1. m3.comトップ
  2. キャリアデザインラボ
  3. 転職ガイド
  4. その他
  5. 円満に退局したい…タイミングや切り出し方は?―医師の転職カルテvol.19
その他

円満に退局したい…タイミングや切り出し方は?―医師の転職カルテvol.19

2020年4月3日

大学医局からの転職を考える医師にとって、円満退局できるかが転職の成否を分けます。実際、医局との退局交渉がうまくいかず、内定が出ていた医療機関への転職がとりやめになるケースもあります。医師転職支援会社のコンサルタントに、転職に伴う退局の事例と、円満退局のためのアドバイスを聞きました。

円満退局のために確認しておきたい2つのポイント

医師転職支援会社のコンサルタントによると、円満退局のために確認しておきたい2つのポイントがあります。

1.退局に対する医局の姿勢

退局の難しさは、医局の姿勢によっても異なります。 コンサルタントによると、「私立大学は比較的退局しやすく、国公立は地域によっては難色を示されやすい傾向があると感じる」と話します。また、人員が不足している医局ほど、退局交渉のハードルが上がることが予想されます。 可能であれば、同僚や上司に過去の退局事例をそれとなく聞いてみるなどして、所属医局の退局に対する姿勢について情報収集したいところです。情報が集まらない場合は、転職支援会社に相談すると、その地域に詳しいコンサルタントが知っている場合もあります。

2.退局したい理由や意思が明確か

医師にとって、退局は大きな選択です。「自分の希望は退局しなければ叶えられないのか」「なぜこのタイミングで退局したいのか」ということを、しっかり整理しておくことが大切です。退局の意思が明確に固まっていない段階で医局に申し出ると、退局を取りやめる可能性も大きく、その場合には医局での居心地が悪くなるなど、後悔を生むかもしれません。仮に退局することになっても、意思が定まっていないとスムーズな退局交渉の妨げとなり得ます。 また、転職のための選択肢は、現職残留か退局の2択とは限りません。医局によっては、「医局人事からは離れるが、籍は残す」「非常勤として週に1コマだけ残す」などを打診されることもあり得ます。 退局を申し出る際は、医局から一度は引き止められることを想定しておきましょう。

円満退局できた事例、できなかった事例

円満退局できた事例

以下の3つは、退局への意思や時期を固め、円満退職に至った事例です。医局の状況や退局への姿勢を踏まえて、退局相談や転職活動などの行動に移していることが分かります。

Case1 最後の医局派遣先にへき地を希望 地方大学医局所属の内科、40代男性。子どもの中学受験を見据え、教育環境が充実している首都圏への転職を希望していた。退局時期の数年前から医局に意向を伝えており、最後の医局派遣先として、へき地診療所勤務を希望して単身赴任。医局に貢献した上で円満退局し、希望通りの転職を果たした。

Case2 退局申し出前に内定を獲得 関東の大学医局所属の内科、30代男性。仕事中心で忙しく働いていたが、2人目の子どもが生まれることをきっかけに「もっと子育てに参加したい」と、キャリアとQOLが両立できる職場への転職を検討し始めた。医局に退局を相談する前に転職活動を開始。専門医資格を維持できる環境の医療機関から内定を得た。医局に退局を申し出ると、退局理由が家庭事情であり、かつ、すでに次の職場から内定が出ていたことなどから承諾され、退局までスムーズに進んだ。内定から1年後に新しい職場に入職した。

Case3 1年半後の退局に向け転職活動 地方大学医局所属の脳神経外科、30代男性。所属大学には研究分野の症例が少なく、都市圏で研鑽を積みたいと転職を希望。後任が必要になるため、医局に相談すると、「1年半待ってもらえたら調整する」との回答があった。「本格的な転職活動はまだ先でいいだろう」と考えていたが、情報収集も兼ねて転職支援会社に登録。コンサルタントから、「先生のスキルを踏まえると、1年半後の入職でも待ってくれる医療機関はあるはず」と助言され、転職活動をスタートした。面接を受けた施設からは、「1年半後でもぜひ来ていただきたい」と歓迎され、内定を受諾。大学側の希望で医局に籍は残しつつ、転職に至った。

