1. m3.comトップ
  2. キャリアデザインラボ
  3. ノウハウ
  4. 調査
  5. 医師6割、パワハラ防止法「知らない」―医師のパワハラ調査vol.4
調査

医師6割、パワハラ防止法「知らない」―医師のパワハラ調査vol.4

2021年1月4日

医師のパワーハラスメントについて考える本シリーズ。vol.4では医師499人が回答したアンケート(※)から、パワハラ防止法の理解度や医療業界のパワハラ対策についてご紹介します。

※2020年10月3~11日、m3.com会員の医師を対象にしたアンケート調査。「医師のパワーハラスメント」(回答数440件)、「医師の逆パワーハラスメント」(回答数59件)をテーマにエムスリーキャリアが実施

法律「ないよりは良い」が有効性には疑問

2020年6月に施行されたパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)の認知度を調べたところ、「知らない」と答えた人が64.9%で半数以上を占める結果となりました。なお、知っている人は35.1%にとどまりました。

図1:2020年6月に施行されたパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)をご存じですか
(20~70代の医師499人が回答)

続いて、パワハラ防止法が施行されたことについて、どう思うかを尋ねたところ、「良いと思う」というポジティブな印象を持っている人が65.7%、「良いと思わない」というネガティブな印象を持っている人は6.4%でした。したがって、今回の法改正を前向きに捉えている人が多いことがわかりました。一方、自由回答からは法律の有効性を疑問視する声もみられました。

図2:パワハラ防止法が施行されたことについて、どのように思いますか(20~70代の医師499人が回答)

具体的な回答理由は次の通りです。

非常に良いと思う

  • パワハラ・逆パワハラが原因と見られる精神疾患が非常に多いから(40代男性/精神科)
  • 職場でそれぞれ円滑に仕事を進めるのに良いことと思います。ハラスメントでいいことなど何もありません(50代男性/科目未回答)
  • 皆がパワハラを認識するようになれば、パワハラが減ると思う(50代男性/内科)
  • 問題の存在を公式に認める体制ができた(60代男性/内科)
  • パワハラはモチベーション低下につながり、離職率も高くなる(60代男性/内科)

まあ良いと思う

  • どの程度の抑止力があるか不透明だが、ないよりははるかに良いだろう(40代男性/耳鼻咽喉科)
  • 何がハラスメントになるか、拡大しすぎには注意が必要だ(50代男性/内科)
  • 法律には抜け道があるため(どんなに立派なものでも)、ズル賢い人はそれを利用する(50代男性/麻酔科)
  • 自分で解決できない人、追い詰められている人には良いことだと思う(60代男性/脳神経外科)
  • 感情で決まるものが法律化されることに若干の抵抗はあるが、時代の要求ということで受け入れるしかない(60代男性/内科)

どちらとも言えない

  • 相互の受け取り方、という主観的な問題を法律で統制するのは難しいかもしれません(50代女性/心臓血管外科)
  • パワハラ、逆パワハラは良くないが、法律で規制するべきものであるかはよく分からない(60代男性/乳腺甲状腺外科)
  • パワハラ防止は必要だが、パワハラだと認定するのが受ける側だとすると、個人差が大きすぎる。たとえば、遅刻などを叱責する。あるいは診療で患者にとって危険なことを十分な準備や説明もなしに行った時、きつく叱責してパワハラと訴える者がいるかもしれないと思うと、指導などできない(60代女性/産婦人科)

あまり良いと思わない

  • 人格を法律で規制しようとすることにあまり有効性は感じない(40代男性/小児科)
  • 人間関係を法律で規制することは必要ない(60代男性/泌尿器科)
  • 法律でどうにかなるものではない。日本人の人権意識の希薄さが原因だろう(70代以上男性/内科)

良いと思わない

  • パワハラをした相手に対する罰則が弱すぎる。裁判にて勝訴しても報復にならない(30代男性/心臓血管外科)

相談窓口、8割以上の医療機関で機能不全

パワハラ防止法は、職場におけるパワーハラスメント防止のため、雇用管理上必要な措置を講じることが義務となります。具体的な内容としては、パワハラ防止の社内方針の明確化、相談体制の整備、被害を受けた労働者へのケアや再発防止などです。そのひとつ、相談窓口の設置は医療機関では進んでいるのでしょうか。

今回のアンケートによると、窓口がある、かつ機能しているのは14.6%にとどまりました。本アンケート結果のみを参照する限りでは、8割以上の医療機関で改善の余地がありそうです。窓口がないところは早急に設置して周知することはもちろん、その窓口をいかに機能させるかも今後の重要課題になるでしょう。

