1. m3.comトップ
  2. キャリアデザインラボ
  3. 転職ガイド
  4. アルバイト(非常勤・スポット)
  5. できない症例は断れる? 初めての非常勤勤務の戸惑い
アルバイト(非常勤・スポット)

できない症例は断れる? 初めての非常勤勤務の戸惑い

2018年2月27日

非常勤勤務を初めてする際に一番戸惑うことは、自分が経験したことのない症例や方法で麻酔管理などを担当させられることだと思います。できないものはできないので断るほかないのですが、病院側への伝え方に苦労することも少なくありません。今回は、わたしの実体験をもとに、ストレスが少ない非常勤勤務を叶えるポイントをお伝えします。


【執筆:大見貴秀(おおみ・たかひで)】

初めての「戸惑い」を乗り越えるには

非常勤勤務の場合、基本的に労働条件や担当症例などは入職前に病院側と交渉するので、意図せぬ業務を依頼されることは滅多にありません。しかし、人間同士なので伝達や周知漏れがあったり、認識に齟齬があったりするので、このような事態が生じる可能性は少なからずあります。

常勤医時代、研究日を利用した非常勤勤務でそのような状況になっても、真意をなかなか伝えることができず、なし崩し的に担当したこともあります。しかし、担当したくない症例を担当することは非常にストレスを感じるもの。そうなった場合は手術日までに改めて勉強しますが、万が一うまくいかなかったときのことを考えると、非常に大きなストレスがかかり、体調を崩してしまうことが多々ありました。

ところが、常勤先を持たず、全て非常勤で就業するようになってからは、このような戸惑いはほとんどなくなりました。その理由は2つあります。まず、自分の経験値が溜まっていることが1つ。そしてもうひとつは、自分1人で転職活動をしたのではなく、転職エージェントとパートナーシップを組んで転職をしたことです。

転職エージェントとは付き合いが長いため、わたしがあまりやりたくない症例を理解してくれています。新しい案件を紹介してくれるときは、そういった症例がない、あったとしても常勤医が担当する病院のみ。万が一、そのような症例を依頼されそうな場合は、エージェントから事前に「この症例は受けられますか。それとも断りますか」という確認が来ます。このように、転職エージェントを通して転職活動を行えば、戸惑うことはほとんどありません。わたしたちは医者であり、本業は医療です。交渉など医療以外のことは、プロに任せることが、戸惑いなく非常勤勤務を成功させるポイントだと思います。

ストレスなく働ける、非常勤勤務先を探すポイント

非常勤勤務先を探すときは、自分が働く病院に何を求めているかを明確にしましょう。わたしの場合、常勤から非常勤に変わることで期待したポイントは以下です。

  • 過重労働の解消
  • ストレスによる健康状態の回復
  • 賃金アップ
  • ワークライフバランスの向上
  • 職場の人間関係

もし自分が求めているものがわからなければ、転職で重視したいことを複数書き出します。賃金、労働条件、立地…なんでもいいので、10個ぐらい書き出しましょう。さらに、その中から優先順位の高いものを3つ選んでください。それが、転職にあたり期待していることです。個人的な感覚ではありますが、3つくらいならばいずれも満たせる転職先を探すことが可能だと思います。

加えて、複数の転職エージェントに登録することも重要です。転職エージェントによって、診療科や勤務体系(常勤、非常勤、スポットなど)の得意不得意が異なるもの。複数の転職エージェントに登録し、重視するポイントを伝えることで、より条件のよりよい転職先を見つけることができます。同時にできるならば、よい転職エージェントとは長い付き合いをするように心がけましょう。同じ転職エージェントを利用すれば利用するほど、自分の重視するポイントがエージェントに伝わり、より精度の高い案件とのマッチングが期待できます。どの転職エージェントが自分に合うかは見極めが難しいところですが、複数のエージェントに登録してやり取りを続けていくうちに、相性のよいところが見つかるはずです。

病院との交渉をスムーズに進めるためには、転職エージェントに任せることが一番。個人で転職先を探そうとしても、病院内部の情報がわからず、思わぬ失敗をすることがあります。転職活動を成功させつつ、自分の負担を減らすためにも、エージェントに登録して話を聞くという選択肢を加えてみてはいかがでしょうか。

