学んだことについて語ります。

  • 人気記事ランキング

    この記事を見た方におすすめの求人

    常勤求人をもっと見る