厚生労働省によると、在宅医療のニーズは2012年の17万人から、2025年には29万人へと大きく増加が見込まれており、最近では診療報酬改定のたびに、在宅医療を担い手となる医療機関の評価体制が整備されています。今回はその動向を解説します。
在支診・在支病の創設
2006年度の診療報酬改定において、「在宅療養支援診療所」(在支診)が創設されました。在支診の要件を満たした診療所は、緊急時の往診や看取りの評価が引き上げられ、24時間往診、訪問看護の提供体制が整備されました。また同年行われた第5次医療法改正でも、在宅医療の確保に関する事項が、医療計画に位置付けられました。
その後、2008年度の診療報酬改定では、この動きが病院にも広がりました。半径4キロ以内に診療所のない地域で、在宅医療の主な担い手となっている病院は「在宅療養支援病院」(在支病)として、在支診と同等の評価を受けることとなり、2010年度の改定では、その要件がさらに緩和。近隣診療所の有無にかかわらず、在宅医療の担う病院で200床未満であれば、在支病として認められることとなりました。
ネックになる24時間対応、看取り対応―2012年度には「強化型」も
こうした制度による後押しを受け、確かに在支診・在支病は増加しましたが、需要を十分に満たすレベルに達するには課題もありました。「24時間365日対応」を求める在支診・在支病の基準のハードルが高く、届出に二の足を踏む医療機関が多かったのです。また、在支診・在支病として届け出た医療機関の中にも、大きな役割として期待されていたはずの在宅での看取りが、十分に実施できていない施設も多いことが分かりました。
これに対し、2012年度の診療報酬改定では、「機能強化型」の在支診・在支病が新設されました。その要件は、既存の在支診・在支病の要件に加え、在宅医療を担う常勤医師が3人以上いることや、過去1年間の緊急往診5件以上、看取り2件以上の実績があることなど。また、こうした要件を「複数の医療機関での連携」によって満たすことが可能とされた点も、大きな注目を集めました。つまり、診療所同士が連携を取ることで負担を軽減しつつ、24時間365日対応を実現しようという方向が示されたのです。
ただ、厚生労働省が2013年6月の中央社会保険医療協議会で発表した資料(『在宅医療について(その3)』)によると、「機能強化型」の在支診・在支病において、当該施設の医師が主治医ではない患者に対して行う緊急往診は一部となっており、連携によって「24時間365日対応」が実現できるかどうかは、課題の残るところとなっています。
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