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調査

医師7割弱「補助ある」…研鑽=労働には賛否―医師の自己研鑽vol.4

2021年3月30日

「医師の働き方改革」では、自己研鑽が労働時間に含まれるか否かなどが議論されてきました。2019年7月には厚生労働省から、上司の指示の有無によって労働時間に含まれるかどうかを判断する旨の通知が出ましたが(参考)、現場の医師たちはどう受け止めているのでしょうか。今回は603名から回答を得たアンケート(※)から、自己研鑽と労働時間の兼ね合い、医療機関での制度・ルールを考えます。

※2021年2月6~13日、m3.com会員の医師を対象にエムスリーキャリアが実施

自己研鑽=労働時間は、医師の間でも意見割れる

はじめに、勤務先の労働時間に自己研鑽が含まれているかどうかを調べたところ、最も多いのは「すべて含まれていない」(48.6%)でした。約半数の医師が、労働時間とは関係なく、自己研鑽に取り組んでいることがわかりました。

一方、「すべて含まれている」のは7.6%、「一部含まれている」のは31.5%と、自己研鑽を労働時間とみなす医療機関も少なくないことがわかりました。

図1:勤務先の労働時間に自己研鑽は含まれていますか(20~70代の医師603名が回答)

そもそも医師は自己研鑽を労働時間と、みなしてほしいのでしょうか。この件について、先生方の意見を尋ねたところ、ほぼ均等に割れる結果となりました。

図2:自己研鑽を労働時間に含めてほしいですか(20~70代の医師603名が回答)

それぞれの回答理由は次の通りです。

とてもそう思う

  • 自己研鑽で習得した知識・技術が患者の利益になり、かつ病院の収益向上に貢献するなら労働時間として認めてほしい。実際、私が持っている資格で当院が研修施設になり、維持できていることにもインセンティブを付けてほしい(40代男性/小児科)
  • 自己研鑽=遊んでいる、趣味、と思われている(50代男性/放射線科)
  • 医療職は肉体労働者ではない。頭脳労働者であり、知識労働者である。知識を補充することが仕事である。知識の補充なしに、適切な業務は遂行できない。従って、業務上不可欠であり、労働時間と切り離すことは不可能である(60代男性/脳神経外科)

ややそう思う

  • 論文や学会活動は施設認定で必須のため、専門分野に関するものは全て勤務時間として良いと思う。特に基礎研究は時間外が多いと思われる(30代男性/内科)
  • 医療の質を上げたいなら、自己研鑽も含めるべきだと思うが、そうなると無制限に労働していることになるため、法的問題がいろいろ出てくると思う(40代男性/内科)
  • 厚労省の方針は理解しないでもありませんが「同調圧力」を計算に入れていません。自由意志が働きにくい部分(例えば患者の診断について本で調べる、など)については労働時間に参入すべきだと思います。なお私自身の場合は誰からも圧力を受けていませんので、労働時間に入らないと思っています(60代男性/脳神経内科)

どちらとも言えない

  • したくもない見学や論文執筆、発表準備などを上司の指示で行うのは疑いの余地なく労働である。他方、そのような拘束なく学ぶのに給料は不要と考えている(30代男性/形成外科)
  • 自己研鑽の中には直接仕事とは関連しないものもある。雇う側からするとそこに対価は払えないのではないかと思う(30代男性/脳神経外科)
  • 自己研鑽で得られた知識や資格は、今勤務している施設で活用するだけでなく、転職後も個人に利するものだから(60代男性/産婦人科)

あまりそう思わない

  • 自己研鑽の時間を業務としてカウントしてほしいとは思わない。その代わり、業務時間と業務時間後の概念を確立させ、残業は一切なしが原則になることが必要である(30代性別未回答/精神科)
  • 研鑽という名目で、医局でネットサーフィンなどしながら時間つぶしている働かない医師がいるから(50代女性/救急科)
  • 厚生労働省や労働基準監督署の意見には全く反対で、自己研鑽はあくまで自分のキャリアアップに繋がるもの。労働時間中は診療に専念して欲しい(70代以上男性/眼科)

まったくそう思わない

  • 自己研鑽が労働時間に含まれて報酬が発生することは、自己研鑽に対して義務やノルマが課せられることを意味します。本来、自由なスタイルで行える自己研鑽の自由度が奪われることに大きな抵抗を感じます(50代男性/麻酔科)
  • すべて自分のためにやっていること。また落ち着いてやるには自宅でパソコンに向かってやるのが自分に合っているので、労働時間とは考えていない(50代男性/総合診療科)
  • 含めると時間外労働時間が多くなるから。その分の賃金を払わなければならず、人件費の増加が経営を圧迫するから(60代男性/外科)

自己研鑽をしなければ仕事にならない、あるいは必須とみなされるものは労働として認めてほしいという意見がある一方で、すべてを労働時間としていたらきりがない、自己研鑽は勤務先だけではなく個人に還元されるという多様な意見がありました。

学会補助はある一方で、持ち出しも多数

続いて、医師の自己研鑽を医療機関側がどうサポートしているのかも聞きました。

具体的には、勤務先の制度やルールで自己研鑽に関連するものを尋ねたところ、学会に関する補助(労務面・コスト面)は制度・ルールとして存在するとわかりました。ただし、回答の割合はどれも半数以下で、中には使用回数や費用の上限額が設定されているところもあり、一部自己負担を強いられている医師は少なくないようです。

学会関連のほかは、「特になし」が33.7%。そして少数派ながら、資格取得費用や書籍代の補助などが設けられているという回答も見られました。

図3:勤務先にある、自己研鑽に関する制度やルール(20~70代の医師603名が回答)

自己研鑽の制度やルールに関しては、次のような意見がありました。

  • 自己研鑽の休暇申請は、その都度、病院側が判断して決めるとのことだが、それでは基準が曖昧で主観が入るおそれがある。誰が見ても、自分の申請が審査を通るのか通らないのか分かるように、事前に基準を明確にする必要がある(30代/精神科)
  • 本来業務に直接関連するものであれば、上司の指示がなくとも労働時間に含めてほしい(50代男性/産婦人科)
  • 病院がホームページに載せる資格は、維持・更新に補助を出すべき(50代男性/内科)
  • 学会や講習、資格更新にかかるコストについて、一部必要なものとして認めてほしい。また、必要経費として、税金を控除してほしい(50代男性/精神科)
  • 専門医更新のためだけの学会参加が今後多くなると思います。用事もないのに学会を理由に長期休暇をとる人がいて、こんなものにまで勤務先が補填していてはキリがありません。一方で演題を出しているのに自己負担がある医療機関もあります。メリハリをつけた補助を行うべきだと思います(60代男性/脳神経内科)

自己研鑽の扱いについては本アンケートでもさまざまな意見があり、職場によって対応が分かれることが予想されます。

そして制度が充実していると勤務医の満足度は高まりそうですが、適用基準などによっては不公平を感じるという声も寄せられました。自己研鑽に対する職場の考え方は、働きやすさや負担感にも影響を与える要素と言えそうです。

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