わたしは現在、麻酔科の非常勤医として週に5日、3病院で働いていますが、たまに勤務の数日前に、予定されていた症例が突然なくなることがあります。そんな時、時間を有効活用できるのがスポット勤務。今回は、スポット勤務初心者の方へ、案件の探し方と勤務後の注意点をお伝えします。
【執筆:大見貴秀(おおみ・たかひで)】
週5非常勤医のわたしが、スポット勤務に至ったわけ
非常勤医は常勤医と比べて、やはり労働条件の安定性に欠けます。もちろんわたしはそのリスクを飲み込んだうえで非常勤医として働いているため、文句はありません。しかし、非常勤医は基本的に日給制。一日お休みになっただけでも収入への影響はそれなりに大きいものがあります。ほんのたまにならば問題ありませんが、たまたま何回かお休みが続くと死活問題になりかねません。
そんな急なお休みに対して、労働量の調整に便利なのがスポット勤務です。スポット勤務は前々から募集を掛けている案件だけでなく、緊急で募集が掛かることも多いように感じます。そのため急なお休みの数日前から探し始めたとしても、ほとんどの場合見つかります。
当然、スポット勤務は単発で、継続的なものではありません。とは言え、一度スポット案件を受けると、過去に勤務した病院で人員不足が生じたとき、優先的に話をもらえることがあるので、いくつかの病院でスポット勤務をしておくと急なお休みにも対応しやすくなります。
勤務条件が絞れたら、「医師転職エージェント」の有効活用を
スポット勤務は緊急性が高いため、非常勤などの一日分と比べても給与水準が高くなる傾向にあります。そのため、わたしの場合は立地と担当する症例の内容で案件を探しています。しかし、常勤医、定期非常勤医の募集と異なり、スポットは各病院の採用ページなどに掲載されていることはまずありません。
したがって、スポット勤務先を独力で探すのはとても難しいのではないでしょうか。わたしの経験上、独力で探す手段は他人からの紹介くらいしかないと思います。
こんな時、やはり頼りになるのが医師転職エージェントです。特に、麻酔科医の場合は医師が充足しないと手術自体が行えないので、各病院もプライオリティを高めて探します。実際、ほとんどの病院で転職エージェントを頼っているのではないでしょうか。医師が転職エージェントに登録しておくと、急なスポット案件などをメーリングリストで連絡してもらえますし、連絡しやすい担当者に休みの予定などを事前に伝えておけば、直接連絡をもらえることもあります。
繰り返しになりますが、スポット案件は個人では見つけづらい分、転職エージェントを頼りにするのが良い案件を探すポイントだと思います。加えて、転職エージェント経由で決まった案件は、詳細情報を事前に教えてもらえるので、勤務中に変に戸惑いを感じるようなことはほとんどありませんでした。
勤務後は、税金の問題にも目を向けて
一方、スポット勤務が増え、複数の病院で働く機会が多くなると税金の問題が発生します。例えば2カ所以上の病院で勤務した場合、確定申告が必要になります。この条件に当てはまる医師は多いのではないでしょうか。
また単発のスポット案件が多くなればなるほど、確定申告で税金を追加で払う可能性が高くなるので注意しましょう。例えば1つの病院で1カ月に130万円ほど給与の支払いを受けたら、源泉徴収される所得税は50万円ほど。しかし1つの病院で1か月に10万円のみだったらほんの5千円程度です。仮に異なる13カ所の病院で働いたら1カ月130万円に対して6万5千円の源泉徴収しかされないことになります。源泉徴収される税額はその月の支給額で決定されるので、スポット案件ばかり受けていたら、確定申告時に思ったよりも追加で払わなければいけない事態が起きます。そうなる前に、しっかりと給与を使うペースを調整するようにしましょう。
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