数ある医療マンガの中でも、医師から絶対的な支持を集める『ブラック・ジャック』(手塚治虫)。改めて読むと、その中には現代医学でもなお解決策が出ていないような数々の「普遍的な問い」が発せられています。『ブラック・ジャック』のストーリーと、現代の医療現場を照らし合わせながら、さまざまな角度で考察する本企画。今回は、エピソード「三者三様」より、自分の意思でキャリアを歩む大切さについて考えます。
親の期待に応えられず、死を考える医師志望の青年
本エピソードの主人公は、親から医師になることを期待されているものの、高校受験に失敗し、自死すら考える青年。偶然、出会った男性に励まされますが、青年の気持ちは晴れません。親から「人一倍がんばらなくちゃ」「死に物狂いで勉強しろ!」と厳しく言われたこと、それが親のメンツのためであることを思い出し、うなだれています。
男性と別れた後、青年は多数の重軽傷者が出る事故を知り、ひょんなきっかけでブラック・ジャックに出会います。そこで、自身の考えを大きく揺さぶられる経験をして――。
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キャリアを切り拓く上で重要な「内発的動機」
主人公の青年は、急きょブラック・ジャックの手術を見学することになりました。過酷な状況の中、患者を救おうと懸命なブラック・ジャックの気迫に、青年は圧倒されます。長時間にわたる難手術のため、青年は途中で倒れてしまいますが、この経験がターニングポイントになったようです。受験の失敗で自死を考えていたことを改め、「人が生きるか死ぬか」を理解したとブラック・ジャックに打ち明けます。
その後、青年がどのような道を選んだかはわかりませんが、自分の意思によって歩み出すような後ろ姿が描かれています。
翻って医師のキャリアパスを考えると、さまざまな選択や決断の場面があります。
現実の世界でも、進学先を選ぶ基準こそ「親や親戚が医師だから」「親が勧めるから」「成績が良いから」といった外的な動機の若者はいるかもしれません。一方で、医学部や研修病院での経験、人との出会いを通じて内的な動機も育まれていくものです。そのような動機は「キャリア・アンカー」(キャリアにおいて絶対に譲れない軸や価値観、判断基準)として、生涯にわたってキャリア選択の基準になるという考え方があります。
組織心理学者のエドガー・シャインが提唱したキャリア・アンカーは、様々なウェブサイトでも診断できます。キャリアの選択をする際には、自身にどんな内発的動機があるのか、何がキャリア・アンカーになっているのかを確認してみると、考えを整理できるかもしれません。
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