1. m3.comトップ
  2. キャリアデザインラボ
  3. 転職ガイド
  4. その他
  5. 「医療ステージ」を変えるキャリアチェンジ―医師の転職カルテvol.6
その他

「医療ステージ」を変えるキャリアチェンジ―医師の転職カルテvol.6

2018年9月14日

転職を機に、医療ステージ(勤務先の医療機能)を変える医師がいます。多くは、急性期医療から回復期や慢性期などに移りますが、高度急性期から急性期、あるいは研究職から在宅医療へと移るケースもあります。いずれも思い切った選択ですが、これまでとは違うやりがいを感じる医師も多いようです。具体的な事例を紹介しましょう。

プライベート重視や、他領域への強い関心が理由に

医師が医療ステージを変えようと考える理由は多岐にわたります。医師紹介会社のコンサルタントは次のように話します。
「急性期から回復期や慢性期に移る場合は、体力的な理由や家庭の事情で『もっとゆるやかな勤務にしたい』とおっしゃる先生が大半です。あるいは、急性期を脱した患者の転院先に関心を持った、というお話もよく聞きます」

いずれの場合も、医療ステージを変えるメリット・デメリットをよく理解したうえで決断することが大切です。

急性期から回復期や慢性期、在宅医療などに移る最大のメリットは、体力的な負担が少なく、プライベートの時間を確保しやすくなることです。超高齢社会の今、そうした領域の医師には大きな需要があります。公的病院から市中病院やクリニックに移る場合は、収入増が見込めるケースも少なくありません。また、新しい職場で新しい医療を学ぶことに知的な刺激を受け、やりがいや喜びを見出すことができます。緩和ケアへの転職の場合は、患者の人生の最終段階にかかわるだけに、大きな使命感を覚える医師もいます。

一方、デメリットとしては、提供する医療の幅が狭くなる可能性が挙げられます。慢性期以降の医療はキュアよりもケアの側面が大きく、高度な医療技術はあまり必要としません。卒後年数が浅く、これから幅広いスキルを身につけたい医師は慎重に検討すべきです。
また、しばらく急性期医療を離れていると、再び戻ることが難しい場合があります。いつか急性期に戻りたいのならば、医局に籍を残したり、週1日だけでも急性期の外来を持ったりする工夫が必要です。

「期間限定」で医療ステージを変える医師も

以下は実際の転職事例です。医療ステージの変更をもって、家族との時間を大切にする医師、別の専門領域で奮闘する医師……思い思いのキャリアを実現しています。

Case1 急性期から慢性期へ (50代、男性)
300床規模の急性期病院の循環器科部長を務めていた。加齢に伴う体力の低下を感じ、これまでと同じ働き方が辛くなってきた。クリニックで働く選択肢もあったが、ある程度の規模の病院でゆったり勤務したい希望があった。かねて急性期を脱した患者のその後に関心を持っていたことから、300床規模の療養型病院に転職した。
Case2 高度急性期から療養型へ (30代、男性)
大学病院の外科系診療科に勤務。プライベートの時間がほとんどないほどの激務が続いていた。幼い子どもが2人おり、配偶者が育児疲れで倒れてしまった。配偶者の負担を取り除くことができる働き方を希望した。家族と過ごす時間の確保を最優先にし、療養型病院に週3日勤務の条件で入職。30代後半とまだ若かったことから、子育てが落ち着いたら急性期に戻りたい。医局の籍は残してもらうように交渉し、非常勤で手術の手伝いもしている。
Case3 高度急性期から急性期へ (40代、男性)
大学病院の消化器外科で、長年、最先端の医療に携わってきた。しかし、当直やオンコールであまり帰宅することができず、家族が疲弊してしまった。子どもの情操教育のため、家族で自然の多い地域に移住することを決めた。某県の総合病院に転職し、以前よりゆるやかな勤務条件で働いている。当初は1年間の期間限定のつもりだったが、気に入って継続勤務している。

新たな領域で専門医資格を取得

Case4 慢性期から回復期へ (40代、男性)
神経内科医。慢性期病院で神経難病を中心に診てきた。業務の一環でリハビリに関わる機会があり、次第にリハビリに対する関心が高まっていった。現在の勤務先では、リハビリテーション科専門医を取得できないため、学会の認定施設へ転職した。
Case5 研究職から在宅医療へ (50代、男性)
後期研修修了以来、大学病院でがんに関する研究をしていた。50歳を超え、今以上に研究職で昇格することは難しいと感じ、転職を考えた。がんの研究をしていた関係で、以前から終末期医療に興味があった。臨床はほぼ未経験だが、コミュニケーション能力が高かった。医師紹介から在宅クリニックを紹介されて入職。日本在宅医学会の認定専門医を取得し、意欲的に勤務している。

