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調査

コロナ禍でもやる気を維持するコツとは―医師のモチベーションアンケート(後編)

2020年9月9日

医師のモチベーションを調査する本シリーズ。後編では2019年と2020年の比較と、モチベーションを維持・向上させるための日頃の取り組みについてお伝えします。
(※)調査は2020年8月15~23日、m3.com会員の医師を対象にエムスリーキャリアが実施

昨年から「変わらない」が約6割

日々刻々と変化するモチベーション。2019年と2020年を比較した時、今のモチベーションはどうかを尋ねたところ、全体としては「変わらない」(59.9%)が約6割を占めていました。「上がった(とても上がった、やや上がった)」は12.2%と、約1割にとどまりました。

表1:2019年と2020年現在とを比較した時のモチベーションの近況(20~70代の医師608名が回答)

それぞれの回答理由を一部抜粋してご紹介します。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は少なからずあるようですが、自身のキャリアのタイミングや仕事の捉え方など、個々人の価値観が反映されているようでした。


とても上がった

  • 転職し、ストレスのあった職場、上司から離れられたこと。(30代女性、内科)
  • 理解ある上司や仲間に支えられ、励まされ、医師になった時の目標に向かって今再び励めるようになった。お金も時間もかかり回り道をし、私を理解しない人もいないわけではないが、それらは小さいことで、気にするに値しないと分かったため。(40代女性、科目不詳)
  • 勤務先の病院を辞めて、現在はフリーランスの麻酔科医としていろいろな病院で手術麻酔に没頭できるため。(50代男性、麻酔科)
  • 新型コロナに打ち勝たなくてはならないと自分で自分を鼓舞している。(60代男性、脳神経外科)

やや上がった

  • 新規事業を立ち上げているため。(40代男性、救急医学科)
  • 職場の人間関係が人事異動で好転した。(50代男性、血液透析科)
  • 管理職を離れて、自分の業務に専念できるようになったため。 (60代男性、内科)
  • 病院経営の悪化からと一方的な減給を申し渡され、幾度反対を表明しても結局実行に移されたので転職し、結果、現在の職場でそこそこの給与を得られたため。(60代男性、外科)

変わらない

  • 仕事上いろいろなことが起こるのは慣れてきた。開業による借金があるため、ある程度のモチベーションは維持している。(40代男性、内科)
  • 仕事内容は単調で変化なく面白みは無いが、患者からの感謝と給与が高いのがプラスマイナスゼロです。本来は給与にさほどこだわりはなく、もっと最前線の医療やアカデミックな環境を望んでいますが、やむなく今の仕事をしています。(40代男性、泌尿器科)
  • やらなければならないことは同じだと思う。病院の売り上げを上げて、患者さんには最善を尽くす。(50代男性、麻酔科)
  • 自分は自分の仕事をこなし、社会貢献していくことに変わりはない。上司の性格は変えられないし、今後もハラスメントは続くだろうが、あまり気にしない。(50代女性、精神科)
  • COVID-19の問題はあるが入院患者数は大きくは減っていない。現状立場的に他者の考えに追従する必要がない。(60代男性、外科)
  • コロナは実質的には、モチベーションに影響を与えていない。(60代男性、内科)
  • コロナ感染の拡がりで新しい試みを延期しているが、今の状況に対して取り組んでいることに集中しているので、変わらない。(60代男性、内科)
  • 定年後の再就職として働いており、働く場所があるだけで満足している。以前と同じように手術や分娩は出来ないと思うし、解放されホッとしている。(70代以上男性、産婦人科)

やや下がった

  • COVID-19によって、社会そのものが停滞してしまったため、プライベートが抑圧されモチベーションが下がってしまった。(50代男性、外科)
  • 仕事のやり甲斐はあるが、報酬が伴わない。別に医師でなくてもと考えてしまう。所詮最前線に立つ足軽かな。鉄砲もない。(50代男性、小児科)
  • COVID-19の対応を含めて、精神的・肉体的な負担が大きくなり、尚且つ経済的に厳しい環境となって来た。(60代男性、消化器科)
  • 新型コロナ対策を常にしておく必要があり、診察に時間がかかる。また新型コロナの疑いを常に考えておく必要がありストレスとなる。(60代男性、呼吸器内科)
  • 自身の加齢による判断力と外科技術に不安を感じるようになったこと。(70代以上男性、乳腺甲状腺外科)

とても下がった

  • 組織の方向性に納得していない。(40代男性、内科)
  • 2年前から上司が私を昇進させると言っていたが、すべて嘘で、違う医者を役職者として採用したこと。(40代男性、外科)
  • 今の管理体制がとても悪く、働くには苦痛を感じる。(50代男性、循環器科)
  • 勤務先の先行き望みがない状況がさらに悪化していき、何ら対策が打たれないまま、そのまま沈んでいこうとしているので。状況認識がまるでできていない。(50代男性、精神科)

睡眠、趣味、休暇…モチベーションアップに欠かせない要素

最後に、モチベーションアップのために普段行っていることを上位3つまで選んでいただきました。1位は「睡眠をとる」で30.8%、2位以下は僅差で「趣味に打ち込む」「休暇をとる」などが続きました。モチベーションをいい状態で保つためには、オンとオフをしっかり切り替え、オフで十分なリフレッシュをすることが大切なのかもしれません。

表2:モチベーションアップのために普段行うこと(複数回答)(20~70代の医師608名が回答)

そのほか、以下のような回答もありました。自分に合うものがあれば、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

  • いきつけのマスターと会話
  • がん患者会やがんサロンでのコンサルト
  • 高い買い物をする
  • m3.comでpointをためる
  • 家族に御馳走する
  • 自分が踏ん張ることが、家族を支える上で不可欠である現実を再認識すること
  • 楽しい事を思い浮かべる(計画をする)
  • リタイアまでの計画を立てる
  • 今まで書きそびれていた論文を書く。今まで忘れていた本を出版する夢を叶える。
  • イメージトレーニング
  • ゆっくり風呂に入る
  • 自分をほめること、継続すること
  • 笑う
  • 深く考えない
  • ボーっとしていると、気が満ちてやる気になる
  • 嫌なことがあっても、目の前の仕事に集中する
  • 仕事から離れる時間を多くする!
  • 別の仕事に取り組む。運も必要ですが、同じことばかりしていると煮詰まってきます。

改めて、先生方の仕事に対するモチベーションはどのような状態でしょうか。本記事をきっかけに、自身のモチベーションの源泉を振り返り、維持・向上のための工夫を取り入れながら、前向きに仕事に取り組んでいただけたら幸いです。

同テーマの記事シリーズはこちら

今後のキャリア形成に向けて情報収集したい先生へ

医師の転職支援サービスを提供しているエムスリーキャリアでは、直近すぐの転職をお考えの先生はもちろん、「数年後のキャリアチェンジを視野に入れて情報収集をしたい」という先生からのご相談も承っています。

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「どのような医師が評価されやすいか知りたい」
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