退局に苦労した事例、退局を取りやめた事例

以下の2つは、退局の意思を固めきれず、退局を取りやめた事例です。

Case4 在籍と退局で迷い… 転職活動を中断し、1年かけて退局を決意 関西の大学医局所属の産婦人科、30代女性。業務量・労働時間の過多が改善されず、転職を検討。医局に退局意向を伝えたが難色を示されている状態で、転職支援会社に登録した。希望を叶えられそうな医療機関に面接に行ったが、医局を離れることへの不安が残り、選考を途中で辞退。転職活動を中断し、医局に残った。しかし1年後、あきらめていた退局への思いが募り、再度転職を検討し始める。医局と根気強く退局交渉をして、了承を得られたため、希望を満たす条件の施設に転職した。

Case5 医局と良好な関係を維持するため、退局を断念 西日本の大学医局所属の外科、50代女性。高齢の親を支援できるよう、ワークライフバランスを重視して、転職を検討。転職支援会社に登録後、長く働けそうな医療機関から内定をもらったが、人づてに、所属医局と内定先にいる医師の関係性がよくないことを耳にした。退局後も医局とは良好な関係を維持したかったため、「そこに転職すると、自分と医局との関係性も壊れるのでは」と不安になり、入職を断念。ほかの転職先を探すつもりだったが、医局に退局を相談したら強く引き止められ、転職は取りやめることに。

スムーズな円満退局のためのコンサルタントからのアドバイス

円満に退局するためには、具体的にどのように行動すればいいのでしょうか。コンサルタントに、医局に相談するタイミングや転職活動を始める時期などについて聞きました。

Q.医局に退局の話をする前に、転職活動を始めてもいいのでしょうか?

まだ転職の意思を固めていない、まだ医局に退局の相談はしていない、という段階で、転職支援会社に登録をいただく先生は多くいらっしゃいます。 医局に残った方がいいのか迷っていらっしゃる先生に、コンサルタントが無理に退局を勧めることはありませんし、むしろ「先生のご状況でしたら、医局に残った方がいいかもしれません」と助言させていただくこともあります。また、医療機関によっては、正式な応募の前に、見学のみの応募でも受け付けています。 「退局の意思は強いが、医局からOKが出るか不安」という先生の場合は、次の職場から内定が出ていれば、医局としても引きとめにくくなりますので、早めに転職活動を進めておくことは一つの手だと思います。 一方で、柔軟な雰囲気のある医局であれば、早めに相談しておくことで、退局のスケジュール感が見え、安心して転職活動ができるということも考えられます。医局やご自身の状況を踏まえて判断することがおすすめです。

Q.最初に誰に相談した方がいいでしょうか?

まずは、情報収集のために過去の退局事例を調べることがお勧めです。退局者に相談できそうでしたら、退局を相談した相手、退局を申し出たときの医局の反応、その方の場合の転職までのスケジュールなどを確認できると、参考になると思います。 職場内での最初の相談者については、医局によっても異なりますが、一番親しい先輩か、医局長をお勧めしています。

Q.入職希望時期のどれくらい前に、医局から退局のOKをもらっていることが望ましいですか?

一般的には、転職先への入職の半年前までにOKをもらっていると安心です。医局によっては「3か月前でも大丈夫」「1年前までには」というところもあるようですので、繰り返しになりますが、やはりご自身の所属する医局についての情報収集が重要ですね。 逆に「いつなら上司に退局相談を切り出せそうか」ということを踏まえて、転職活動での面接のタイミングを決めてもいいと思います。

Q.退局しても、専門医などの資格は維持できますか?

「退局したいので、資格を維持できる病院を紹介してほしい」というリクエストをいただくことは多いです。地域や資格にもよりますが、大学病院以外にも資格を維持できる施設は割とありますので、ぜひコンサルタントに相談していただきたいです。

転職をお考えの先生へ

もしも先生が転職をお考えでしたら、エムスリーキャリアにお任せください。
先生が、最善の意思決定をできるようサポートしています。

転職活動はさまざまな事務作業が伴い、情報収集や、面接等のスケジュール調整、条件交渉などを個人で担うと負担が重くなります。これらはすべて、エムスリーキャリアのコンサルタントにお任せいただけます。

