大きな転職マーケットである関東では、職場も働き方も、幅広い選択肢が用意されているのが特徴です。一方で、転職希望者の数も多いため、採用担当者の判断も自然と厳しくなる傾向にあります。また、民間病院によっては、病院全体もしくは一部を大学医局からの医師派遣に頼っており、求人数に影響が出てきます。本稿では、関東における大学医局の影響力や転職する際に注意するべきことなどを、医師紹介コンサルタントに聞いてみました。
都内の大学医局の影響力は?
東京には医学部を有する大学が全国最多の13校存在します。しかし、医局員の割合は他県と比べて少なく、医療機関も大学医局の派遣からではなく、独自の採用ルートや転職エージェント経由で医師を確保することが増えています。そのため、都内は大学医局の影響をあまり強く受けていません。病院によっては科目ごとに大学医局の影響を受けるケースがあるものの、病院全体として影響を受けることは少ないでしょう。
都内は医師の流動性も高く、中には2~3年で転職活動を繰り返す人もいます。急性期病院でも定期的にポストに空きが出るため、タイミング次第では希望の職場に転職できる可能性があります。民間病院の施設数も多く、クリニックや在宅医療などの中~小規模の医療機関の求人も多く出ています。
関東(東京以外)の大学医局の影響力は?
千葉は医学部を有する大学が2校あり、都市部においては大学医局の影響をやや強く受けています。ただし、県内は民間病院も含めて病院数が多いため、急性期の病院であっても求人は定期的に出るでしょう。神奈川は医学部を有する大学が4校あるものの、強い影響を受けることはありません。大規模な病院が多いため、急性期の病院であってもある程度の求人数が見込めるでしょう。
茨城、栃木、群馬は大学医局の影響が強くないものの、急性期病院の求人数には限りがあります。埼玉は大学医局の影響が少なく、医師不足が顕著です。急性期での勤務を希望する場合は、勤務地を埼玉まで広げてみることで希望を叶えられる可能性が高くなるでしょう。
関東での転職時に気を付けておきたいこと
医師の確保に苦労している地域と違い、転職先として人気の高い都内では、医師間の競争も激しくなる傾向にあります。採用担当者も履歴書や面接等で、医師としての技量・人柄などを厳しい目で判断しているため、場合によっては不採用になることがあります。
病院側が判断する主な基準は以下の3つです。
① しかるべき時期に、しかるべき資格を取っているか
② 連続性のある職歴を辿っているか
③ 年齢
① に関しては、専門医等の資格の有無についてです。60代以降の医師については、専門医制度が確立する前の世代なのであまり問われないものの、30~40代の医師は必ず確認される事項です。将来、転職を見据えているのなら、しっかりと準備をしておきましょう。
② は、職場を短すぎるスパンで変えていないか、または親和性・連続性のない職場が続いていないかといったことです。そうした職歴を辿っている場合は、その理由についての説明が求められるでしょう。
③ に関しては、30~40代が最も転職しやすい年齢です。ただし、老健(介護老人保健施設)の施設長など、勤務する施設によっては高齢でも構わないというケースも多く、なかには80代後半で転職が成功した例もあります。
一方で医師不足の地域では、資格や年齢に関して厳しく求められることはありません。幅広い症状の患者さんに対して、適切な診断や対応ができるジェネラリストとしての役割を期待されています。専門分野に特化した臨床を行いたい場合は当然、転職先も限られてくるでしょう。
希望別のおすすめ転職エリア
希望1「年収を上げたい」
年収を上げたい、という場合は埼玉がおすすめです。都内へのアクセスが良く、学会などへも無理なく参加できる地理的条件を満たしつつ、高待遇で働くことができる可能性が高いでしょう。医師不足の地域なので、急性期病院の求人もあり、専門的な臨床経験を積みたいといった希望を叶えられる可能性もあります。当地域は高齢者の増加率も高いので、今後ますます医師の需要が高まると考えられます。
希望2「地域医療に尽くしたい」
地域医療のために尽くしたい、あるいは患者一人ひとりに向き合う医療をしたいといった場合は北関東や山梨がおすすめです。場所によっては都内から新幹線で通うこともでき、通勤交通費など待遇の交渉もしやすいエリアです。
希望3「働き方を模索したい」
一方、さまざまな働き方を模索したいという場合は、都内がおすすめです。急性期病院などで高度医療に触れたい、手術を多く経験したいといった場合はもちろん、当直なし・週4日勤務でゆったりと働きたい、あるいは一般企業で医師の資格を生かしつつ、少し違った働き方をしてみたいといった思いを実現できる可能性があります。教育環境が充実している点も、子育て世代にとっては魅力的といえるでしょう。
年収を上げたい、という場合は埼玉がおすすめです。都内へのアクセスが良く、学会などへも無理なく参加できる地理的条件を満たしつつ、高待遇で働くことができる可能性が高いでしょう。医師不足の地域なので、急性期病院の求人もあり、専門的な臨床経験を積みたいといった希望を叶えられる可能性もあります。当地域は高齢者の増加率も高いので、今後ますます医師の需要が高まると考えられます。
地域医療のために尽くしたい、あるいは患者一人ひとりに向き合う医療をしたいといった場合は北関東や山梨がおすすめです。場所によっては都内から新幹線で通うこともでき、通勤交通費など待遇の交渉もしやすいエリアです。
一方、さまざまな働き方を模索したいという場合は、都内がおすすめです。急性期病院などで高度医療に触れたい、手術を多く経験したいといった場合はもちろん、当直なし・週4日勤務でゆったりと働きたい、あるいは一般企業で医師の資格を生かしつつ、少し違った働き方をしてみたいといった思いを実現できる可能性があります。教育環境が充実している点も、子育て世代にとっては魅力的といえるでしょう。
転職活動で職場を探しているうちに、当初は想定していなかったような職場に出合えたという求職者の方は少なくありません。そういった意味では、関東エリアは転職活動を通して、自身のスキルやキャリアの幅を広げることができる貴重なエリアです。
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