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エリア別医師の求人トレンド【北日本編(1)】

2019年11月9日

国内の転職市場の中でも、最も年収提示額が高い地域を含む北日本。医師不足に悩む地域がある一方、医師数・病院数ともに飽和状態のエリア(札幌、仙台など)で、大学医局の派遣で急性期病院のほとんどをカバーしているエリアもあります。そのような北日本には、どういった求人が多いのでしょうか。医師の転職支援コンサルタントに聞きました。
※本稿における「北日本」は、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、長野県、新潟県、富山県、石川県、福井県を指します。

北海道の大学医局・医療機関の実情

2018年度の厚生労働省の調査によると、北海道の病院数は557施設(全国2位)、クリニック数は3383(全国8位)。北日本エリアで最多の施設数を有します。

北海道の特徴として、三次医療圏が6、二次医療圏が21と、非常に広い面積であることから、多様な条件・働き方ができる病院が揃っています。特に、僻地と呼ばれる医師不足エリアにある病院は、全国と比較しても高年収を提示されやすく、全国の医師から募集の問い合わせがあります。
住環境・教育面が充実していることから、札幌市内に北海道在住の医師の約半数が住んでいます。あわせて札幌市は人口に対して医療機関が多い事情もあります。このように、医師も医療機関も多いため、札幌医療圏の医療機関は、自院の戦略に合った医師を選びたいという採用姿勢があります。
一方で、函館市・帯広市にある医療機関では、医師採用に苦労しています。そのため、民間・公立病院に関わらず、募集科目の幅が広く、札幌市よりも好条件が提示されやすくなっています。週末帰省・住宅補助制度がある病院も多く、空路を上手く利用して札幌・関東から通勤、もしくは、平日は単身赴任している医師もいます。
僻地の病院では、専門性ではなく、幅広く総合診療科として患者一人ひとりに向き合った医療をしたいという先生を歓迎する傾向があります。

医局事情については、北海道の約4割の病院がある札幌市内は大学2校が、規模の大きい急性期病院を関連病院としています。道内2位の人口である旭川市にも大学があり、旭川市内は大学医局の関連先が多く、採用は充足傾向にあります。
函館市・帯広市・北見市・釧路市などの中規模都市では、大学医局の派遣先が狭まり、中核病院に集中している傾向があります。このように、札幌市・旭川市以外のエリアでは、大学医局との関係が薄くなっている医療機関が増えているため、医局員の状況により、採用動向に変化があるため、外科系・マイナー系の希少な科目の募集も出ることがあります。

東北地方の大学医局・医療機関の実情

東北地方では、宮城県が病院数139施設、クリニック数1657施設で突出して多い点が特徴です。宮城県内で働く医師の8割が仙台市に住んでいるため、当市において医師は充足傾向にあります。しかしながら、沿岸部や南部、北部は圧倒的に医師が不足しています。
その他の県の病院数は、福島県128施設、青森県95施設、岩手県93施設、秋田県69施設、山形県69施設です。県庁所在地では医師が充足しているものの、それ以外の地域では慢性的な医師不足となっています。

また、精神科指定医は全域で不足しているため、精神保健指定医の先生方は、好条件での転職が叶いやすいという傾向もあります。

東北地方の医局事情は、他エリアと比べて各県の大学医局体制が非常にしっかりとしているのが特徴的です。特に東北大学の影響力は大きく、東北エリア全体に及びます。影響力の強い大学医局に所属することは安心感につながる一方で、気をつけたいのは退局時です。退局する際には調整に長期間かかる傾向にあり、特に急性期病院では平均半年~1年ほど要することもあります。このため退局を申し出る場合は、円満に行う必要もあるため、転職期間は長期的に検討する必要があるでしょう。

長野・新潟、北陸地方の大学医局・民間病院の実情

長野県は病院数が130施設、クリニック数が1582施設あり、宮城県と同程度の施設数です。松本市には、医学部を有する大学があるため、医師が充足傾向にあります。長野市は北陸新幹線の停車駅であることから、県外から移住したり、単身赴任等で2拠点生活をしたりする医師もいます。

長野県内の医局事情をみると、松本市内の病院は大学医局の影響が色濃く、急性期病院の求人は限られます。
一方、当市以外(長野市含む)では大学医局の影響が限定的です。特に長野市内の医療機関では医局派遣にこだわらず、県外からの医師を広く受け入れているケースもあります。急性期病院であっても入局せずに働ける施設があり、特に、県全体で不足している在宅医療を担う医師は歓迎される傾向にあります。

新潟県は県内の医師偏在が大きい地域です。病院数は129施設で、新潟市には医学部を有する大学があります。このため、新潟市内の医療機関は大学医局からの派遣は受けているものの、依然として医師は不足傾向にあり、自院での採用も力を入れなければならない医療機関も少なくありません。
他方、新潟市外では大学医局の影響は限定的で、医師が不足しているため、求人が定期的に出ています。北陸新幹線開通後の上越地方は、石川県や富山県、長野市からの医師の流入もあり、どの科目においても医師の採用ニーズがあります。

北陸地方3県は、医師が充足傾向にあります。特に石川県においては、県内に医学部を有する大学が2校あり、十分な医局員を確保できていることが要因の1つです。急性期病院はもちろんのこと、石川県金沢市では、ケアミックス病院や療養型病院も医局派遣されているケースがあります。
さらに病院数が富山県107施設、石川県94施設、福井県68施設と他地域と比べて少ない上に、知人を通じて転職することが多いため、公開求人も限られます。
北陸地方在住の医師がキャリアチェンジする際には、まずは県内の医療機関が対象となります。しかしながら、大学医局の影響力が大変強い傾向にあり、関西・関東地方に転職するケースも見られます。また、Uターン就職を考えている場合は、大学医局に入りなおすことも一つの選択肢です。

北日本で転職する際に、おすすめの地域は?

開業するための資金を貯めたい、家庭の事情で収入アップを図りたいといった場合は、札幌市以外の北海道が良いでしょう。なかでも、帯広市と函館市はおすすめです。

観光地として人気の十勝医療圏は、急性期病院への転職もしやすく、年収も比較的高く提示されることが多いでしょう。丘陵地が広がり、満点の星空を堪能できる美しい自然が魅力のほか、晴天率が高く、冬でも雪が少ないのが特徴です。帯広空港もあり、他地域へのアクセスも良好です。

函館市は、北海道で札幌市、旭川市に次いで3番目に人口が多い都市です。500床クラスの民間病院もあり、大学医局に入らずに急性期病院で勤務できる可能性があります。給与水準も高く、10年未満の若手医師で1700万~1800万円、20年目以上のベテラン医師であれば2000万円以上の年収を実現できる可能性があります。歴史ある街並みで、収入・生活環境ともにバランスが取れているのが魅力です。函館空港を有し、他地域へのアクセスも良好です。

医師に人気の都市として北海道に並ぶのは、長野市です。北陸新幹線が通っていて関東へのアクセスが良いことに加え、登山を趣味にしていたり、自然の暮らしに憧れを持っていたりする医師が移住や単身赴任をして勤務を希望することが多いようです。長野市においては、県外からの医師を広く受け入れる文化があり、働きやすさの面でもおすすめです。

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