大見 貴秀
おおみ たかひで
麻酔科医

フリーランスの麻酔科医。医師としての活動のほか、不動産賃貸業、法人の代表取締役として活動中。ヘルスケア情報の発信、資産形成情報の発信を目的として様々な事業展開を行っている。

非常勤勤務をお考えの先生へ

非常勤勤務を探す中で、次のようなお悩みはありませんか。

  • 希望通りの曜日・時間で働ける求人が見つからない
  • 短時間で通勤できる求人が見つからない
  • とにかく高報酬の求人が見つからない

エムスリーキャリアの非常勤紹介サービスでは、専任コンサルタントが非公開求人を含めた案件のご提案、面接のスケジュール調整をサポートいたします。

この記事の関連記事

  • 企業(産業医・MD・社医)

    〈第1回〉ストレスチェック制度導入から10年。人事と産業医はどのようにして「マンネリ化」を乗り越えるか

    〈連載第1回〉制度開始から10年が経つストレスチェック。人事と産業医はどのようにして形骸化を防ぎ有効活用すべきでしょうか。精神科クリニック院長であり産業医として職場のメンタルヘルスに向き合い続ける吉野聡先生が解説します。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    はじめての産業医「衛生委員会」とは?医師としてのかかわり方

    本記事では、衛生委員会の基礎知識をはじめ、産業医としてのかかわり方のポイントを紹介します。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    はじめての産業医「職場巡視」とは?

    職場巡視は、産業医の重要な業務の一つであり、労働者の健康と安全を守るために欠かせない活動です。 本記事では、職場巡視の法的義務と巡視で確認すべきポイントを紹介します。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    はじめての産業医「労働衛生の3管理」とは

    本記事では「労働衛生の3管理」の概要について紹介しています。従業員の安全と健康を守るため、産業医が取り組むべき基本的な柱となりますので、この機会に再確認しておきましょう。

  • 企業(産業医・MD・社医)

    産業医が身につけたいビジネスマナー

    産業医として企業で働く際に知っておきたいビジネスマナーについて紹介します。

  • アルバイト(非常勤・スポット)

    バイト先が決まらない!採用ハードルが急上昇

    COVID-19流行以降、医師の定期非常勤市場は大きく変化しています。以前はすぐに内定が出ていた医師でも、書類選考を通過しないことも……採用される医師・されない医師の違い、買い手市場で内定を得るためのコツをお伝えします。

  • アルバイト(非常勤・スポット)

    選び方次第で市場価値が上がる?定期非常勤の活用方法

    医師の多様な働き方を叶える「非常勤」勤務。非常勤勤務の理由として、年収アップはもちろん、キャリアやスキル向上のためと考える医師も少なくありません。今回は実際の転職事例から、より専門性を高める事例とキャリアの幅を広げる事例、2つの視点から定期非常勤活用術をお伝えします。

  • アルバイト(非常勤・スポット)

    フリーランス医師が語る、スポットアルバイト活用術

    わたしはフリーランス医師として定期非常勤で週5日、3病院で働いています。症例がなければ、その日は基本的に休みとなるので、そんな時にスポット案件を活用しています。今回は、前回よりも詳しく、わたしの実体験に基づいたスポット案件の探し方をお伝えします。

  • アルバイト(非常勤・スポット)

    はじめてのスポット勤務の前に知っておきたい、2つのポイント

    わたしは現在、麻酔科の非常勤医として週に5日、3病院で働いていますが、たまに勤務の数日前に、予定されていた症例が突然なくなることがあります。そんな時、時間を有効活用できるのがスポット勤務。今回は、スポット勤務初心者の方へ、案件の探し方と勤務後の注意点をお伝えします。

  • アルバイト(非常勤・スポット)

    わたしが「非常勤掛け持ち医」に働き方を変えた理由

    医師の働き方の特徴として、ワークスタイルをある程度自由に決められることが挙げられます。わたしは現在フリーランスとして働いていますが、最初から意図していたわけではありませんでした。もともと常勤医だったわたしが、なぜ非常勤医として働こうと考えたのか。勤務先を探すにあたり、どのような点に気を付けたかについてお伝えしたいと思います。

  • 人気記事ランキング

    この記事を見た方におすすめの求人

    常勤求人をもっと見る