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アルバイト(非常勤・スポット)

わたしが「非常勤掛け持ち医」に働き方を変えた理由

2018年2月22日

医師の働き方の特徴として、ワークスタイルをある程度自由に決められることが挙げられます。わたしは現在フリーランスとして働いていますが、最初から意図していたわけではありませんでした。もともと常勤医だったわたしが、なぜ非常勤医として働こうと考えたのか。勤務先を探すにあたり、どのような点に気を付けたかについてお伝えしたいと思います。
【執筆:大見貴秀(おおみ・たかひで)】

常勤医から非常勤医に切り替えた理由

勤務医時代、わたしは総合病院で常勤麻酔科医として就業していました。みなさんもご経験があるかと思いますが、やはり常勤医という働き方は非常に負担が大きく、プライベートや心身の健康を犠牲にしていると感じることが多々あります。特に麻酔科医は、一回の手術にかかる時間が大幅に延びることも、患者さんの状態によっては昼夜を問わず呼び出されることもしばしば。わたしの場合は、心身を完全に休めることができる日が月に数日しかなく、徐々に疲労やストレスが蓄積し、自律神経失調症のような症状が現れ始めてしまったのです。加えて、職場の人間関係に悩んでいたこともあり、転職をすることに決めました。

転職を決意してからしばらくは、今まで通り常勤医として働くべく転職先を探していました。職場探しにおいて、やはり最大のネックになるのは労働条件です。体調を崩したことが転職の要因になっているのにも関わらず、以前と同じように残業やオンコールがある職場で働いては、またすぐに体調を崩してしまうのではないかという不安がありました。医師は社会貢献性が高い職業です。プライベートを多少犠牲にしても、医療貢献することが重要な使命であることは、もちろん理解しています。それでも、一人の人間として、これ以上過重労働に耐えられるかどうかということには悩みました。

常勤医として働くにしても、勤務日数を週3日にセーブしたいと思っていましたが、条件に合致する病院がなかなか見つからず、転職活動は難航。そんな時、転職エージェントの人から「少しの間だけでもいいので、非常勤医として働くのはどうでしょう?」と声を掛けていただき、非常勤勤務を検討し始めました。非常勤勤務はわたしが希望する働き方ができそうだと考える一方、就業にあたり、常勤医にも多くのメリットがあると考えました。わたしが思う常勤医のメリットは以下です。

  • 社会保障(社会保険、厚生年金)
  • 退職金制度
  • 有給休暇、慶弔休暇などの福利厚生
  • 専門医の取得、維持
  • 銀行など金融機関からの信用が大きい

など

これらの面との兼ね合いを考えましたが、自身の健康とワークライフバランスを優先させ、非常勤医として就業することを決めました。今では週に5日、3病院で勤務しています。

自力で得られない情報は、転職エージェントを利用

非常勤医としての就業先を探すにあたり、一番重視したのはやはり労働条件。具体的には、たまの残業はあっても大半の日を定時で帰宅することができるか、リスクや負担が大きい症例の麻酔を担当することはあるか、などです。加えて、職場の人間関係が良好であるかどうかも重視しました。
就業環境のような内部のことは、医師が単独で転職活動をしようとしても、ほとんど知ることができません。知ることができたとしても、知り合いがその病院に勤めていたなど、勤務経験者から口コミを聞くくらいでしょう。しかし、転職エージェントを利用することで、そのような内部の情報も知ることができます。転職したばかりの人でも働きやすいか、職場の独自のルールがないか、対応できない症例などを担当させられそうになった場合に断ることができるか、などといったデリケートな情報も知ることができるのです。

そして、もう一つ重視したのが給与条件。非常勤医は常勤医と異なり、国民年金のために長期間続けても、将来の年金支給額に期待をすることができません。非常勤医は退職金制度がないところがほとんどのはずなので、将来の金銭的な不安に対しては自分で積み立てていくしかないのです。そのため、常勤医として働いていた時よりも、年間の総支給額が大きくなることも意識しました。このような場合も、やはり転職エージェントが便利で、給与水準が高い病院を複数提案してもらえます。一方、交通の便に関しては若干の妥協をしました。やはり、東京や大阪をはじめとする大都市は医師数が充足する傾向にあり、給与の水準は低いです。しかし、転職エージェントのアドバイスで大都市周辺の県にまで視野を広げた結果、同じような労働条件で、より給与水準が高い病院に転職をすることができました。

その時々の転職活動を有利にするために

わたしの場合、入職前の細かい労働条件の相談などは、基本的にすべて転職エージェントに一任。こちらの希望をエージェントに言えば、病院側に伝えてくれるので、わたし自身が交渉をすることもなく助かりました。お世話になった転職エージェントとは付き合いが長く、わたしの経験症例などもよく把握してくれていたので、信頼できる存在でした。マッチングさえうまくいけば、非常勤勤務で面接があることは滅多にありません。そういう意味では、労働条件が決まって入職の意志が固まれば、特にすることもないとも言えるでしょう。常勤には非常勤医にない多数のメリットが、非常勤には常勤医にないメリットがあります。性質上、非常勤医は勤務する病院が定期的に変わることも。その際の転職を有利にするためにも、自分のことをよく知っている転職エージェントを作るのも、よい転職をするコツだと思います。

大見 貴秀
おおみ たかひで
麻酔科医

フリーランスの麻酔科医。医師としての活動のほか、不動産賃貸業、法人の代表取締役として活動中。ヘルスケア情報の発信、資産形成情報の発信を目的として様々な事業展開を行っている。

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