m3会員を対象に、医療ドラマについて聞く本シリーズ。後編では、医師455人の医師が回答したアンケート(※)結果に基づき、医療ドラマが現在の職業・仕事観に影響を与えたか、どんな医療ドラマを観てみたいかについてご紹介します。
(※)2020年8月29日~9月6日、m3.com会員の医師を対象にエムスリーキャリアが実施
「医療ドラマの影響を受けていない」が約7割
「医療ドラマをみて、現在の職業や仕事観に影響を受けたことはありますか」という質問に対して、多くの人が「影響を受けたことはない」と回答しました。
医療ドラマの影響… 職業選択、心構え、考え方など
一方で、「影響を受けた」と答えた方は、大まかにわけて、進路、知識・考え方、心構え、仕事着に何かしらの影響があったようです。次に、その具体的な内容についてご紹介します。
進路
実際に、どんな世界なのか見てみたいと思い、進路選択に影響したのは事実である。(50代/放射線科)
中井貴一版「立花登 青春手控え」を見て医者になろうと決めた。ちなみに弟は田原俊彦の「教師びんびん物語」を見て教師になろうと決めた。(50代/外科)
僻地・離島医療に携わるようになり、現在も僻地・離島に赴任している。(60代/内科)
白い巨塔を小説で読んで、田宮二郎版の再放送ドラマを見てから医学部に入りました。出世欲がなかったのでドラマほどのドロドロは私の人生にはありませんでしたが。(50代/耳鼻咽喉科)
「14才の母」で反町隆史の小児科医役がカッコ良くて、これで小児科医になろうと決めました。(30代/小児科)
里見医師に憧れて、消化器内科を志した。(50代/消化器科)
知識・考え方
仕事観などには影響しないが、業務上豆知識として役立つことも多い。(40代/脳神経内科)
ERは、救急医療の在り方を考えさせられた(60代/糖尿病科)
一般の人たちは医師のしぐさ、考え方、日常のどの部分に注目するのか、あるいは注目しようとするのか、プロデューサーの人たちから教わった。その点、大変に自分の診療の役に立った。(60代/心臓血管外科)
考え方として勉強になることがある。(60代/泌尿器科)
些細なサインの重要性を知った。(50代/内分泌内科)
腰痛の鑑別疾患で多発性骨髄腫を挙げられるようになった。(40代/救急医学科)
心構え
医療に関しての純粋な気持ちが蘇った。(60代/麻酔科)
診療に対する気持ちはもちろんですが、周囲のスタッフ、機材に対する心構えが変わりました。(40代/呼吸器外科)
白夜の中で、指導医が「知識のない医者は罪悪だよ」と言っていたセリフがいまだに胸に突き刺さっています。(50代/小児科)
仕事着
だらしない白衣の着方に気をつけよう。白衣のボタンはしっかり締める・ポケットに手は入れない。(60代/内科)
山Pと同じスクラブを買った(50代/内科)
“ありえない”ドラマよりも、現実に即したものを
「どんな題材の医療ドラマなら見てみたいか」という質問に対して、多種多様な答えが寄せられ、医療ドラマへの期待感がうかがえる結果となりました。救急医療や終末期医療と大きなテーマを挙げる声の他、自身の診療科やマイナー科、医師以外を主人公に求める声も集まりました。一方で、「できるだけ現場に忠実なものがみたい」、「嘘っぽい演出はいらない」「海外の医療ドラマのようにもう少しリアルなものが観たい」というように、リアリティを求める声も一定数ありました。次に、具体的なコメントを年代別にご紹介します。
20代~40代
医療と国民皆保険とを焦点にあてたドラマがあれば面白そうです。日本の医療と保険制度の闇を明るみに出して欲しいです。(30代/泌尿器科)
産業医、保健所医師のドラマ。まだこれらのテーマのドラマを見たことがない。(30代/精神科)
ありえないようなドラマではなく、現実におきていることを素直に描いてくれるドラマ。(40代/新生児科)
