政令指定都市である仙台市を有し、東北地方の中心地といえる宮城県。全国水準と比べると10万人あたりの医師数はほぼ同数、病院数はやや多めであるものの、いずれも偏在しているといえる。今回は、そんな宮城県で医師が転職する際に知っておきたいポイントを解説する。
宮城県の病院・クリニックの特徴
宮城県の医療提供体制の特徴は、病院数・医師数ともに、仙台医療圏に集中しているということ。
宮城県には4つの医療圏があり、139施設の病院(全国22位)と1,662施設のクリニック(全国15位)が位置している。10万人あたり病院数で換算すると6施設と全国平均とほぼ同数であるが、全体の58%の医療機関が仙台医療圏に集中しているという状況である。
2016年『医師・歯科医師・薬剤師調査』(厚生労働省)によると、医師数は5,653人で10万人あたりに換算すると231.9人(全国28位)。2016年11月に策定された宮城県地域医療構想では、10万人あたり医師数が全国平均とほぼ同数である仙台医療圏以外で、それを大きく下回っていることを挙げ、人材不足を指摘。このような背景から、県では医学生修学資金貸付事業等の取り組みを続けるなどして、さらなる医師確保や県内定着につなげていく方針を示している。
宮城県内で医学部を持つのは東北大学、東北医科薬科大学となっている。日本医師会の『病院における必要医師数調査結果』(2015年)によると、宮城県の医療機関のうち大学医局から派遣を受けている病院の割合は80.3%と、全国平均(75.5%)と比べて高い結果となっている。
宮城県の医師の待遇
エムスリーキャリアの過去転職者のデータによると、宮城県に勤務している医師の平均年収は1,422万円。全国平均である1,496万円と比較するとやや低い水準となっている。仙台医療圏に医師・医療機関が集中していること、医学部を持つ大学が2校位置していることから、仙台医療圏では医師が充足傾向にあり、年収は相場よりも低いとされている。一方、石巻・登米・気仙沼医療圏は10万人あたりの医師数が県内で一番少ないエリアであるため、高年収が実現しやすい傾向にある。また、県全体として訪問診療領域の担い手が少ないため、この領域に関しては地域問わず年収が高めに出やすい。しかしながら、オンコールなど相応の負担は避けられないため、そこもふまえて検討する必要がある。
宮城県の医師にとっての暮らしやすさは?
宮城県は岩手県、秋田県、山形県、福島県に隣接し、東部は太平洋に面している。東北地方の中では冬も温暖で、積雪量も比較的少ない。首都圏まで東北新幹線で2時間以内、JR仙台駅と仙台空港が仙台空港アクセス鉄道で結ばれているなど、仙台駅を起点に県外へアクセスしやすくなっている。三陸縦貫自動車道は山元IC~登米東和ICまで開通しており、仙台都市圏高速環状ネットワークが完成しているなど、交通網が発達している。県庁所在地かつ政令指定都市である仙台市には、県の4割を超える人口が集中しており、東北地方の中心都市として、政治・経済・学術・文化の諸機能が集積している。
医学部進学者実績を持つ高校は、仙台第二高校、仙台第一高校、東北学院高校などがある。公立、私立ともに進学実績があり、教育体制は整っていると言える。
宮城県の医療機関で働く医師の口コミ
宮城県で働く医師に、「宮城県で働こうと思った理由」と「勤務地としての宮城県の魅力」について聞いた結果は以下の通り。
- 生まれ育った土地であるため(40代、形成外科)
- 仙台市からの自動車70分の通勤を毎日している。病院の立地が福島県の境に近いので、福島第二原発の事故のため風評被害で若者が戻ってこない。(50代、消化器内科)
- 周辺の同科目の医師との交流を図りたい(30代、健康管理科)
宮城県の医療機関で活躍する医師の事例
- 東大病院を飛び出して、縁なき東北で在宅診療所を開業したわけ―田上佑輔氏(やまと在宅診療所登米)
- 医師として、一個人として、積極的に地域づくりに関わっていきたい -藤戸孝俊氏(石巻開成仮診療所)
- 地域医療・地域包括ケアの教育拠点を復興の地、石巻から進める―長 純一氏(石巻市立病院開成仮診療所・市包括ケアセンター)
- 地方創生のモデルに。宮城県大崎市で「異次元」の多職種連携に挑む―大蔵 暢氏(医療法人社団やまと やまと在宅診療所大崎)
宮城県の医師求人情報
【参考資料】
- 2016年『医療施設(動態)調査・病院報告の概況』(厚生労働省)
- 2016年『医師・歯科医師・薬剤師調査』(厚生労働省)
- 2015年『病院における必要医師数調査結果』(日本医師会総合政策研究機構)
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