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調査

「時間がない」働く医師の家事事情―医師のキャリアと家事育児(前編)

2021年1月6日

日々忙しい医師の仕事。家庭の家事育児をどうやりくりしていますか。今回は医師を取り巻く家事育児の実態を徹底調査(※)し、438人の医師から回答を得ました。前編ではパートナーの就業状況、労働時間と家事時間のバランスについてご紹介します。

※2020年11月7~14日、m3.com会員の医師を対象にエムスリーキャリアがアンケート調査を実施

医師パートナーも働き方が多様化

本アンケートに回答いただいた438名の内訳は、独身(子どもがいない)が45名、独身(子どもがいる)が15名、既婚(子どもがいない)が67名、既婚(子どもがいる)が311名でした。

既婚の方にパートナーの就業状況について尋ねたところ、子どもの有無で変化が見られました。

まず、子どもがいない場合、「医師・常勤」が最も多い34.3%で、続いて「非医師・正社員」(26.9%)、「専業主夫/主婦」(25.4%)が多くの割合を占めています。パートナーが働くのであれば、常勤や正社員の家庭が多いようです。

一方、子どもがいる場合は、「専業主夫/主婦」が39.2%と約4割を占めました。次に「医師・常勤」で27.0%、「非医師・正社員以外」で15.1%です。大きくはパートナーが働くか否かで2分化され、その後、どのような雇用形態で働くかは各家庭によるようです。

図1:既婚医師のパートナーの就業状況(20~70代の医師378人分の回答)

それぞれのパートナーの就業状況について、ポジティブ、ネガティブの両面で教えていただきました。各家庭の優先順位やライフスタイル、夫婦の関係性などが垣間見えます。

医師・常勤

  • 仕事の理解がある。ダブルインカムのため経済面で非常に余裕がある。しかし、お互い忙しすぎてプライベートを共に楽しむ時間がほとんどない(30代男性/神経科)
  • 仕事に理解を示して、かつ生活費を稼いでくれる(50代男性/外科)
  • 毎日忙しくしていますが、休日などは可能な範囲で買い物やレジャーに付き合ってくれます。金銭的にも自由にさせてくれます。休日の朝食は一緒に作ります(50代女性/内科)
  • 夫婦で開業しており、仕事、家庭のパートナーとして日々暮らしている(60代女性/皮膚科)

医師・非常勤

  • 互いに仕事、家事、育児を分担できていること(30代男性/整形外科)
  • 医師は非常勤の方が利率が良いので、大して働いていないのに、給料が多く、発言が大きくなって困る(40代男性/脳神経内科)
  • 子育てをおろそかにしないということで、常勤で働くのは無理と話し合った。良い母親になってくれている(50代男性/内科)
  • 日数は多い割に勤務時間が短いので、社会保険が受けられない(50代男性/内科)

非医師・正社員

  • 職業領域は異なるが、互いに尊重し合える(40代男性/眼科)
  • 忙しく一緒にいる時間が少ない。家事において、医療関係者でない夫は衛生観念が乏しく、手洗い、手指消毒、食材の扱いなど見ていてイライラする(40代女性/小児科)
  • 自分のやりたい仕事を見つけてやってくれている。生活に張りがあり、家事も多く引き受けてくれている。適度にすれ違って、各々自分の自由な時間を持てる(50代男性/消化器科)
  • まだ何の助けもない時代に忙しく働いてきましたが、現在夫は再雇用でやりがいのある仕事に就いています。研究者で私よりは自由が利き、子供の世話も家のこともよくしてくれました。難しい時代でしたがワンオペではありませんでした。お互いが家庭を作っていく意識がとても重要と思います(60代女性/呼吸器科)

非医師・正社員以外

  • 家庭のことを最優先にした上で、可能なだけ仕事をして楽しんでいるところがすごいです(40代男性/整形外科)
  • 育児のほとんどがパートナーの仕事になってしまうため、分担がうまくできていない(40代男性/麻酔科)
  • 家事で縛りつける申し訳なさを感じなくて済む(50代男性/脳神経外科)
  • 収入は度外視し、自分の人生に沿った仕事を、少しずつ続けて行っている。いつまでも若々しく、人生に張りがあるようだ!(70代以上男性/小児科)