エムスリーキャリアは、より多くの選択肢を提供します

先生方が転職をする理由はさまざまです。

  • 現状のキャリアや働き方へのご不安・ご不満
  • ご家庭の事情や、ご自身の体力面などの事情
  • キャリアアップ、新しいことへの挑戦
  • 夢の実現に向けた準備

など、多様なニーズに応えるために、エムスリーキャリアでは全国から1万件以上の求人を預かり、コンサルタントは常に医療界のトレンド情報を収集。より多くの選択肢を提供し、医師が納得のいく転職を実現しています。

転職すべきかどうかも含め、ご相談を承っています。

この記事の関連キーワード

  1. 転職ガイド
  2. その他

この記事の関連記事

  • その他

    「雇われ院長」のメリット・デメリット

    クリニックでは院長職や施設管理者、いわゆる「雇われ院長」を募集することがあります。クリニックで働く勤務医になりますが、病院勤務医とは異なるメリット・デメリットがあることをご存知でしょうか。今回は雇われ院長ポジションの特徴とその転職事例について詳しくご紹介します。

  • その他

    開業医に迫る「コロナ閉院」で勤務医へ

    新型コロナによる収入減は、医師も他人事ではありません。中でも開業医は建物・設備の固定費、スタッフの人件費に多大な費用がかかるため、コロナ禍の経営難を機に閉院し、勤務医に戻るという人が出てきています。閉院という開業医最後の大仕事を全うしつつ、転職活動を進めるにはどうしたらいいのか――。今回は医師人材紹介会社を活用して、開業医から勤務医に転職した事例をご紹介します。

  • その他

    円満に退局したい…タイミングや切り出し方は?

    大学医局からの転職を考える医師にとって、円満退局できるかが転職の成否を分けます。実際、医局との退局交渉がうまくいかず、内定が出ていた医療機関への転職がとりやめになるケースもあります。医師転職支援会社のコンサルタントに、転職に伴う退局の事例と、円満退局のためのアドバイスを聞きました。

  • その他

    「数年後に転職したい」動くべきタイミングは?

    転職はしたいが、事情があって入職時期は2~3年先になってしまう――。このように長期的なスパンで転職を考える医師は少なくありません。どのタイミングで転職活動を開始すべきか悩ましいところですが、医師人材紹介会社のコンサルタントは「入職時期が数年先でも、早めに動いておいた方がいい」と話します。この理由について、実際の転職事例を交えて解説します。

  • その他

    パートナー都合で転職することになったときに、気を付けたいこと

    もし、パートナーが転勤を命じられたり、転居を伴う転職をすることになったりして、自分自身も転職せざるを得なくなったら──。馴染みがない土地で、新しい職場をどのように探せばよいのでしょうか。今回は、パートナー都合による転居を伴った医師の転職事例と転職活動時のチェックポイントについて、医師人材紹介会社のコンサルタントにお聞きしました。

  • その他

    介護でUターンする医師の転職事情とは

    故郷に住む親の介護をどうするか――。医師としてキャリアを積み、仕事が波に乗ってきた頃に浮上する悩みです。急に親が倒れてやむを得ずUターン転職、というケースもありますが、数年後を見据えて早めに転職する医師も多いようです。医師人材紹介会社のコンサルタントに、実例や転職時のポイントを聞きました。

  • その他

    子育て中の女性医師が、転職に踏み切る理由

    女性医師のキャリアは、出産や子育てによって少なからず変動します。以前であれば、出産を機に医療現場から離れるケースがよくありました。しかし、最近は子育て中であっても常勤で活躍したり、非常勤から常勤に復帰したりする女性医師が珍しくないようです。医師人材紹介会社のコンサルタントが、事例に基づいて解説します。

  • その他

    60歳以上の医師の転職事情とは?

    「生涯、医師であり続けたい……」。そう思いつつも、定年後のセカンドキャリアを具体的にイメージしていない医師は少なくありません。60歳以上の医師の転職市場と、定年後に転職を果たした医師の事例について、医師人材紹介会社のコンサルタントに聞きました。

  • その他

    グループ病院にまつわる“ノルマ”は本当か?

    「グループ病院」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。売り上げノルマがある、離職率が高い……そうしたイメージがあるとしたら、誤解かもしれません。グループ病院で働くメリットやデメリット、実際の転職事例について、医師人材紹介会社のコンサルタントが語ります。

  • その他

    産業医への転職事例。病院への転職とどう違う?

    企業の従業員の健康を守り、近年では企業の健康経営の担い手としても期待される産業医。臨床以外のキャリアを考える医師に、以前から人気のある働き方です。企業と医療機関とでは、転職活動の流れや入職後のポジションが異なります。

  • 人気記事ランキング

    この記事を見た方におすすめの求人

    常勤求人をもっと見る