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産業医が知っておきたい「健康経営」の実践内容とメリット

2024年2月22日

昨今では、「健康経営」を取り入れる企業が増えてきており、その背景には人材の確保やブランディングなど様々な効果が期待できることにあります。 また、健康経営は産業医が中心的な役割として推進されるため、企業からも期待が寄せられます。 本記事では、健康経営のメリットや実践方法などを詳しく解説していますので、産業医の方はチェックしておきましょう。

健康経営について

健康経営イメージ

まずは「健康経営」そのものについて紹介します。

経済産業省によれば、健康経営とは「企業で働く人の「健康管理」を経営的な観点でとらえて、戦略的に実践すること」とされています。

つまり、自社の従業員の健康に関する投資を行うことで、生産性が高まることや組織の活性化に期待ができ、最終的に業績向上や株価への好影響も見込むことが可能になります。

また、健康経営については経済産業省の認定制度「健康経営優良法人」があります。

これは、従業員への健康投資や健康活動に積極的に取り組んでいる企業を評価する制度で、認定を受けることで社内外に好影響を与えることができます。

なぜ、健康経営が重要視されるのか

少子高齢化、社会保障費の増大

高齢化白書

【出典】:内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)

健康経営が推進される背景には、少子高齢化や企業におけるリスクマネジメントがあると考えられています。

上の図は内閣府が公表している「高齢社会白書」のもので、「生産年齢」といわれる15歳~64歳の人口が減少する一方で高齢化率が向上していることを表しています。

高齢化社会が向上することで問題になるのが社会保障費の増加であり、国としてもその削減が急務とされています。

健康経営の推進により、長くそして健康的に働いてもらうことに期待できます。病気をせず健康に働ける年数を延ばすためにも、健康経営が重要視されているのです。

企業ではリスクマネジメントになる

健康経営の推進は企業のリスクマネジメントの観点からも重要となります。

従業員が自身の健康に意識を持ち、企業としても健康推進に注力することで働く人の心身の不調を未然に防ぐことが可能になります。

心身の不調や病気によって従業員が休職や離職をすることは、企業にとって大きな損失となります。

例えば、健康経営優良法人の認定要件には、健康診断受診率が実質100%であることや、再検査の受診勧奨を行うことが求められています。

このように、従業員の健康について日常的に注力していくことで、リスクの低減を目指せる効果があります。

健康経営の4つのメリット

メリット1:従業員の生産性向上

健康経営を推進することは生産性向上に寄与します。

従業員が本来のパフォーマンスを発揮するには、心身ともに健康であることが大切です。

体調不良による従業員の欠勤等を減らし、健康的に働いてもらうためには職場環境改善(労働環境の整備)等も必要です。

その際には産業医からのアドバイスが重要となります。

メリット2:人材の流出防止・確保

2つ目のメリットは人材の確保です。

健康経営に取り組むことで労働環境が改善され、結果的に従業員の転職や離職を防ぐことにもつながります。

また、ホワイト企業として健康経営優良法人に認定されることなどでブランディングが上手くいくことで人材が集まりやすく、採用にも良い効果を与えます。

このように、従業員の退職や新規採用にかかるコストも削減できるため、より効率的な人材マネジメントが可能になるメリットがあります。

メリット3:企業が負担する医療費の軽減

健康経営に取り組むことで、従業員の疾病リスク低減に期待ができます。

これにより医療費の補助制度を設けている企業などでは、その出費が抑えられるというメリットがあります。

例えば、メンタルヘルス不調によって従業員が休職したような場合。

休職に伴う手続き等、労務に関するコストがかかりますし、休職者が増えることは、他の従業員の業務負担が増えることも考えられます。

メリット4:取引先等へのアピール

取引先企業や株主等ステークホルダーとの良好な関係を保つためにも、健康経営の実践は重要性が高いといえます。

昨今では金融機関や大企業において、取引先に対しても健康経営の推進を求める場合もあるようです。

また、ステークホルダーにとっても事業の成長性等の観点から健康経営の推進を重要視するケースも増えてきています。

健康経営を実践するための5ステップ

ステップ1:健康経営に関する方針策定

健康経営をすすめるため、まずは方針を策定することが必要になります。なお、この方針を策定する際に企業から産業医に対してアドバイスが求められることが多いため、流れを掴んでおきましょう。

方針の策定については、企業と産業医の双方が健康経営の意義を十分に理解すること。

そして、「従業員の健康増進」が経営課題だと認識することが必要です。

経営理念に従業員の健康を増進することを加えて明文化し、そのメッセージを社内・社外に発信します。

また、健康経営の実現には経営層の旗振りだけでは実現できません。

従業員の共感と協力を得られるような方針の策定が必要です。

ステップ2:健康経営を実現する組織の構成

健康経営の方針を確定させたら、次は推進担当者を決め、活動をすすめるための組織を構成します。

一般的には人事労務の担当者がその役割を担うことが多いといわれていますが、企業によっては「健康経営推進部」などといった名称でより戦略的に健康経営をすすめていることもあるようです。

織の構築に関しては様々な形態が考えられますが、アドバイザーとして産業医に介入してもらう場面も多くなるため、産業医の先生はこれら組織の担当者と連携をとることが大切になります。

ステップ3:課題発見と目標設定

次に、自社の健康課題を洗い出し課題を発見すること、そして改善のための目標を定めることが必要になります。

健康経営の実践には、従業員の抱える問題だけでなく、職場環境に不備がないかといった視点で課題を見つけていくことが欠かせません。

具体的な方法としては、健康診断のデータを集計・分析・整理することや、ストレスチェック結果の集団分析を行うこと等があげられます。

これらのデータを整理・分析することで、部署ごと・年齢層ごとといった課題が浮かび上がる可能性があります。

各種のデータを分析する際は、産業医が医師という専門職の立場で、改善と目標設定に向けたアドバイスを行うことが重要です。

ステップ4:各種活動の実施

健康経営推進に関する目標を立てたら、その計画を実行します。

たとえば、前のステップで行った「課題の発見」にて、喫煙率が高いことや生活習慣病の高リスク者が多いといった課題が見つかったとします。

その場合には、職場での禁煙ルールを策定することや、禁煙に関する補助を行うといった活動を行います。

また、休憩スペースや社員食堂の整備を行い、メニューのカロリーや塩分等を表示することも効果的だといわれています。

その他にも、衛生委員会の場を活用した産業医からの衛生講話を実行することや、スポーツイベントなどへの参加を促したりすることも健康経営の取り組みになります。

ステップ5:活動の評価と改善

健康経営に関する各種の活動は、実施後に必ず評価を行います。

効果測定によって改善されたこと、課題として残ったものを洗い出し、次なる方針の策定に活かしていきましょう。

このように「PDCAサイクル」を回しながら健康経営に取り組むことで、より実効性のある活動にすることができます。

また、それぞれのタイミングでは産業医の助言が重要になりますので、企業が進むべき道を見誤らないためにも、親身になって協力していくことが大切です。

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