企業(産業医・MD・社医)

専門科目外の医師でも産業医になれる?

2025年8月18日

「産業医」というキャリアに興味を持ちながらも、「専門科目外だから難しいのでは?」と一歩踏み出せずにいる方も多いと思います。しかし、どんな専門科の医師の方であっても産業医を始めることができます。 臨床の現場で多くの患者さんと向き合ってきた先生のご経験が、働く人の健康を守る産業医として必要とされています。 本記事では、産業医として働き始めるにあたってよくある疑問と解消法についてお伝えします。

専門科目外では産業医が難しいと感じる理由

①労働衛生、関係法令知識への不安

産業医は労働安全衛生法などの法令をはじめ、職場環境改善、メンタルヘルス、健康診断結果の判定、過重労働対策など、多岐にわたる産業保健の知識が求められます。

これらは臨床医学とは異なる領域であるため、学び直しが必要になるのではないかと不安に感じる先生は多いでしょう。

②自身の専門性が活かせないのではないか?という懸念

近年では職場のメンタルヘルス問題が話題になることから、産業医は精神科領域の役割が中心であるというイメージもあります。

精神科を専門としていない先生は、自分のスキルが活かせないのではないかと懸念するかもしれません。治療を直接行う機会がない産業医の仕事は、臨床医としてのやりがいとは異なるのではないかと感じる先生もいるでしょう。

産業医の仕事には臨床の経験を活かせる

意外に思われるかもしれませんが、臨床医として培ってきたご経験は、産業医のお仕事でも大きな強みになります。

内科や外科、小児科など、専門分野は違えど、患者さんと向き合ってきた経験は、働く人々の健康課題を多角的に理解する上で非常に役立ちます。生活習慣病の指導や、がん治療と仕事の両立支援など、幅広い知識が求められる場面で真価を発揮します。

また、診察を通じて培われたコミュニケーション能力も大いに役立ちます。産業医は経営者、人事担当者と円滑な関係を築くことが求められるからです。従業員との面談のシーンでもコミュニケーション能力は強みになります。

産業医の仕事について理解を深める

産業医になるためには、医師免許に加え日本医師会等から産業医として認定される必要があります。認定には産業保健に関する専門的な講習を受ける必要があるため、土台となる知識はこうした機会で身につけることができます。

また、産業医の資格を取得後もセミナー等に参加することで、産業医として働く際のイメージがしやすくなるでしょう。

例えば、日本医師会や産業保健推進センターが主催する研修会や学会をはじめ、民間のヘルスケアサービスがセミナーを行っていることもあります。

まとめ

「専門科目外だから産業医は難しい」ということはありません。

むしろ、これまでの臨床経験は、働く人々の健康課題をより深く理解し、解決に導くための貴重なスキルとなります。

産業医という仕事は、単に病気を治すだけでなく、病気を未然に防ぎ、働く人々が心身ともに健康でいられるように支える、非常にやりがいのある仕事です。

臨床医として培ってきた知識、経験、そしてコミュニケーション能力を武器に、ぜひ一歩踏み出してみてください。

企業に産業保健サービスを提供するエムスリーキャリアでは、これから産業医として活躍されたい先生の就労サポートをはじめ、情報収集に役立つさまざまなコンテンツをご用意しております。こちらもご活用いただけれ幸いです。

産業医としてのキャリアをご検討中の先生へ

エムスリーキャリアでは産業医専門の部署も設けて、産業医サービスを提供しています。

「産業医の実務経験がない」
「常勤で産業医をやりながら臨床の外勤をしたい」
「キャリアチェンジをしたいが、企業で働くイメージが持てない」

など、産業医として働くことに、不安や悩みをお持ちの先生もいらっしゃるかもしれません。

エムスリーキャリアには、企業への転職に精通したコンサルタントも在籍しています。企業で働くことのメリットやデメリットをしっかりお伝えし、先生がより良いキャリアを選択できるよう、多面的にサポートいたします。

この記事の関連記事

  • 企業(産業医・MD・社医)

    有害業務と特殊健診、産業医として特に重要なこと

    記事では、有害業務の定義と具体例、特殊健診の目的を解説します。産業医の先生が持つ重要な役割として、法令遵守、リスク把握、そして異常所見時の事後措置・就業判定の2つのポイントを紹介します。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    産業医のスキルアップや職場で役立つ3つの資格

    産資格の取得は産業医として活動していく上でとても役立ちます。本記事では、産業医が知っておきたい専門性の高い資格を紹介します。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    産業医が知っておきたい学会・研修情報

    本記事では、あらためて知っておきたい産業保健に関連する学会と開催情報を一覧でご紹介いたします。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    産業医活動の「あるある」とTips〈第3回〉働く前に知っておきたかった「ビジネスパーソン」の基礎知識

    連載第3回となる本記事では、私が「働く前に知っておきたかった」という観点で、医療機関とは異なる部分の多い「企業」の文化と対応についてご紹介します。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    〈第4回〉信頼できる主治医を見つける重要性とその見極めポイント

    〈連載第4回〉従業員のメンタルヘルス不調対応には、信頼できる医師との連携も欠かせません。精神科クリニック院長であり産業医として職場のメンタルヘルスに向き合い続ける吉野聡先生が解説します。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    〈第3回〉職場復帰時の異動 会社は対応すべきなのか(後編)

    〈連載第3回・後編〉職場復帰時の異動。それを取り巻く背景と人事・産業医の対応について、精神科クリニック院長であり産業医として職場のメンタルヘルスに向き合い続ける吉野聡先生が解説します。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    〈第3回〉職場復帰時の異動 会社は対応すべきなのか(前編)

    〈連載第3回・前編〉職場復帰時の異動。それを取り巻く背景と人事・産業医の対応について、精神科クリニック院長であり産業医として職場のメンタルヘルスに向き合い続ける吉野聡先生が解説します。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    産業医活動の「あるある」とTips〈第2回〉面談でよくあるケースと実践していること

    第2回となる今回は、よくある面談のシチュエーションをもとに、私が産業医として行っていることを紹介します。お仕事の参考になれば幸いです。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    産業医活動の「あるある」とTips/〈第1回〉産業医を始めて感じたこと

    臨床医から産業医へ転身した筆者が、自身の経験から産業医の「あるある」事例とその対応を紹介する連載です。第1回は、キャリアチェンジのきっかけや、産業医の道を選んだ理由を語ります。産業医に興味のある方、働き始めたばかりの方に役立つヒントをお届けします。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    産業医として企業を関わるときのポイント

    本記事では、臨床医の皆様が産業医として働く際に知っておくべき、民間企業との関わり方の要点を解説します。

  • 企業訪問ガイドブック 今ならメルマガ登録で
    企業訪問ガイドブック
    プレゼント!
    産業医求人を受け取る(登録1分)

    人気記事ランキング

    この記事を見た方におすすめの求人

    常勤求人をもっと見る