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コラム

開業の難所 事業計画の組み立て方―開業までのロードマップ(2)

2018年9月9日

開業医T
開業にあたり、まず定めたいのは医院の治療方針や事業計画です。わたしの場合、自分自身の性格もあり、これらを独力で策定しました。今回はそのことについてお伝えしていきます。

【著者プロフィール】
専門:腎臓内科
開業時期:2000年前半
クリニック形態:開業11年目に個人診療所→医療法人化
クリニック収益:約1600万円/月
現在の月収:約120万円(手取り)
クリニックの家賃:約85万円
スタッフ:非常勤医1名、看護師3名、臨床工学士(血液透析)2名、事務1名、送迎スタッフ2名

まず定めたい、クリニックの診療方針や事業計画

わたしは自分のことは自分で決めたいタイプなので、診療方針や事業計画を策定するにあたり、コンサルタントを入れずに独力で行いました。わたしが医院開業を決心した動機は主に3つあり、それらの動機を深く掘り下げていくうちに、診療方針や事業計画は自ずと固まっていきました。これらの策定期間は人それぞれだとは思いますが、私の場合は上記のような理由もあり、約3カ月で定まりました。

1.大学病院でのキャリアアップが向かないと感じた
2.大学病院など大きな病院で働くより、地域医療に貢献したい
3.アルバイトで行っていた人工透析を受けられるクリニックを地域に増やしたい

経営の話をすれば、わたしの専門は腎臓内科であり、そのうち人工透析に最も特化しています。人工透析の目安は、週3回×4週。そのため、人工透析を必要とする患者さんの集客に成功すれば、あとは外来の集客をそこまで必死になって行わなくても問題ありません。

固定費はできるだけ下げる

どちらかといえば、問題になるのは事業計画でしょう。詳しくは次稿に譲りますが、わたしは開業するにあたり、ほとんどの資金を親族から借り入れしました。金融機関から融資を受けたのは3000万円ほどなので、そこまで割合は大きくありません。しかしそれでも融資を受ける際には、金融機関に向こう5年分の事業計画を提出する必要があります。
わたしは開業コンサルタントを入れなかったので、事業計画書は金融機関の担当者と二人三脚で作成しました。初期費用のほとんどを親族から借り受けられたこと、人工透析かつ通院を希望している患者がすでに10名以上いることは、有利に大きく働きました。開業当初から最低これだけの売り上げが見込めているということは、事業計画書を具体化するうえでとても役に立ちます。そして、数字に根拠があれば、それだけ融資もおりやすくなります。

開業するときにぜひ意識してほしい点は、「固定費をできるだけ下げること」です。クリニックはコンビニやスーパーと異なり、仕入れというものはほとんどありません。しかしその分、家賃やローンの返済、リース代、人件費などの固定費が莫大となります。

一番重要なのは、開業して最初の3カ月間くらいです。その間にクリニックの固定費を賄えるくらいの収益を達成できたのならば、あとはどんどん利益率が高くなっていきます。固定費で月に150万円ほどかかって収入が150万円ならば、手元にほぼお金が残りません。しかし、収入が300万円を超えれば、残りの150万円は粗利として手元に残るからです。クリニックが成長段階にあるステージならばともかく、初期段階では固定費をできるだけ下げるように意識した方がよいでしょう。

開業する医師のみなさんへ

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