また、条件交渉では、先生から直接は言いにくいことをコンサルタントが代わりに伝えるため、精神的な負担も少なく済むかと思います。

転職をご検討中でしたら、ぜひご連絡ください。

エムスリーキャリアは全国10,000以上の医療機関と提携して、多数の求人をお預かりしているほか、コンサルタントの条件交渉によって求人を作り出すことが可能です。

この記事の関連記事

  • その他

    「雇われ院長」のメリット・デメリット

    クリニックでは院長職や施設管理者、いわゆる「雇われ院長」を募集することがあります。クリニックで働く勤務医になりますが、病院勤務医とは異なるメリット・デメリットがあることをご存知でしょうか。今回は雇われ院長ポジションの特徴とその転職事例について詳しくご紹介します。

  • その他

    開業医に迫る「コロナ閉院」で勤務医へ

    新型コロナによる収入減は、医師も他人事ではありません。中でも開業医は建物・設備の固定費、スタッフの人件費に多大な費用がかかるため、コロナ禍の経営難を機に閉院し、勤務医に戻るという人が出てきています。閉院という開業医最後の大仕事を全うしつつ、転職活動を進めるにはどうしたらいいのか――。今回は医師人材紹介会社を活用して、開業医から勤務医に転職した事例をご紹介します。

  • その他

    「数年後に転職したい」動くべきタイミングは?

    転職はしたいが、事情があって入職時期は2~3年先になってしまう――。このように長期的なスパンで転職を考える医師は少なくありません。どのタイミングで転職活動を開始すべきか悩ましいところですが、医師人材紹介会社のコンサルタントは「入職時期が数年先でも、早めに動いておいた方がいい」と話します。この理由について、実際の転職事例を交えて解説します。

  • その他

    パートナー都合で転職することになったときに、気を付けたいこと

    もし、パートナーが転勤を命じられたり、転居を伴う転職をすることになったりして、自分自身も転職せざるを得なくなったら──。馴染みがない土地で、新しい職場をどのように探せばよいのでしょうか。今回は、パートナー都合による転居を伴った医師の転職事例と転職活動時のチェックポイントについて、医師人材紹介会社のコンサルタントにお聞きしました。

  • その他

    介護でUターンする医師の転職事情とは

    故郷に住む親の介護をどうするか――。医師としてキャリアを積み、仕事が波に乗ってきた頃に浮上する悩みです。急に親が倒れてやむを得ずUターン転職、というケースもありますが、数年後を見据えて早めに転職する医師も多いようです。医師人材紹介会社のコンサルタントに、実例や転職時のポイントを聞きました。

  • その他

    子育て中の女性医師が、転職に踏み切る理由

    女性医師のキャリアは、出産や子育てによって少なからず変動します。以前であれば、出産を機に医療現場から離れるケースがよくありました。しかし、最近は子育て中であっても常勤で活躍したり、非常勤から常勤に復帰したりする女性医師が珍しくないようです。医師人材紹介会社のコンサルタントが、事例に基づいて解説します。

  • その他

    60歳以上の医師の転職事情とは?

    「生涯、医師であり続けたい……」。そう思いつつも、定年後のセカンドキャリアを具体的にイメージしていない医師は少なくありません。60歳以上の医師の転職市場と、定年後に転職を果たした医師の事例について、医師人材紹介会社のコンサルタントに聞きました。

  • その他

    グループ病院にまつわる“ノルマ”は本当か?

    「グループ病院」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。売り上げノルマがある、離職率が高い……そうしたイメージがあるとしたら、誤解かもしれません。グループ病院で働くメリットやデメリット、実際の転職事例について、医師人材紹介会社のコンサルタントが語ります。

  • その他

    産業医への転職事例。病院への転職とどう違う?

    企業の従業員の健康を守り、近年では企業の健康経営の担い手としても期待される産業医。臨床以外のキャリアを考える医師に、以前から人気のある働き方です。企業と医療機関とでは、転職活動の流れや入職後のポジションが異なります。

  • その他

    転職を機に、自由診療領域に挑戦した医師たち

    医師の働き方の一つとして、自由診療があります。病気を治すことを目的とする保険診療とは異なり、自由診療はゼロからプラスを作る領域とも言われます。抵抗感を示す医師が多い一方で、関心が高い医師がいるのも事実です。

  • 人気記事ランキング

    この記事を見た方におすすめの求人

    常勤求人をもっと見る