医師のキャリアや働き方が変容しようとしている今、医学生は将来の医師像をどのように考えているのでしょうか。前回に続き、全日本医学生自治会連合(医学連)が70大学4129人に対して行った「目指す医師・医学者像についての意識調査」をもとに紹介します(グラフは医学連提供データをもとにエムスリーキャリア編集部にて再編集)。
「目指す医師像考える時間、不十分」4割以上
「目指す医師像について考える機会は十分か」を聞いた質問の回答は以下の通り。
「十分である」「やや十分である」の合計は56.5%に上った一方、「不十分である」「やや不十分である」との回答も合計4割以上に上り、回答が分かれる結果となりました。
医師像について考える時間が「十分でない」要因として回答者から上がったのは、「授業が過密で考える余裕がないから」(31.5%)、「ロールモデルがないから」(24.6%)、「学生同士で話題に上らないから」(24.0%)などの回答。こうした結果について医学連では、「機会そのもの、相談相手、参考材料、考える時間的余裕、医師像を考えようとする必要性や主体性など様々な要素が獲得できない場合に起こる声だと考えられる」として、複合的な要素が影響していることを指摘しています。
相談相手は「大学」が最多
アンケートではこのほか、目指す医師像や将来の働き方について悩みを相談する相手がいるかどうかを質問。およそ8割が「不十分だがいる」「十分にいる」と回答し、相談相手の人数の平均値は3.13人、およそ2割の学生は相談相手がいない(0人)と答えました。
具体的な相談相手として多く上がったのは「大学」(79.6%)、「家族」(53.5%)、「学外の友人」(31.0%)など。割合の多かった「大学」の内訳(複数回答)は、「同級生」(77.6%)、「先輩」(61.1%)などとなっています。
相談“したい”相手も「大学」がトップ
また、「目指す医師像や将来の働き方について、誰に相談したいと思いますか」という項目においても、「大学」が75.6%と最多の数値に。前述の「目指す医師像や将来の働き方についての悩みを相談する相手はいますか」という質問への回答と比べると、「教員」(46.0%)の割合が高くなっていることから、医学連では、「将来のことを教員に相談したくても相談できない医学生の存在がうかがえる」としています。
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