1. m3.comトップ
  2. キャリアデザインラボ
  3. ノウハウ
  4. 調査
  5. 新型コロナの混乱、医師の人生観に影響も―2020年前半を振り返るアンケート調査(後編)
調査

新型コロナの混乱、医師の人生観に影響も―2020年前半を振り返るアンケート調査(後編)

2020年7月8日

年明け早々、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に翻弄された2020年前半。社会が大きく変わるタイミングで、自身の生活を振り返り、優先順位を見直した人もいるのではないでしょうか。後編では、アンケート結果のうち、今後の働き方や2020年後半の抱負について取り上げます。

コロナ禍が医師の働き方を見直すきっかけに

エムスリーが2020年6月に実施した20~70代医師へのアンケート調査によると、回答のあった601人のうち、半数以上の384人(63.9%)が「働き方を見直したいと思った」という結果になりました。

表1:2020年前半を通じて、働き方を見直したいと思ったことはありますか?(20~70代の医師601人が回答)

働き方を見直したいと思った内容やその理由は、新型コロナウイルス感染症が大きく影響したようです。状況の変化を受け、自身なりの”発見”があったという意見が多数ありました。医師のコメントを、アンケートから一部抜粋してご紹介します。

「働き方を見直したいと思った」

  • コロナで過剰になっていた時期だが、患者さんおよび家族への言動など反省すべき点が多数あった。(30代、男性、救急医学科)
  • 今後のオンライン診療継続の可能性も考えて。(30代、男性、内分泌内科)
  • キャリアを積むのに、必ずしも臨床経験を優先させる必要はないと思った。(40代、女性、小児科)
  • どんなに努力しても、症例数が少ない手術等は男性医師にあてがわれ、女性医師は、男性医師の何倍も当直や雑用をこなしても、チャンスはもらえないことがわかった。男性医師が手術、女性医師は外来が割り当てられる風潮のため、これ以上のスキルアップは望めないので、そろそろ引退して自分のプライベートを優先するべきだと感じた。(40代、女性、科目無回答)
  • 今後の生活費の工面について。収入激減でこのままでは厳しい。(50代、男性、眼科)
  • 仕事中心の生き方を、プライベート中心に考えた方が幸せな人生かもと思えるようになった。(50代、男性、外科)
  • 開業の準備や検討をしたが、今の時期では難しいと判断した。(50代、男性、脳神経外科)
  • 仕事が済んでも夜の集まりは無し、外食もできず、家で過ごす時間が増えた。更に新型コロナウイルスに感染して志村けんや岡江久美子が亡くなり、これからの時間をどう使おうかと考えるようになった。(60代、男性、産婦人科)

見直したいと思わなかった医師のコメントもご紹介します。新型コロナウイルスで多忙になった医師もいれば、大きな変化はなかった医師もいましたが、いずれも同じ結論に至りました。

「働き方を見直したいと思わなかった」

  • 新型コロナウイルスで自分たちがこんなに必要とされていると再認識した。(50代、男性、小児科)
  • 新型コロナウイルス感染症対策の当院での最前線にいたので考える余裕はありませんでした。(50代、男性、外科)
  • 田舎なので、診療行為そのものには、あまり影響はない。(50代、男性、内科)
  • 変革を好まない。(60代、男性、耳鼻咽喉科)
  • 働き方自体は余裕ができて満足。(60代、男性、糖尿病科)

2020年後半、「仕事」中心からの脱却も?

2020年前半(1~6月)を踏まえ、2020年後半(7~12月)に最も頑張りたいこととして「仕事」を挙げた人は約35%でした。一方で、「家庭」と「趣味」の両者を合わせても約35%にのぼることから、「仕事」同様に「プライベート」を重視する医師も同等数いることがわかります。
また、「特にない」という人が26%を占めているのは、新型コロナウイルスをめぐる今後の見通しが立たないことも影響しているようでした。

表2:2020年後半(7~12月)に最も頑張りたいこと(20~70代の医師601人が回答)

家庭

  • 家族の受験もあるため,まずは自分が病気にならないよう、体調を壊さないように取り組みたい。(40代、男性、小児科)
  • 意欲を掻き立てるために基本的なことを見直す必要がある。その基礎は家族であり、家族の問題に、もう少し目をやる必要を感じたため。(50代、男性、消化器科)

仕事

  • 新型コロナウイルスで減少した手術件数を取り戻す。(40代、男性、泌尿器科)
  • 新型コロナウイルスの関係で、社会・経済状況も変わった。うつ病などが増えてくるので十分に働きたい。(50代、女性、精神科)
  • 医者にとってこういう時はやりがいを持って仕事ができる時だと感じる。(60代、男性、内科)

趣味

  • 前半十分に体を鍛えられなかったのでそれを行う。(30代、男性、内科)
  • 趣味の山歩きもいつまで出来るかわからないので、せっせと山に出かけたい。(60代、男性、産婦人科)
  • 新型コロナウイルスで激減したプライベートの時間を取り戻したい。(60代、男性、麻酔科)

特にない

  • 自然体で生きていこうかと思った。(50代、男性、精神科)
  • 多分、新型コロナウイルスに振り回されることになると思う。(50代、女性、小児科)