感染症科の医師たちの日常。今のCOVID-19が流行る前からリアルに描いて、今回のCOVID-19流行期へと連続的に繋がっていく、人間ドラマ。かぎりなくノンフィクションに近くなりそうで、賛否両論出てきそうですが、現実の世界での感染症専門医たちの、それ以外の科の普通な日常(入院患者の主治医となって日々働く姿)とは違った、コンサルテーションや感染対策に関する、病院上層部や現場の看護師さんからもなかなか理解されないけど、陽の目はなかなか見ないけど世の中には絶対必要なんだって信念で粘り強く交渉して、目標を達成していく姿を描いて欲しいです。(40代/脳神経内科)
地域医療の現状を知らしめるドラマ。地味だが、在宅医療や地域連携をネタにしたもの。大病院での立派な手術とかもいいが、それよりも現場は色々あることを知ってほしい。(40代/救急医学科)
50代
病院薬剤師が主人公のドラマはすでに話題になっているが、作業療法士など、コメディカルを主人公にしたドラマ。医療は医者だけのものではなくなっているということを自然に多くの人に知ってもらえると思うから。(小児科)
ドジだけど、ここぞというときは、すごい力を発揮できる、地味で人のいいドクター。出世とか考えず、常に目の前の患者に一生懸命。あと、頑張ったけど助からない人もいるし、主人公が病で死んでしまってもいい。今のドラマは、人が当たり前に助かりすぎ!!!!!(泌尿器科)
医学生から研修医、腕のいい外科医に成長していく過程で、ライバルやナース、患者、その家族と渡り合っていく、外科医版の島耕作のようなドラマ。(整形外科)
本居宣長の生涯。(小児科)
60代
医者がスターではない、苦悩するパターン。(外科)
外科系が主人公である事が多いので、内科系の話を。(小児科)
赤ひげっぽいやつ。ほっこりしたい。(内科)
日本医師会にまつわるドラマ。(糖尿病科)
在宅介護 明日は我が身・・・。(内科)
終末期、療養病棟、誤嚥性肺炎で食事が入らず末期を看取る。患者様の家族に現状を理解してほしい。病棟から退院して施設に行く流れを理解できないご家族が多すぎる。一度入院すると死ぬまで病院に入院させて欲しいというご家族が増えて困っている。自宅に引き取らないご家族が多い。現在の一般的な老人たちの医療背景や介護度など教育的な医療ドラマがあれば大変助かる。(内科)
70代
終末期を家で過ごす患者を取り巻くドラマ。(内科)
地域連携室やMSWなど医療事務系の医療を支えている人たちにスポットライトを当てたドラマ。(放射線科)
現実離れしたストーリーの物語(麻酔科)
医療現場の現実、ときにフィクションならではの設定で非現実を描く、医療ドラマ。m3.com会員の支持を集めたのは、特にシリーズ物が多く、いずれもリアリティのある内容、設定を評価する声が一定数集まりました。中には、「医療ドラマと現実が同じだと考えている患者さんもいるので、医療現場の真実を伝えるようなドラマがあるとうれしい」といった声もありました。今後もおそらく、新たな医療ドラマが生まれるかと思いますが、どんな内容で視聴者を魅了してくれるのか楽しみです。
今後のキャリア形成に向けて情報収集したい先生へ
医師の転職支援サービスを提供しているエムスリーキャリアでは、直近すぐの転職をお考えの先生はもちろん、「数年後のキャリアチェンジを視野に入れて情報収集をしたい」という先生からのご相談も承っています。
以下のような疑問に対し、キャリア形成の一助となる情報をお伝えします。
「どのような医師が評価されやすいか知りたい」
「数年後の年齢で、どのような選択肢があるかを知りたい」
「数年後に転居する予定で、転居先にどのような求人があるか知りたい」
当然ながら、当社サービスは転職を強制するものではありません。どうぞお気軽にご相談いただけますと幸いです。
エムスリーキャリアは全国10,000以上の医療機関と提携して、多数の求人をお預かりしているほか、コンサルタントの条件交渉によって求人を作り出すことが可能です。