図3:現在の職場にはパワハラに関する相談窓口がありますか(20~70代の医師499人が回答)

多くの医師が、パワハラ防止法が施行されたことをポジティブに捉えていますが、医療機関の対策はまだ道半ばのところが多いようです。vol.5ではパワハラが起こる原因と対策について考えます。

今の働き方を変えられないか、とお考えの先生へ

まずは現職でご希望を叶えられないか模索いただくことをお勧めしていますが、もしも転職する以外になさそうであればご連絡ください。

現職では難しくとも、他の医療機関や企業などでなら実現できるケースがあります。

週4日勤務、時短、当直・オンコール免除、複数医師体制、担当業務を抑えるといったことは求人に記載されず、医療機関とのご相談次第なことも少なくありません

エムスリーキャリアにお問い合わせいただければ、先生のご希望をどのように実現できそうかお伝えいたします。

この記事の関連キーワード

  1. ノウハウ
  2. 調査

この記事の関連記事

  • 調査

    医師の4割が都道府県またぐ転居に前向き

    医師は、ホワイトカラーに比べると勤務地の候補が多く、住む地域も選びやすい職種です。医師455人から回答を得たアンケートから、他都道府県への転居に対する意識と、勤務先として人気の都道府県を紹介します。

  • 調査

    地方に住みたい!医師が都会を離れる理由

    COVID-19流行をきっかけに、ホワイトカラーではテレワークの普及に伴い、社会全体で地方移住への関心が高まりつつあります。それでは、医師の地方志向はどうでしょうか。医師455人から回答を得たアンケートから、医師の地方転居や移住への興味、検討する上での条件を探ります。

  • 調査

    医師7割弱「補助ある」…研鑽=労働には賛否

    「医師の働き方改革」では、自己研鑽が労働時間に含まれるか否かなどが議論されてきました。2019年7月には厚生労働省から、上司の指示の有無によって労働時間に含まれるかどうかを判断する旨の通知が出ましたが、現場の医師たちはどう受け止めているのでしょうか。

  • 調査

    50歳過ぎても医師が研鑽を続ける理由

    キャリア形成や子育てがひと段落し、第二の人生も考え始める50代以降。いつ医師を引退するかは個人差があり、年齢を重ねても自己研鑽を続ける人は多くいます。今回は自己研鑽をテーマにしたアンケートから50~70代の医師421名の回答を抜き出し、ベテラン医師の自己研鑽の実態をお伝えします。

  • 調査

    人生100年時代に備える!40代に必要な学び

    知識・経験ともに臨床スキルが高まり、チームマネジメントや若手の教育を担う40代。働き盛りにあたる40代の中堅医師は、どのような自己研鑽を行っているのでしょうか。自己研鑽をテーマにしたアンケートから40代医師114名の回答を基に、実態をお伝えします。

  • 調査

    週10時間が当たり前?若手医師の研鑽事情

    一人前の医師になるため、さまざまなことを学び、吸収していく20~30代。医師人生の中でも、最も集中的な自己研鑽が求められる世代と言えそうですが、その実態はどうでしょうか。

  • 調査

    実力?運?医師の出世に必要なこと

    医師の出世や役職について考察する本シリーズ。今回は674名から回答を得たアンケートを基に、医師が出世するために必要なことや、最終的に就きたい役職、そこへ向けての出世の進捗についてご紹介します。

  • 調査

    「感謝どころか文句」4割の医師が出世に後ろ向き

    価値観が多様化し、出世して役職を得ることにこだわらない人も珍しくありません。今回は674名から回答を得たアンケートを基に、医師が「出世したいと思わない」理由や、出世して困ったエピソードをご紹介します。

  • 調査

    医師の出世、目的を実現できる割合は?

    実力はもちろん、時に運やタイミングにも左右される出世。今回は674名から回答を得たアンケートを基に、医師が出世したいと思う理由や、出世して良かったことをご紹介します。

  • 調査

    40代が分かれ目?医師が出世する意義

    キャリアアップの一つの指標に、出世して役職を得ることが挙げられます。働き方の価値観が多様化する中、医師の出世や役職へのこだわりはどうなっているのでしょうか。今回は674名から回答を得たアンケートを基に、現在の役職やそのやりがい、出世への意向についてお伝えします。

  • 人気記事ランキング

    この記事を見た方におすすめの求人

    常勤求人をもっと見る