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“地域資源があるだけ”では不十分? 八戸市の在宅医療が抱えていた問題とは―小倉和也氏(はちのへファミリークリニック)

2017年1月20日

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ドクターヘリやドクターカーを備えた救急医療体制が整っており、人口当たりの訪問介護ステーション数も全国平均の1.7倍という青森県八戸市。在宅医療を手掛ける医療機関も複数存在し、一見、患者が在宅療養するための資源はそろっているようにも映りますが、2010年にこの地にクリニックを開業した小倉和也氏は、患者の様子から“ある危機感”を抱き、周囲の医療機関とともにチームを結成します。家庭医として北海道や滋賀県で研さんを積んできた小倉氏の目に、青森県の医療はどのように映ったのでしょうか。

日本に必要なのは「家庭医」と確信して医師に

―まず、これまでのご経歴を教えてください。

わたしは国際基督教大学を卒業後、琉球大学医学部に再入学しています。医師を志すようになったのは、国際基督教大学在学時にカナダに短期留学し、現地の医学生と話したのがきっかけです。当時、病気を患い抑うつ状態になった知人がいたので「彼のような場合は内科と精神科、どちらに診てもらうべきなのか」と相談してみると、「“家庭医”に診てもらうべきだ」という答えが返ってきたのです。

わたしはそのとき初めて家庭医という存在を知り、心、そして身体の問題も、年齢関係なく全人的に診られることに衝撃を受けました。知人の件を通じて、さまざまな問題を同時に抱えていても部分的にしか診てもらえない日本の医療の在り方に問題意識があったこと、今後高齢化が進む日本で絶対に必要になると考え、家庭医になることを決意。国際基督教大学を卒業した後は、琉球大学医学部を経て北海道家庭医療センターで研修、滋賀県の弓削メディカルクリニックで研さんを積んできました。2010年から故郷である八戸市にクリニックを開業し、現在まで家庭医として内科と小児科の外来と在宅診療を行っています。在宅診療の患者さんは現在約70名。高齢者だけでなく、小児の在宅診療にも取り組んでいるのが特徴です。

八戸市の光景に抱いた危機感とは

八戸ファミリークリニック地図―八戸市の医療を見て、問題意識を抱いたとのお話ですが。

はい。患者さんご家族から突然紹介状を渡されて翌日から訪問診療を依頼されたり、退院後に在宅診療にうまく移行できていなかった患者さんのお看取り直前で呼ばれて往診したり―北海道や滋賀県では目にしなかった光景を目の当たりにしたんです。八戸市には救急医療体制が整っており、当院以外にも複数の診療所が在宅診療を手掛けている状況。人口当たりの訪問介護ステーション数は全国平均の1.7倍と、一見、地域資源には恵まれた環境です。しかし、相互の連携が不十分であるがために、患者さんが不利益を被ってしまっている―それが八戸市の現状なのだと、実感しました。

―そうした問題意識があって、コミュニティーチームを結成したのですね。

はい。わたしの中で問題意識が高まっていたちょうどそのころ、現場間でも連携がスムーズに取れていないことに危機感が高まっており、青森県多職種連携のモデル事業の一環として、当院と数件の訪問看護ステーションにクラウドツールを導入して連携を試みはじめました。こうした背景もあって、2015年にできたのがコミュニティーチーム「connect8」です。

kazuya_ogura2connect8に参加することで、八戸市内の基幹病院や在宅診療を行っている診療所やクリニック、訪問看護ステーション、居宅介護事業所、入所施設、薬局や歯科医院は、患者さんや利用者さんから同意をいただいて収集した既往歴や介護の状況といった、情報にインターネットでアクセスできます。もともと八戸市内の医療介護従事者自身も、連携の必要性を実感していたこともあって、connect8は多くの支持を集め、発足から1年がたつ現在のところ医療介護従事者約300名がオンラインでつながり合いながら、地域医療を支えている状況です。

自治体・医師会と一体となり、課題解決を目指すために

―今後の目標を聞かせてください。

幸いにも医療・介護施設間の連携についてはconnect8が潤滑油となって一定の成果をあげつつあると思うのですが、国が進める在宅医療介護連携推進事業や地域包括ケアの構想は、現場の努力だけでは実現できない。自治体・医師会・現場の意志が一致した上で推し進めていく必要があると考えています。

kazuya_ogura3今後は、現場の声や働きを自治体や医師会と擦り合わせて、三位一体となって課題解決に取り組めるようにしていきたい。国が推進する事業や構想を実現するためにも、自治体や医師会への働きかけを精力的に続けていくことが当面の目標ですね。そうすることで、八戸市内、そして市町村間の連携が強まり、よりスムーズな医療提供ができるのではないかと思います。

 

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