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エリア別医師の求人トレンド【中国・四国・九州・沖縄編(1)】

2019年11月8日

医師の数は西高東低と言われる通り、中国・四国・九州・沖縄地方は、10万人あたりの医師数・病院数ともに多い傾向があります。一方、エリア内での偏在があり、年収相場や待遇には大きな開きがあります。勤務地の選択肢を広げれば、希望のキャリアを築ける可能性は高くなります。当地域の求人のトレンドについて、医師の求人コンサルタントに聞きました。

中国・四国・九州・沖縄地方で求人の多い地域は?

当地域で圧倒的な求人数を誇るのは福岡県です。福岡市、北九州市という2つの政令指定都市を抱え、多くの医療機関を有しています。2018年の病院数は461施設(全国4位)、クリニック4665施設(全国5位)となっており、多様な医療機関が存在します。

また、当地域の特徴は九州地方の玄関口である福岡県を中心とした鉄道網が発達していることです。九州新幹線が博多駅(福岡市)から熊本県、鹿児島県へ向かって伸びているほか、小倉駅を経由して山陽新幹線が山口県、広島県へと伸びています。そのほか、長距離列車も長崎県や大分県に向かって張り巡らされており、多くの医師がいる福岡市・北九州市から他の地域へのアクセスが良いことが利点です。求人が多い地域もこうした沿線上に多く、福岡市・北九州市からの通勤を見越した条件を提示していることが多いでしょう。

他県で病院数が多いのは、鹿児島245施設、広島240施設、熊本214施設、岡山163施設、山口145施設となっており、求人数もおおむねこれに呼応します。

一方、病院数の少ない県は山陰・四国地方に集中しており、病院数がそれぞれ愛媛141施設、高知128施設、徳島109施設、香川89施設、島根51施設、鳥取44施設です。これらの県では、求人数が限られます。
沖縄県の病院数は93施設と少ないですが、離島が点在していることもあって慢性的な医師不足のため、常に一定数の求人が出ています。

九州・沖縄地方の年収や待遇は?

九州・沖縄地方は、地域内偏在が大きいのが特徴です。
福岡県、とりわけ福岡市・北九州市などの都市圏では求人数が多いものの、医師数が充足している傾向にあるため、年収額は落ち着いていて、10年目くらいまでの若手医師であれば1200万円程度、ベテラン医師のうち、高待遇であっても1800万円程度です。福利厚生は社会保険のほか、学会参加のための旅費や宿泊費の補助など、標準的なものが多いでしょう。

一方、医師が少ない地域の年収相場は福岡より高く、若手医師には1500万円、ベテランには2000万~2200万円以上を提示されることもあるようです。
医師が少ない地域でも、新幹線や特急の沿線上にある医療機関へは、福岡市や北九州市から通勤する医師が多く存在します。通勤に新幹線や特急電車を利用する場合は、定期代を支給したり、駅から病院までのタクシ―代を支給したりするなどの待遇を用意するところもあります。

同じ九州でも宮崎県は福岡市・北九州市からの交通アクセスが良好とは言えず、県内に居住した上での勤務が基本となります。医師の確保が難しい地域となるため、給与は全国平均より高い水準です。ただし、都城市など南西部の地域には鹿児島県から通うケースがあり、交通費が支給される場合もあります。

沖縄県は医師の誘致に力を入れている県の1つです。県外から多くの医師が入職するものの、流動性が高く、医師が県内に留まらないという課題を抱えています。そのため、慢性的な医師不足となっています。給与水準は高くないものの、社宅を用意するほか、移住促進のため職場見学のツアーを組み、その渡航費用を負担するなど、さまざまな工夫を凝らしています。

中国・四国地方の年収や待遇は?

中国地方のうち、岡山市や広島市は医師が充足しており、福岡県と同様に若手医師の年収相場は1200万円程度、ベテラン医師でも最高1800万円程度となっています。待遇も標準的なものが揃っているでしょう。両市と同じ県内でも倉敷市・福山市は民間病院が多いため、年収相場・待遇は高めです。
山口県の下関市は、北九州市から医師の流入を見込み、若手医師で1500万円、ベテランでは2000万~2200万円程度と高い水準です。

四国地方と山陰地方は医療機関の数が少ないこともあり、全体として医師は充足している傾向にあります。そのため、年収水準は標準的、あるいはやや低めになります。

中国・四国・九州・沖縄地方に多い求人は?

地域全体として、基幹病院を中心とした医療の集約化が進んでいるため、一般内科や総合診療科などでの需要が高く、総合力・コミュニケーション能力に長けた医師が求められています。

一方、特殊なのは鹿児島県です。整形外科、泌尿器科、乳腺科など、他地域と比べて専門に特化した病院が多いため、専門的な知識・経験を持った医師が求められます。県外から転職する医師も多く、鹿児島の転職市場では、専門医同士での競争が厳しくなる傾向にあります。今までに培ってきた専門の知識・経験がアピールポイントになるでしょう。

働き方の多様性は、地域全体において今後広がっていく段階です。東京都内では、週4勤務や当直なしなど、さまざまな働き方の選択肢が存在しますが、多くの医療機関を有する福岡県でも、こうした働き方が可能な病院は限られます。
へき地医療の場合は、人員配置の面で余裕がない場合もあります。夜間診療やオンコール体制など、勤務環境については事前に確認が必要です。

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