全日本医学生自治会連合が70大学4129人に対して行った「目指す医師・医学者像についての意識調査」をもとに、医学生のキャリア意識を探る本シリーズ。3回目は、医学教育に対する医学生の考えを紹介します(グラフは医学連提供データをもとにエムスリーキャリア編集部にて再編集)。
「今の医学教育で、目指す医師に近づける」6割
「今の医学教育によって、あなたが目指す医師・医学者像に近づけると思いますか」という項目の結果は以下の通り。約6割の医学生が「とても近づける」「近づける」と回答しました。
「とても近づける」「近づける」と考える理由として挙がったのは、「チュートリアル教育でディスカッションの機会があるため、医師として必要なコミュニケーション能力は育めていると思う」(3年生)、「実習で近づけている」(5年生)など。
一方、「まったく近づけない」「近づけない」と答えた約4割の医学生からは「具体的に何を身につけたらいいか見えてこない」(4年生)「ロールモデルの提示、考える時間の提供を求めます」(5年生)、「テストに受かるための勉強しかしていない」(3年生)、「教育よりも自学実習の方が近づけると思う」(5年生)などの声が上がりました。
約6割が「医学教育でモチベーション上がった」
医学教育によって、医師・医学者を目指すモチベーションが変化したかどうかを問う次の質問では、全体の約6割が「上がった」「どちらかというと上がった」と回答。主な理由としては「実際に患者に接する機会が増えたため」(4年生)「知識が深まるとモチベーションも高まる」(3年生)、「知らないことを多く学ぶことが出来るから」(1年生)、「臨床の面白さを体験するとモチベーションが上がる」(6年生)、「学年が上がるにつれて教授から話を聞く機会が増えたから」(3年生)、「目指すべき女医の講義があるから」(4年生)などが挙がっています。
一方、「下がった」「どちらかというと下がった」と回答したのは35.4%。「実習などで一時的に上がることはあっても、試験等で頭がいっぱいになりモチベーションも何も考えずに日々をこなしているため」(5年生)、「教育内容は十分だが全体に蔓延する空気がモチベーションを削る」(2年生)、「留年率が高く、基礎科目に必死なのでそれどころではない」(2年生)、「一般教養科目の時間が少なくてもったいなかった」(3年生)などの理由が挙がっています。
医学教育に求めることは「技術・技能の取得」
アンケートではこのほか、「目指す医師・医学者像について考え、近づくために医学教育に求めるものは何ですか」と複数回答で質問。「技術・技能の修練」(66.2%)、「医療現場での実践的訓練」(46.0%)、「職業としての多様な働き方の提示」(39.5%)の順に高い割合となっているほか、「国家資格取得のための授業」(32.8%)ばかりでなく、「医師になるモチベーション醸成」(35.5%)、「医師として求められる人格の涵養」(31.7%)など、医師としてのマインドを育むような機会を求めている声も根強く見られました。
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