m3会員を対象に座右の銘、大事にしている言葉について聞く本シリーズ。後編では、50代~80代医師が大切にしている言葉とその理由をご紹介します。
50代
One for all, All for one
・単純明快なメッセージで覚えやすかった。後にラグビー用語と知って好きな言葉になった。(呼吸器内科)
to cure sometimes, to relieve often, to comfort always
・16世紀のフランス人外科医アンブラワーズ・パレの言葉です。医療には科学的エビデンスに基づくサイエンスの面と、人の心を癒すアートの面があり、そのことを表した良い言葉だと思います。(乳腺甲状腺外科)
あわてず、急いで、正確に!
・もともとは『さらば宇宙戦艦ヤマト』の中のセリフです。斎藤始が真田志郎に言うのですが、聞くたびに涙が出るシーンです。医師として仕事をしていくうちに思い出しました。蘇生中は常に自分にそして他人にも言い聞かせながら臨んでいます。(麻酔科)
やって見せ言って聞かせてやらせて見せ、褒めてやらずば人は動かず
・麻酔科指導医を取った後、後輩の指導に悩んでいた時、麻酔科科長におしえていただいた。山本五十六の言葉です。(麻酔科)
開業医はバカであれ
・開業する時に、尊敬する先輩開業医から言われた言葉です。色々な理不尽なことに突き当たる度、この言葉を噛み締めて精進してきました。まだまだ境地には達していません。(小児科)
教科書はただの参考書!目の前の患者さんが教科書!
・受け持った患者さんが難治性疾患で、自分自身の知識を蓄えるために、いろんな教科書で勉強していた時に、他の病院の先輩に偶然教えてもらった。急いで、患者さんのベッドサイドへ行って、訴えを詳しく聞く日々を重ね、、、、治療の甲斐もあり、軽快し退院していった。嬉しい思い出。(皮膚科)
自分を好きな人半分、嫌いな人半分
・子供の頃から母親に言われていました。そう思うことで、いろんな考えの人がいるのだという意識が根付いたような気がします。(科目不詳)
神経と血管に尊敬の念を持って臨まないといけない
・手術をする際によく言われていた言葉。合併症など結果が良くないときに「もっと神経と血管に尊敬の念を持って臨まいといけない」という言葉が印象に残っています。もちろん患者さん自身が第一ですが手術となると脳の微細な操作をすこしでも誤ると取り返しのつかない状態になるためこういった言葉を自分の戒めにもするかのように言われていました。自分が術者になってからも、この言葉はどんな手術のときでも必ず思い出して手術に臨んでいました。(脳神経外科)
泡食いなそ
・のちに外科医となった父が幼少期、当時外科医であった祖父の膝の上でビールの泡を飲ませてもらい(第二次世界大戦中のことです)ビールの泡は飲んでもよいが、どんなときも泡食いなそ(泡を食ったようにあわてるな)と教えられたと、同じように教えられた。私も外科医ですがさまざまな状況でテンパりそうになったら今でも思い出しています。(肛門科)
60代
学問に王道なし
・全ての学びに通じる。天才でも秀才でも私は努力して毎日継続して頭と体で学んでいくことが大事。そしてこれは私を含む多くの凡人に当てはまると思う。他人と比較してもあまり意味がない。自分がどこまで努力できるかだと思う。(精神科)
患者と同じ目線で話をする
・親父は同じく開業医でしたけどいつも患者と治療以外のいわゆる世間話を良くしていました。余計な雑談ばかりしてと思っていたが医は仁術とはこの事知りました。パソコンばかりの医療はダメだと思います。(整形外科)
敬天愛人
・お天道様がいつも見ているよ、過酷な勤務状態でもめげない・・・(糖尿病科)
健全なる精神は健全なる肉体に宿る
・言葉自体は小学生の頃に知ったと思いますが、その言葉の持つ意味を自分でハッキリと理解したのは医師になってからです。忙しい日々の生活に追われている時に、疲れが溜まってくると、ちょっとしたことを『まあ、いいか』と済ませてしまったり、今やっておかなければいけないことをつい先延ばしにしたりします。患者さんを診ていくためには、まず自分の体調をキチンと管理することの重要であるということが、主治医として患者を持つようになってから本当にわかるようになりました。(内科)
実るほど頭を垂れる稲穂かな
・特にありませんが、日常の診療において、患者さん、看護師さんをはじめコメディカルのみなさんに助けてもらっていると、実感しています。その時に謙虚にしなければ、痛い目に合うと思いますし、見た目にもよくない例をたくさん見てきました。そういう時は、自分のことのように自分を戒めています。生きていくことは、実に辛い。(内科)
小人閑居して不全を為す
・いくつかの職場を経験して、目標とする仕事の少ないところのほうが人間関係のいざこざが多いことに気が付いた。(脳神経外科)
消化管の内視鏡を行う者は心の内視鏡も心掛けなさい
・大学卒業に入局した恩師の教えです。消化器内科医として、心身両面から患者さんをしっかりと診なさい、という意味ですが、今でも座右の銘として心に刻んでおります。(消化器科)
先人の跡を師とせず、先人の心を師とすべし
・もう既に亡くなった先々代のさらに前の教授が大事にしておられた格言で志賀潔先生の直筆です。教室の消毒・滅菌室の壁に何気なく吊ってあって大事にしていないようでしたが、現在は記念講堂に輝かしく飾られています。内容は私が定年まで実行してきた通りです。ま、臨床に帰らず基礎医学にいそしんできたことです。(科目不詳)
大胆かつ繊細に
・血管造影、TAE中に自分に言い聞かせながら、治療を行っていた。(小児科)
忍耐と寛容
・トップとして仕事をするうえで必要なこと。(泌尿器科)
病気を診ずして病人を診よ
・日常診療では、「病気を診ずして病人を診よ」に従って、病人の心を癒す事を第一にしています。病気なんか殆ど診ていません。(内科)
不羈独立
・何にも頼らず自力で生きていくために自分を高めていきたい、そのために常に自分のそばに置いてく言葉として選びました。岩波の国語辞典の最初から最後まで目を通すことを決め、途中で出会った不羈という言葉になぜか惹かれました。青い春の思い出です。(整形外科)
70代以上
医は仁術
・大学の教訓である。(内科)
患者さんは最高の先生である
・患者さんは1人として同じ病態ではない。1人1人が君にその病態を教えてくれる最高の先生ですよ。しっかり向かい合って教えていただきなさい。と言われた。(脳神経内科)
金剛心
・書道大会の優秀賞として賞品に有名審査員の先生が色紙に揮毫されたものをいただいた。その時は、小学生であり、意味は分からないが、何となく良い言葉であるくらいの認識であった、長じて責任のある立場にたってから、逆に揮毫を頼まれるようになったときに、この金剛心を好んで書いている。(麻酔科)
死ぬこと以外はかすり傷
・若い時苦労、落ち込む事があったが、長い人生、現在76歳になって、今はしあわせを感じる事が出来ていると思われる。現在は楽しく、しあわせに死ぬことを考えている。(精神科)
- 10代の“出会い”は永遠? 医師が胸に刻む言葉 ─医師に聞く座右の銘(前編)
- 「看護師の勘に従え!」 20代~40代医師の座右の銘─医師に聞く座右の銘(中編)
- 「あわてず、急いで、正確に!」50代以上医師の座右の銘─医師に聞く座右の銘(後編)【本記事】
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