かつての首都でもあり、数多くの歴史ある寺院、神社、庭園、伝統的な木造家屋などで知られている京都府。医師数を10万人あたりに換算すると314.9人(全国2位)と医療機能も充実している。一方、都市部以外のエリアでは、医師や医療機関が偏在しているという課題もある。今回は、そんな京都府で医師が転職する際に押さえておきたいポイントを解説する。
京都府の病院・クリニックの特徴
京都府の医療提供体制の特徴は、医師数・病院数とも全国水準を上回っているものの、医師・病院ともに偏在していること。
京都府には6つの医療圏があり、170施設の病院(全国15位)と2471施設のクリニック(全国12位)が位置している。10万人あたり病院数で換算すると6.5施設となっており、全国平均とほぼ同数ながらも、65%の医療機関が京都・乙訓医療圏に集中しており、地域差が生じている。中でも南丹医療圏では急速に高齢化が進んでおり、それに伴い、訪問診療や往診を行う医療機関の不足が目立ってきている。全体的な医療資源が不足している山城南医療圏は、山城北医療圏、奈良県、三重県と接し、交通網も整備されている。そのため、多くの患者が他圏域の医療機関を受療しており、山城北医療圏や奈良県の病院に大きく依存している傾向にある。圏域西部地域では、近年の宅地開発に伴う人口増加により診療所の開設が盛んで、今後とも医療機関の量的整備は進むことが予想される。一方、人口減少と高齢化が進んでいる圏域東部地域は、診療所・医療従事者数も極めて少ない状況である。
2016年『医師・歯科医師・薬剤師調査』(厚生労働省)によると、医師数は8,723人で10万人あたりに換算すると314.9人(全国2位)であり、府域全体として増加傾向にある。京都市の医師数は6,604人であり、京都府の医師数の約75%にあたることから、京都・乙訓医療圏には医師が集中していると言える。2013年3月に発表された京都府保険計画では、府北部に位置する丹後医療圏と中丹医療圏では減少傾向にあることを課題視し、府内における医師の偏在を医療課題として挙げている。このような現状をふまえ、京都府立医科大学では、国の「緊急医師確保対策」等に基づき推薦入試を実施しており、その入学者は、府北部地域など医師確保困難地域における地域医療を担う人材としての活躍が期待されている。このほか、京都府内で医学部を持つのは、京都大学である。
なお、日本医師会の『病院における必要医師数調査結果』(2015年)によると、京都府の医療機関のうち大学医局から派遣を受けている病院の割合は85.7%と、全国平均(75.5%)と比べるとかなり高い結果となっている。
京都府の医師の待遇
エムスリーキャリアの過去転職者のデータによると、京都府に勤務している医師の平均年収は1393万円。全国平均である1496万円と比べて低い水準となっている。『京都府の病院・クリニックの特徴』でも触れたように、京都府は10万人あたりの医師数が全国2位。居住地としても人気が高く、医学部を持つ大学が2つ位置していることから、京都市内に医師が集中している。そのため、医師が充足傾向にあり、相場よりも年収は低いとされている。一方、丹後医療圏、中丹医療圏は医師が減少・不足しているため、京都・乙訓医療圏と比較すると、年収が高い傾向にある。
京都府の医師にとっての暮らしやすさは?
近畿地方に位置し、福井県、滋賀県、三重県、奈良県、兵庫県、大阪府と隣接する京都府。山間部に豪雪地帯を有する府北部は日本海側気候、府南部は瀬戸内海式気候、舞鶴・綾部および丹後は海洋性気候、それ以外は内陸性気候となっている。
多くの観光資源を持つ京都府は、交通網も発達している。京都縦貫自動車道が名神高速道路に接続・全線開通により、府内南北の距離がさらに近くなったほか、小浜から敦賀まで延伸され、日本海側の東西交通が飛躍的に向上。空港はないものの、近隣の大阪府、兵庫県に伊丹空港・関西空港・神戸空港があり、交通面での利便性は高いといえる。
教育体制も整っており、京都府内では洛南高校、洛星高校、堀川高校、京都教育大附高校などが医学部進学実績を持っている。
京都府の医療機関で働く医師の口コミ
- 東海地区から、実家のある京都へ転勤しました。土地が高くても北山などの生活層の良いところか、東海道沿線なら高槻・長岡京・大津など、少し離れた場所に住むのもありだと思います(30代、小児科)
- 居住地として排他的かと思えばそうでもなかった。勤務地としてもあまり深刻なクレーマーも少ない。居住地としても勤務地としてもよいところであると思いますが都心部よりも周辺部の方が良いように考えます。(50代、消化器外科)
- 暑さに堪えきれず、愛知県から転居した。寒さに弱い人にはお勧めできませんが、雪にはすぐに慣れます。食べ物が新鮮で美味しくて安いのが魅力です。(40代、循環器科)
- 色々なタイプの働き場所があると思う。(30代、神経内科)
- 医師過剰地域であるが、診療レベルは高いので。(50代、消化器内科)
- 便利で設備が整っている。(50代、一般内科)
京都府の医師求人情報
【参考資料】
- 2016年『医療施設(動態)調査・病院報告の概況』(厚生労働省)
- 2016年『医師・歯科医師・薬剤師調査』(厚生労働省)
- 2015年『病院における必要医師数調査結果』(日本医師会総合政策研究機構)
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