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調査

「後世に残る戦い」医師が振り返るコロナ禍―2020年の振り返りと2021年の抱負(前編)

2020年12月28日

先生にとって2020年はどのような1年でしたか。2020年は何と言っても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の話題が尽きず、私たちの生活が一変する1年となりました。今回は医師388人が回答したアンケート(※)から、2020年の満足度と抱負の実現度をご紹介します。

(※)2020年12月12~16日、m3.com会員の医師を対象にエムスリーキャリアが実施

満足度は「余裕ができたかどうか」で差

2020年の仕事の満足度は「満足している」が42.3%、「どちらとも言えない」が32.5%、「満足していない」が25.2%と、満足している層がやや多めでした。

図1:2020年の仕事の満足度(20~70代の医師388人が回答)

一方、プライベートの満足度はどうでしょうか。こちらは「満足している」が37.1%、「どちらとも言えない」が34.0%、「満足していない」が28.9%でした。仕事の満足度よりも「満足している」層が5.2ポイント減ったものの、概ね満足度の割合は変わらないようです。

図2:2020年のプライベートの満足度(20~70代の医師388人が回答)

2020年前半に同様のアンケートを行った時は、仕事・プライベートともに新型コロナウイルス対応の影響が及んでいました。本アンケートにより、その影響は年間にわたることがわかります。自由回答では多くの先生がコロナ禍に言及しました。一部を、仕事とプライベートに分けてご紹介します。


満足している(「とても満足している」「やや満足している」の回答者)

仕事

  • コロナの影響で診療体制に大きな変化はあったが、後世に残る感染症との戦いを実感できたため(20代男性/内科)
  • 手術件数が多かった。困難症例も多かったが、合併症が少なかった(40代男性/外科)
  • 今年は自分にとって医者としての転換期だったかと思います。長年慣れ親しんできた内視鏡を捨て、療養型病院の医師として再出発しました。自分の年齢を考えると、これから先10年間以上医師をやっていくためには最良の選択だったと思っています(60代男性/内科)

プライベート

  • 家族とも友達とも楽しい時間を過ごせました。また、今の自分がとても好きで充実した生活を送れたと思います(40代女性/リハビリテーション科)
  • 医師の仕事があまり忙しくなかったので、時間の余裕ができてIT関連の仕事にも着手できるようになった(50代男性/内科)

どちらとも言えない

仕事

  • 初めて大学病院での勤務になった。希少疾患や重症例は圧倒的に多く、手技や考え方など新たに吸収したことは多かった。一方、働きやすさは市中病院に遠く及ばず、トータルではプラマイゼロだと感じた(30代男性/小児科)
  • コロナで非常勤の先生方がみんな休み、患者さんが増加する中で、4日勤務で6日分の仕事をして疲れているから(50代男性/小児科)
  • コロナで患者が減り、楽になったが給料も減った(70代以上男性/眼科)

プライベート

  • 旅行に行けなかったが貯蓄はできた(40代男性/外科)
  • 新型コロナのために数々の行事が延期になった(50代男性/皮膚科)

満足していない(「あまり満足していない」「満足していない」の回答者)

仕事

  • コロナの影響で受診抑制があり経営的に厳しい。患者さんも薬が切れても平気になってきて、受診時には随分状態が悪化している人もいた(50代男性/内科)
  • コロナで外来・入院患者が減り、また感染対策や発熱外来などに労力を割かざるを得なかった。研修医・専攻医に十分な症例を提供できず、教育面でも不十分だった(50代男性/内科)
  • 講演会のほか大学講義まで中止になり、多くの準備が無駄になった。これを機にWEB配信が主流になると思うが、演者の立場としてはどこまで引用が許されるかなど課題未解決のまま、物事が視聴者本位で進められており、今後、もはや協力できなくなるのではないかと思う(60代男性/脳神経内科)

プライベート

  • 医療者の自覚から外出を最低限にしていたから。病院と自宅の往復のみです(50代男性/内科)
  • 主要なレース(ロードバイク、マラソン、スキー)や学会がリモートになってしまった(50代男性/外科)

2020年の抱負を叶えた医師は約2割

満足度に続き、2020年の年始に抱負や目標は決めていたかとその実現度を伺ったところ、59.0%の医師が何かしらの抱負を抱いていたことがわかりました。そして全体のうち25.3%は、その抱負を実現できたとも回答しています。

図3:2020年の抱負の実現度(20~70代の医師388人が回答)

一方で、自由回答からはコロナ禍の長期化によって、やむを得ず実現できなかった状況も垣間見えました。実現できた抱負と、実現できなかった抱負は、以下のような回答がありました。


実現できた抱負

  • 誠実に仕事をする
  • 健康で仕事を続ける
  • 論文を出版する
  • 病床稼働率上昇と定床確保
  • 診療機能の低下を防ぎ、来たるべき閉院に向けて、日々を充実させる

実現できなかった抱負

  • 前年比10%増の業績
  • 論文執筆がまだ途中
  • 医療安全管理者として医師への啓発活動
  • 迅速かつ的確な臨床上の判断、講演収入の向上、研究着手
  • 海外3回、温泉6回、当直15回

仕事・プライベートの満足度は「満足している」人がやや多いものの意見が割れ、2020年の抱負を立てて実現できた医師は4人に1人に留まったとわかりました。先生の2020年の満足度はいかがでしょうか。中編では「仕事」をテーマに、2020年を振り返ります。

同テーマの記事シリーズはこちら

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