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オリンピック出場を目指す研修医の思い―医師と2足のわらじvol.19(後編)

2020年5月7日
写真提供:髙村先生

初期研修医と世界クラスの山岳ランナーという二つの顔を持つ髙村貴子先生。今シーズンからは山岳スキーも始め、年間を通じて山を駆ける髙村先生は、将来にどんなビジョンを描いているのでしょうか。医師として、山岳ランナーとして目指している場所を伺いました。(取材日:2020年3月23日)

2026年のオリンピック出場を目指す

——日本だと山岳レースはメジャーな競技とは言えませんが、世界ではかなり人気があるようですね。

そうですね。海外にはプロ選手もたくさんいて、活躍しています。特に山岳スキーは人気が高いので、2026年の冬季ミラノオリンピックの種目になるかもしれないんです。トレイルランニングもオリンピック種目に入ることを視野に、日本の競技団体が日本陸連の傘下に入ったりしています。私も2026年のオリンピックを目指して頑張ろうと思っています。

近いところでは、まずは今年の10月にあるハセツネ(編集注:日本山岳耐久レースの通称)で大会新記録を出して優勝したい。これが一番の目標です。そのために、海外の大会も含めていろいろなレースに出て経験を積みたいと思っています。

——ハセツネは東京都奥多摩地域の山々を走る走行距離71.5kmの山岳レースで、参加人数も国内最大規模です。先生の自己ベストを教えてください。

2017年に優勝したとき記録した9時間17分30秒です。女子の大会記録は8時間54分7秒(2008年大会)なので、それを上回るのが目標です。スカイランニングの世界選手権も、2018年大会では10位だったので、5番以内に入りたいです。

山岳スキーは始めたばかりなので未知数ですが、まずは2021年の冬に行われる世界選手権に出て、15位以内を目標に頑張りたいと思っています。クロスカントリースキー、アルペンスキー、トレイルランニング、すべての力が試される競技だと思うので、自分の実力を試してみたいですね。

——2020年は新型コロナウイルスの影響で、レースの中止や延期が発表されていますね。

4月19日がSkyrunnner World Series2020開幕戦の予定でしたが、早い段階で中止が決まり、7月の世界選手権も2021年に延期になりました。でも、私はあまり落ち込んでいないんです。いまの状況下で自分にできることを精一杯やって、トレーニングに励むだけです。

2019年8月にマッターホルンで行われたSkyrunnner World Series(写真:藤巻翔、写真提供:髙村先生)

女性アスリートに寄り添える医師を目指して

——医師としての目標を聞かせてください。

スポーツドクターになりたいと思っています。最初は整形外科かなと思っていたんですが、研修が始まって実際にいろいろな科を回ってみると、精神科や婦人科、リハビリ科のほうが自分のやりたいことに合っていると感じました。アスリートを丸ごと診られるようになりたいですね。いま、ちょうど精神科のローテート中です。私自身、精神的に弱いところがあるので、患者さんを自分に置き換えて、先生にどんな言葉をかけてほしいか、ということを考えながら勉強しています。

——初期研修修了後も、仕事と並行して競技を行うのでしょうか。

競技は、できる期間が決まっています。ミラノオリンピックが開催される2026年が自分の年齢的にも競技者としてのピークかなと思っているので、初期研修が終わったら2026年まではある程度競技に集中できる環境で、医師としても働けたらいいなと考えているので、いろいろな人に相談しているところです。競技を引退した後、専門医を取得しようと思っています。

2019年6月にポルトガル、マデイラ島で行われたSkyrunnner World Series(写真提供:髙村先生)

市民ランナードクターにおすすめの山

——最後に、この記事を読んでいる先生の中にも趣味で登山やトレイルランニングをしている人が多くいらっしゃると思います。おすすめの山があれば教えてください。

北海道の山で私が好きなのは旭岳、十勝岳、美瑛岳。最近は白馬にハマりすぎているので、おすすめは白馬になってしまいますね(笑)。白馬にはトレッキングしやすい場所もたくさんあるし、ロケーションもいいので、行くだけでも癒されます。走る人にも、走らない人にもおすすめできます。秋には、トレイルランニングのレースも行われるんですよ。

ロードランナーの方がトレイルランニングに挑戦する場合、走力を気にすることはありません。ロードランとの違いは、装備の有無です。トレイルランニングの場合、荷物をもって走らなければいけないので、それに抵抗がなければすぐに挑戦できると思います。私は装備として、レインウエアやファーストエイドのセット、補給食、エマージェンシーシートなどを持って山に入ります。景色が良くリフレッシュできますし、楽しいと思いますよ。

※編集注:新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発令中は登山等にも自粛要請が出ています。状況が落ち着いたらぜひ足を運んでみてください。

髙村 貴子
たかむら たかこ
国立病院機構信州上田医療センター 初期研修医

石川県生まれ、2019年旭川医科大学卒業後現職。山岳ランナーとしては日本山岳会耐久レース(通称:ハセツネ)で旭川医科大学在学中の2016年から女子総合3連覇中。2019スカイランニングワールドシリーズ女子年間ランキング12位(日本人女性最高位)など、世界でもトップクラスの実績をもつ。

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