その他

  • 学会・研究会での情報収集:新型コロナウイルス流行後に最新の医療情報・情勢などを入手することが困難となり、置いていかれたような感覚でいるため。(50代、男性、血液透析科)
  • 今後の資金繰り対策:クリニックをつぶさないように必死です。(50代、男性、消化器科)

今回は2020年前半を踏まえたこれからの働き方や2020年後半の抱負をご紹介しました。ご自身の前半6か月はいかがでしたでしょうか。本稿をきっかけに、気持ちも新たに後半を迎えていただければと思います。

同テーマの記事シリーズはこちら

今後のキャリア形成に向けて情報収集したい先生へ

医師の転職支援サービスを提供しているエムスリーキャリアでは、直近すぐの転職をお考えの先生はもちろん、「数年後のキャリアチェンジを視野に入れて情報収集をしたい」という先生からのご相談も承っています。

以下のような疑問に対し、キャリア形成の一助となる情報をお伝えします。

「どのような医師が評価されやすいか知りたい」
「数年後の年齢で、どのような選択肢があるかを知りたい」
「数年後に転居する予定で、転居先にどのような求人があるか知りたい」

当然ながら、当社サービスは転職を強制するものではありません。どうぞお気軽にご相談いただけますと幸いです。

エムスリーキャリアは全国10,000以上の医療機関と提携して、多数の求人をお預かりしているほか、コンサルタントの条件交渉によって求人を作り出すことが可能です。

この記事の関連キーワード

  1. ノウハウ
  2. 調査

この記事の関連記事

  • 調査

    「宿日直許可」の申請状況、約2割の医療機関が後手に(2023年5月)

    2024年4月から始まる医師の働き方改革。施行まで1年を切りましたが、貴院では「宿日直許可」を申請されましたでしょうか。今回は医療機関で働き方改革をご担当されている担当者119名から回答を得たアンケートを基に、最新の進捗状況をお伝えします。

  • 調査

    医師の働き方改革に暗雲?施行まで1年を切った改革の進捗と医師の本音

    2024年4月から施行される「医師の働き方改革」。時間外労働の上限規制が始まるため、労働時間が厳格に管理されている先生もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は医師532名から回答を得たアンケートから、医師の働き方改革の進捗や最前線で働く医師の本音をご紹介します。

  • 調査

    医師の4割が都道府県またぐ転居に前向き

    医師は、ホワイトカラーに比べると勤務地の候補が多く、住む地域も選びやすい職種です。医師455人から回答を得たアンケートから、他都道府県への転居に対する意識と、勤務先として人気の都道府県を紹介します。

  • 調査

    地方に住みたい!医師が都会を離れる理由

    COVID-19流行をきっかけに、ホワイトカラーではテレワークの普及に伴い、社会全体で地方移住への関心が高まりつつあります。それでは、医師の地方志向はどうでしょうか。医師455人から回答を得たアンケートから、医師の地方転居や移住への興味、検討する上での条件を探ります。

  • 調査

    医師7割弱「補助ある」…研鑽=労働には賛否

    「医師の働き方改革」では、自己研鑽が労働時間に含まれるか否かなどが議論されてきました。2019年7月には厚生労働省から、上司の指示の有無によって労働時間に含まれるかどうかを判断する旨の通知が出ましたが、現場の医師たちはどう受け止めているのでしょうか。

  • 調査

    50歳過ぎても医師が研鑽を続ける理由

    キャリア形成や子育てがひと段落し、第二の人生も考え始める50代以降。いつ医師を引退するかは個人差があり、年齢を重ねても自己研鑽を続ける人は多くいます。今回は自己研鑽をテーマにしたアンケートから50~70代の医師421名の回答を抜き出し、ベテラン医師の自己研鑽の実態をお伝えします。

  • 調査

    人生100年時代に備える!40代に必要な学び

    知識・経験ともに臨床スキルが高まり、チームマネジメントや若手の教育を担う40代。働き盛りにあたる40代の中堅医師は、どのような自己研鑽を行っているのでしょうか。自己研鑽をテーマにしたアンケートから40代医師114名の回答を基に、実態をお伝えします。

  • 調査

    週10時間が当たり前?若手医師の研鑽事情

    一人前の医師になるため、さまざまなことを学び、吸収していく20~30代。医師人生の中でも、最も集中的な自己研鑽が求められる世代と言えそうですが、その実態はどうでしょうか。

  • 調査

    実力?運?医師の出世に必要なこと

    医師の出世や役職について考察する本シリーズ。今回は674名から回答を得たアンケートを基に、医師が出世するために必要なことや、最終的に就きたい役職、そこへ向けての出世の進捗についてご紹介します。

  • 調査

    「感謝どころか文句」4割の医師が出世に後ろ向き

    価値観が多様化し、出世して役職を得ることにこだわらない人も珍しくありません。今回は674名から回答を得たアンケートを基に、医師が「出世したいと思わない」理由や、出世して困ったエピソードをご紹介します。

  • 人気記事ランキング

    この記事を見た方におすすめの求人

    常勤求人をもっと見る