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エリア別医師の求人トレンド【関東編(1)】

2019年11月22日

医師の転職市場のうち、最も求人数が多いと言われる関東地方。1都3県は職場の選択肢が広く、さまざまな働き方が可能になる一方で、転職希望者同士の競争が激しいという特徴もあります。また、地域による医師の偏在があるため、待遇面での大きな違いがあります。具体的にどのような職場が用意されており、どういった働き方が可能なのか、医師専門の転職支援コンサルタントに聞いてみました。

関東地方で求人の多い県や地域は?

圧倒的に求人数が多いのが、全国最多の病院・クリニックを有する東京。次いで神奈川、千葉・埼玉の順になっています。2018年に行われた厚生労働省の調査によると、当地域の病院数は東京645施設、埼玉343施設、千葉288施設、神奈川339施設となっており、東京が突出しています。また、クリニック数も2位の神奈川が6757施設に対して、1位の東京は13361施設と、大きな開きがあります。一方、これら以外の県は茨城176施設、栃木107施設、群馬130施設、山梨は60施設と、1都3県に比べて半数以下になっています。こうした医療機関の少なさから、北関東・山梨は求人数も減る傾向にあります。

1都3県の医師の年収相場は?

東京の求人数は全国最多となっているものの、勤務地としての人気が高いため、年収相場はやや低めに抑えられています。10年目くらいまでの医師で1200~1500万円程度、ベテラン医師であっても1700~1800万円程度と、地方と比べて200~300万円ほど下がる傾向にあります。
千葉・神奈川は県内で医師が偏在しているため、都市部であれば東京と同水準かやや高め、都市部から離れるほど年収水準は上がる傾向にあります。

1都3県のうち、特殊なのは埼玉です。推計人口は約734万人(2019年8月1日現在、埼玉県調べ)と全国5番手ながら、10万人あたり医師数は全国最下位(2016年度)であり、医師が圧倒的に不足している状態です。医学部を有する大学が、防衛医科大学校を除くと埼玉医科大学の1校のみであることに加え、大学卒業後に県内にとどまる医師が少ないことから、地域医療の担い手を十分に確保できていない状況です。特に埼北地域において医師不足は顕著に現れており、県外からの医師を呼び込む打開策の1つとして、年収相場を2000万円前後と高い水準に設定しているところが多く見受けられます。

北関東や山梨の医師の待遇は?

北関東・山梨は人口や病院数そのものが多くないため、医師数は充足している状態です。そのため、年収相場は平均的な水準になります。ただし、へき地など医師不足が顕著な地域に関しては、高めに設定されることが多いようです。

関東地域の医師の福利厚生は?

1都3県の都市部には多くの大手医療法人が存在しています。そこでは大学医局からの派遣に頼らず、独自の採用システムを用意していることが多く、給与は基本的には年次や役職等でシステマチックに決められています。福利厚生についても学会参加費の支給や家賃補助、保養所の利用など、一般的なサービスを被雇用者全員が平等に受けることができます。地方であれば、調整金や福利厚生の追加などを交渉することで待遇が変わる可能性がありますが、都内では個々の希望に沿った形になることは少ないでしょう。

一方で、埼玉や北関東、山梨などの医師不足の地域では比較的、待遇の交渉がしやすい傾向にあります。高崎市(群馬県)・宇都宮市(栃木県)など都内から新幹線通勤ができる地域では、新幹線の定期券代を支給するなどの条件を提示するところもあります。また、その他の待遇についても、個別に対応してくれる可能性が高いでしょう。

関東地域の求人の特徴とは?

さまざまな医療機関・企業が集まり、機能分化が進んでいる東京では、求人もバラエティーに富んでいます。病院では急性期から回復期、慢性期に至るまであらゆる求人が出ています。また、一般的な外来診療や入院診療に加えて訪問診療、自由診療や産業医といった選択肢もあります。最近は一般企業による求人も目立ち、製薬会社での薬の開発に携わるMDや、生命保険会社における加入希望者への診査や支払い時の査定などを行う社医といったように、診療以外の役割を期待されて入社するケースもあります。一般に、自由診療や産業医の場合は、年収や時間あたりの給与は高く設定されることが多く、特に自由診療は年収2000万円以上になることもまれではありません。

働き方が多様化している今、当直なしや時短勤務、週4勤務といった働き方ができる医療機関も増えつつあります。東京は女性医師が多いエリアのため、病院内保育所を設置するなど、女性の働きやすさを謳ったところもあります。中には医師の4割が女性という施設もあるほどです。ただし、個々の病院で医師一人ひとりに対する融通が効くという訳ではなく、そうした医師の働き方への施策を行っている病院が選択肢に入ってくるということです。応募をする際には、自分の希望する労働環境・条件と、それが叶えられる病院かどうかについて確認をする必要があるでしょう。

上に挙げた一般企業や自由診療などを組み合わせ、横断的な働き方が可能になるのも、東京のバラエティーに富んだ環境ならではと言えるかもしれません。

一方、医師不足の地域では、働き方は交渉次第となります。コンサルタントを上手く使いながら理想の働き方ができるか、粘り強く話をしてみましょう。

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