専業主夫/主婦

  • 看護師の免許を生かして復職してほしい(30代男性/泌尿器科)
  • 家のことは全てしてくれるので、私は外のことに集中できる(50代男性/リハビリテーション科)
  • 外科医の仕事を理解して、夜遅くなっても食事を作って待っていてくれる。実家のことも含めて多くの家事をこなしてくれている。しかし、料理をいつもたくさん作ってくれて肥満気味(60代男性/脳神経外科)

家事1時間程度なら、おおむね満足

家事育児を行うには物理的な時間が必要なため、それぞれの働き方にも関わります。ここでは回答いただいた医師438人の労働時間と家事時間について見ていきましょう。

1日の平均労働時間の最多は「8~9時間未満」(26.7%)でした。しかし、10時間以上と答えた医師は合わせて30.8%と、約3割には長時間労働の傾向が見られました。

図2:1日の平均労働時間(20~70代の医師438人が回答)

一方、家事時間はどうでしょうか。出勤日と休日を比較したところ、両方とも20%超だったのは「1時間程度」。休日だけ20%超だったのは、「家事をしない」、「30分程度」で、出勤日・休日でメリハリをつけて家事に取り組んでいる医師が多いようです。今回集計された労働時間に通勤時間なども考慮すると、家事に割ける時間がそもそも少ないことも予想されます。

一部では平日・休日ともに「2時間程度」、休日に「3時間から5時間以上」の家事時間を割く医師もいるなど、家事育児の負担は人によって差があるようです。

図3:1日の平均家事時間(20~70代の医師438人が回答)

そして、現在の労働時間と家事時間のバランスについて満足度を尋ねたところ、半数以上の医師が「満足している」と回答しました。他方、「満足していない」と答えた人は14.6%にとどまるため、現在の仕事と家事のバランスを肯定的に捉える医師が多いようです。

図4:労働時間と家事時間のバランスに対する満足度(20~70代の医師438人が回答)

それぞれの理由は以下の通りです。

とても満足している

  • 仕事が楽しくできて、家の居心地も良い(30代女性/精神科)
  • 夫が家事をたくさんしてくれる。自分も外来・健診のみで呼び出しもないので、普通の会社員のような生活をしている(40代女性/呼吸器内科)
  • 家庭でのストレスがないので、仕事にも影響なし(60代男性/脳神経外科)

まあ満足している

  • 一応家事分担はできている。なお、休日の子供の送り迎えをいれると4時間になる(50代男性/糖尿病科)
  • ハウスクリーニングなどの有料サービスの助けも借りることにしているのと、在宅での仕事が多いので、今のところ犠牲にしている分野はありません(50代女性/放射線科)
  • 1時間程度であれば、特に負担感はないので(60代男性/リハビリテーション科)

どちらとも言えない

  • 子どもが成長しており自分の仕事にも理解してくれていること、自分の両親の助けがあるといった環境の上で成り立っているけれども、労働時間は過剰だと感じている(40代女性/小児科)
  • 本当は何かしないといけないと思うのですが、家事スキルが不足していて逆に迷惑をかけてしまいそう(40代男性/泌尿器科)
  • 家事時間を増やすべきとは思うが、体を休めたい(60代男性/消化器科)

あまり満足していない

  • もっと子育てに関わりたいが、家計の収入が少ないために、やむを得ず、当直や休日勤務をしないといけなく、子供と関わりにくくなっている(30代男性/脳神経内科)
  • 家事、家計に関わること、もっと色々やりたいのに時間がない(30代男性/小児外科)
  • 自分の時間がないことはないが、休日に好きなことができない(40代男性/精神科)

まったく満足していない

  • 仕事以上に育児、家事が忙しく仕事が思うようにできない。しかし、仕事も家庭も中途半端で不安(40代女性/内科)
  • 共稼ぎだが自分(開業医)の労働時間が毎日16時間程度で休日もないため、家事をほとんど妻(勤務医)に依存しており、申し訳なく思っている(40代男性/精神科)
  • 家事も育児も学校の保護者会も地域の役員もほとんど女性。学校からの電話も、まず母親(50代女性/糖尿病科)

今の生活に満足している医師もいれば、やむを得ずどこかにしわ寄せがきて不満を感じている医師もいるとわかりました。家庭でのストレスが少ない先生は、仕事にも気持ち良く取り組めているようなので、今後本シリーズでご紹介する家事分担や負担軽減策などを参考に、自身にとっての最適なワークライフバランスを探ってみてはいかがでしょうか。

中編では、夫婦の家事分担について、具体的に紐解いていきます。

同テーマの記事シリーズはこちら

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