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病気やハンディキャップを抱える医師の転職―医師の転職カルテvol.4

2018年9月12日

医療のプロである医師も、時には病気やけがを負います。治療や療養が一区切りつき、再び医療現場に戻る際、これまでと同じ働き方ができるといいのですが、必ずしもそうとは限らないのが現実です。病気やハンディキャップを抱える医師が、納得できる転職をするにはどうすべきか――。医師紹介会社のコンサルタントが、実際のケースに基づいて解説します。

心身の状態によって、適した転職先が変わる

脳梗塞の後遺症で麻痺や言語障害が残った、糖尿病性腎症で人工透析が必要となった、人間関係のストレスからうつ病を発症した――。このような理由で転職を検討する医師は、実は珍しくありません。医療機関側に事情を理解してもらう必要があるため、健康な時よりも転職先探しが難しく、医師紹介会社を利用するケースが多いようです。
医師紹介会社のコンサルタントによると、心身の状況に応じて、紹介する医療機関も異なってきます。

「身体的なハンディキャップがある場合は、療養型病院や慢性期病院の病棟管理、透析管理などをご紹介します。言語障害が残る場合は、訪問診療をご提案することがあります。いずれも、ある程度ゆっくり診療ができるので、ハンディキャップがそれほど影響しないことが多いからです。定期的な人工透析を必要とする場合は、健診センターの非常勤やスポット勤務が適していることがあります」
うつ病など精神面に影響がある場合は、医療機関の種類を選ぶというより、いかに上司となる医師の理解を得るかがポイントです。コンサルタントから詳しい事情を説明したうえで、入職後も面談や電話などのサポートをすることがあります。

必要なサポートや、業務負荷の許容範囲を明確に

病気やハンディキャップがあることを転職先に伝える際は、丁寧な手続きを踏みます。言語障害や麻痺などは個人を特定しかねないため、医師本人の許可を得て、選考段階で医療機関側に氏名を伝えることがあります。うつ病などの場合は、現在の症状だけでなく、これまでの服薬履歴や入院歴の有無についても確認することも。入職後に想定外のことが起きては、医師本人も医療機関側も困るからです。

心身にハンディキャップがあると、少なからず現場のサポートが必要なため、事前のすり合わせが大切です。
「入職した場合は、どの程度の業務負荷が可能で、どのような介助が必要か。出勤後はどのような流れをとるかなどを明確にし、入職後のイメージを膨らませます。看護師や他のコメディカルの理解も大切なため、選考段階でトライアル勤務をしてもらうこともあります」
転職先の年齢構成にも配慮が必要です。年齢が離れている医師が多いと、何かあった時に相談しにくいため、なるべくメンターとなる医師のいる医療機関を選択します。

なお、うつ病などをコンサルタントに打ち明けにくいという医師もいますが、忌憚なく事実を伝えた方が転職活動はスムーズです。面談時の印象や、職務経歴に中断がある場合には、コンサルタントから確認されることもあります。
前出のコンサルタントは、「ご本人が今どういう状況で、これからどういう働き方をしたいか。どこまで努力できて、どこまで譲歩できるかを、一緒に整理していくことが大切です」と言います。

ハンディキャップへの理解を得て、希望に適った転職

実際に、病気などのハンディキャップがある医師の転職事例を紹介しましょう。

Case1 脳梗塞で麻痺が残った医師(50代、男性)

もともとは消化器外科医。脳梗塞を発症後、左手に麻痺が残った。子どもの大学進学を控えているが、専業主婦の配偶者に働いてもらうことに抵抗があるため、約1年のブランクを経て仕事復帰を検討。
本人は外科で手術の介助をしたいと希望したが、条件に合う医療機関はなかなか見つからない。募集の多い療養型病院や老人保健施設などへの入職は希望しなかったため、コンサルタントは精神科病院の内科を提案。精神科患者の内科コンサルを受けたり、職員の体調を診たりするポジジョンである。これまで内科診療は未経験だったが、医療機関側の面談では「消化器外科が専門であれば大丈夫」と言われ、ハンディキャップへの理解も得られた。

Case2 発達障害で休職経験のある医師

一般内科医。過去に仕事で失敗してから職場に行けなくなり、引きこもり経験がある。しかし、医師の仕事を続けたいため、人材紹介会社に相談した。コンサルタントは「ご自身の苦手なこと、得意なことを書き出し、自分自身をしっかり見つめましょう」とアドバイスした。すると、緊張しやすく、コミュニケーションが苦手であることが浮き彫りになった。
履歴書にはこれまでの経歴を偽りなく書き、面接時に伝えたいことを前もって書き出して用意した。面接にはコンサルタントも同席し、医師がうまく伝えられないことを丁寧にフォローした。結果、経営陣や現場医師の理解を得られ、入職が決まった。
その後、一度休職をしたが長い目で見守ってもらえた。現在は復帰し、活躍している。

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