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コラム

「医療機関で働く」以外の収入源を持つことで得られるものー知らなきゃ損?!Dr大見の資産形成塾(3)

2017年7月17日

大見貴秀(おおみ・たかひで)
医師に限らず多くの方は、勤務先から労働の対価として支払われるお給料が”収入のすべて”ではないでしょうか。多くの方にとって馴染みが深いであろう、勤務先から支払われるお給料のことを、税法上は「給与所得」と言います。しかし税法では、これ以外にも様々な所得を類型分けしており、それぞれ納税額の決まり方などが異なります。少しややこしくはありますが、いろいろな所得のあり方を知ることで、副収入を得るにしても、「単に手元の収入が増える」以上の効果を見込むことが実は可能なのです。今回はそのからくりを解説したいと思います。

給与所得だけではない!意外と奥深い所得の類型

所得の類型を考える上で大切なのが、「総合課税」と「分離課税」という考え方です。

多くの所得は通常、総合課税が基本です。総合課税ではそれぞれの所得金額を計算して、最終的な税額を算出します。それに対して分離課税の対象となっている所得は、総合課税としてほかの所得と合算せず、単体で税額を計算します。以下が、「総合課税」「分離課税」にそれぞれ累計される代表的な所得となっています。

【総合課税の対象となる8つの所得】

給与所得  サラリーマンやアルバイトとして勤務先から労働の対価として受け取る時間給や月給、賞与など。医療法人や診療所で勤務する医師が受け取る報酬も基本的には給与所得に当たる。
事業所得 個人で業として事業を行う場合に発生する所得。農業や漁業、製造業などからフリーランスのデザイナー、プログラマー、ライターなどの業務の対価として発生する。個人経営の診療所で発生する報酬も事業所得に分類される。
利子所得 国債や地方債、社債、預金の利子など
配当所得 株式や投資信託などによって発生する配当
不動産所得  土地や建物(家や事務所)を貸し付けたとき、対価となる賃料など。意外なところでは航空機や船舶などを貸し付けたときにも発生する。
譲渡所得 土地建物や株式などを除いた資産を売却したときに発生する所得
一時所得 偶発的、臨時的に発生する所得。
例えば生命保険の一時金や損害保険の満期払戻金、懸賞などの賞金など。
雑所得 上記のいずれにも当てはまらない所得。
サラリーマンの副業は基本的に雑所得とみなされ、意外なところでは公的年金も雑所得とみなされる。


【分離課税の対象となる5つの所得】

退職所得  医療法人や企業などを退職したときに支払われる退職手当や一時金のこと。税制上、所得税の税率よりも優遇されている。
土地建物などの
譲渡所得
土地や建物などを売却したときに発生する所得
株式などの譲渡所得 株式などを売却したときに発生する所得
山林所得 山林を伐採したり、譲渡したりするときに発生する所得
先物取引による所得 先物取引を行った際に発生する所得

医師が知っておくべき制度「損益通算」とは?

なぜ今回、所得の類型について説明したかというと、冒頭で述べたように、どの類型にある所得をもらっているかによって税金の収め方が変わってくるからです。その代表例が「損益通算」。具体的に言うと、事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得がある場合、総合課税対象となる所得の合計額の中で、「黒字と赤字を相殺できる」のです(詳細は割愛しますが、たいていの場合、事業所得と不動産所得が対象となります)。

給与所得のみをもらっているという場合、「所得が赤字になる」という事態はイメージがつきにくいかもしれません。ただ、もし不動産所得を得ようと賃貸物件を持っているのに誰も入居してもらえなかったり、事業所得を得ようと事業に挑戦したのに思うように売り上げが上がらなかったりしたらーー当然収入は赤字になりえます。こうしたときに総合課税対象となる所得金額の合計から赤字分を控除(=損益通算)し、最終的な税額を決定するのです。

たとえば給与所得が1000万円ある状態で不動産所得として200万円の赤字を出すとこの2つが相殺され、課税所得が800万円とみなされます(便宜上もろもろの控除などをないことにしています)。その分、支払う所得税が減ることとなり、月々源泉徴収されている分から過払いがあると還付される。こうした仕組みが損益通算なのです。

不動産所得を通じた「損益通算」―筆者が感じるメリット

わたし自身も現在個人的に、資産形成の一環として不動産物件の運営を行っており、損益通算により税金の還付を受けたことがあります。
実際に不動産物件の運営に携わって思うのは、想像以上に様々な経費がかかるということ。例えば、本業の医師をしつつ不動産物件を管理するのは不可能に近いので、管理会社へ支払う管理手数料が発生します。また銀行から借り入れを行って物件を購入する場合は多額の利息が発生します。そのほか修繕費や光熱費、税理士などへの報酬、減価償却費―ー様々な経費により、通常の事業より赤字になりやすいことが特徴と言えるでしょう。

このように説明すると、「不動産物件の運営なんてリスクばかりじゃないか」と思われるかもしれませんが、ポイントなのは、「不動産物件は将来的な資産になる」という点です。高額なリフォームを行い経費が増えて赤字が増えたとしても、家賃を上げたり売却時の価値を高めたりすることができる。赤字になったとしても損益通算の対象となるので収める税金の額が減ったりもします。給与所得以外の所得を持つことは、純粋に「手元の収入を増やす」だけではないメリットがあるのです。

「医療機関で稼ぐ」以外の道を知ることで得られるもの

わたしがこのように、病院で働いてもらう「給与所得」以外の収入にも本格的に目を向け始めたのは、フリーランスになってからでした。フリーランスになって以降、比較的自由な時間がつくりやすく、日本の税制を勉強したり、資産運用に必要な情報を探したりした結果、たどり着いたのが不動産物件を通じた資産形成だったのです。資産形成と聞くと、「何だかよく分からない」「少しいかがわしい」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、医療機関で働く以外の方法で効率的に収入を増やせるという事実は、わたしにとってとても大きな発見でしたし、効率的な資産形成のあり方を知ることで、医師としてのキャリアビジョンや働き方の柔軟性も高まったようにも感じます。

次回はなぜわたしが資産形成をするにあたって不動産を選び、勧めているかについて改めて紹介していきたいと思います。

大見 貴秀
おおみ たかひで
麻酔科医

フリーランスの麻酔科医。常勤医からフリーランス医になった時の税制の違いに驚き、日本の税制について幅広く勉強する。フリーランスの麻酔科医として就業する傍ら、資産形成を目的として様々な事業展開を行っている。医師としての活動のほか、不動産賃貸業、茶葉通販業、法人の代表取締役として活動中。フリーランスの税制、医師や高所得者の節税、医師の資産形成などの情報発信を行っている。

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