2020年もそろそろ終わり……。年末年始は全国的にCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行が収まらないまま迎えることになりそうです。今シーズンの医療機関の忘年会・新年会事情を、医師1037人が回答したアンケート(※)から探ります。
※ 2020年11月28日~12月6日、m3.com会員の医師を対象にエムスリーキャリアが実施
職場の忘・新年会、今シーズン「開催」はわずか3%
今シーズン、職場で忘・新年会を「開催しない」と回答した医師は91.1%で、ほとんどの職場で開催されないことがわかります。内訳は、「昨シーズンは開いた」が72.3%、「昨シーズンも開かなかった」は18.8%です。一方で、開催予定と回答した医師はわずか3.2%でした。
また、忘・新年会を開催しない人に尋ねると、91.7%がその判断にCOVID-19の流行が影響していると回答しました。
開催について、職場で「COVID-19流行に関する議論がなかった」のは47.7%で、「議論があった」の43.8%をわずかに上回りました。「議論するまでもないほど、開催しないのは当然」と判断した職場も少なくなかったことが推察されます。
「忘・新年会開催しない」が最も顕著な職場は?
職場別に、開催判断を見てみましょう。
今シーズン忘・新年会を「開催しない」と回答した医師が最も多かった勤務先は、施設(老健、介護医療院等)で94.4%。「開催する」と回答した医師はゼロでした。COVID-19が重症化しやすい高齢入所者が多いためか、医療機関以上に慎重になっている様子がうかがえます。
クリニックは「開催する」の割合が6.9%と、ほかの施設(0%~1.9%)と比較するとやや高め。職場の規模が小さいことが開催判断に影響しているのかもしれません。
医療機能別にみると、開かない割合はどの医療機能も90%前後と高いものの、「昨シーズンは開いたが今シーズンは開かない」職場については、慢性期の66.1%に対し、高度急性期~回復期は76.1~77.8%。高度急性期~回復期の職場の方が、昨シーズンは開いていた割合が高い分、変化が大きそうです。
医師たちの葛藤…「宴会気分にはなれない」「人数少なく、短時間なら」
医師たちは、職場の忘・新年会の開催について、どのように感じているのでしょうか。
寄せられた声の一部を紹介します。
※一部編集しています
忘・新年会の反対派からは、医療従事者としての責任を重んじる意見が多く寄せられました。
◇医療従事者として
- COVID-19の院内感染は起こせない
- COVID19の感染予防が最重要の職務と考えているため
- 医療関係者は控えるのが正解でしょう
- この時期に医療従事者が飲み会を開くなど非常識
- クラスターを発生した病院でもある。また、このご時世、医療従事者として基本を示すべきであり、正直、宴会気分にはなれない
- どんなに工夫しても3密は防げない。我々医療従事者がCOVID-19に感染し、他の人に感染させることは医療崩壊につながる
◇医療機関として
- クラスターが起きたら病院運営が難しくなることで、住民に対して申し訳が立たなくなる
- マスクを外して飲食や会話すること自体が感染リスクとなり、万が一水平伝播した場合には職員の大量離脱につながる
- 医療機関だけに万全の準備をして行っても結果感染者が出たら信頼を失い、契約している施設や患者様を失うので開催をしない、と言う一択しかない
- 入院患者に高齢者が多いので院内クラスターが発生したら病院経営も影響が及ぶと思う
◇リスク管理
- いらぬ心配のもとを作らないこと
- 流行地域であるから
- リスクを冒してまで行うべきものではない(非難されることを含め)
- 仕事の相手が高齢者で基礎疾患がある
◇社会の目
- このご時世、感染がなかったとしても世間体が悪い
- この時期には印象としても、感染対策としても開催しない方が良い
- この状況での開催は社会に受容されないと思います
- 医療従事者が集団感染するとニュースになるため
◇もともと忘・新年会反対派
- もともと職場忘年会は無くなってほしいから。
- もともと忘年会が嫌いだから
- もともと忘年会には参加したくなかった(アルコールが好きではない)
一方で、「開催してもいいのでは」と考える医師からは、感染対策をして臨むという声が集まりました。
◇感染対策をする
- クリニックでお店を貸し切り、参加者は普段仕事を一緒にしているスタッフのみなので
- 人数も少なく、また時間も短いため
- 気を付けているので過敏にすることはない
- 毎年外科医の忘年会を自身が幹事となり40人規模で行っていたが、今年は新型コロナウイルス蔓延の恐れがあり行わない。その代わり、各部署の代表格の方々を招いて、5人でしんみりと行う
◇親睦を深め、慰労したい
- 職員のコミュニケーションに必要。方法を考えればよい
- 自粛疲れへの癒やし
- 親睦を深め慰労したい
- 当地では感染のリスクは小さいため
先生の職場では忘・新年会についての議論がありましたか。
次回は、医師に「もしCOVID-19の流行が起きていなければ、職場の忘年会・新年会は開催してほしいか」と尋ねたアンケート結果をご紹介します。
- コロナ禍に職場が忘・新年会を開催…反対?賛成?―医師1037人アンケートvol.1【本記事】
- コロナ禍でなければ…無くなって気づいた職場忘・新年会の価値―医師1037人アンケートvol.2
- コロナ禍での“プライベート忘・新年会”どうする?―医師1037人アンケートvol.3
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