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調査

カメラ目線、手短に発言…医師のウェブ会議トレンド―ウェブ会議ツール利用調査(後編)

2020年10月27日

医師にウェブ会議ツールの利用実態を聞く本シリーズ。(※)後編では利用しているツールやシーン、利用にあたって注意していることをご紹介します。
(※)2020年9月12~19日、m3.comの医師会員を対象にエムスリーキャリアが実施

Zoomが圧倒的シェア

利用経験のあるウェブ会議ツールを複数回答で尋ねたところ、1位は「Zoom」(74.2%)、2位は「Teams」(33.3%)、3位は「Skype」(27.8%)という結果になりました。

図1:利用経験のあるウェブ会議ツール(20~70代の医師508名が回答、複数回答)

利用して良かったウェブ会議ツールも、利用経験同様の結果でした。Zoomに関しては「そのツールしか使ったことがない」と答えた人もいました。

図2:利用して良かったウェブ会議ツール(20~70代の医師508名が回答、複数回答)

各ツールの利用後の感想を一部抜粋してご紹介します。

Zoom

  • 一番使いやすかった
  • 人数が多くても会議しやすい
  • スライドの共有が簡単だった
  • 録画できる
  • 普及の度合いが高い印象がある
  • 施設が法人契約をしたため制限がない

Teams

  • マイクロソフトの機能が共有しやすい
  • ややハードルが高いが、Teamsの共同編集機能は優れていると思う
  • 入室が簡単。手元の資料も共有できる。音声回線だけは電話で同時独立させているので、会話がクリア。ただし、マンツーマンのみ
  • 操作が簡単。企業での導入が多い

Skype

  • 以前から使用しているので
  • 特に不便は感じなかったため

Google Meet

  • 多人数に対応している
  • 簡単に接続出来たから

勉強会での利用が普及、今後の期待はオンライン診療

次に、ウェブ会議ツールの利用シーンは、1位が「企業からの営業活動・説明会」(34.4%)、2位が「院内会議・勉強会」(24.2%)、3位が「地域連携(勉強会)」(23.8%)となりました。「企業からの営業活動・説明会」や「地域連携(勉強会)」は、感染症対策に伴う病院への出入り制限が影響しているのかもしれません。

図3:ウェブ会議ツールの利用シーン(20~70代の医師508名が回答、複数回答)

また、今後利用したいシーンは1位が「地域連携(勉強会)」(31.9%)、2位が「院内会議・勉強会(他部署を交えたもの)」(25.6%)となりましたが、3位には「利用したくない」が24.8%でランクインしました。

オンライン診療については、今後利用したいと答えた人が20.1%おり、現在の利用している人(4.3%)と比べて5倍になっていることから、今後さらに広がり、医師の働き方も変わっていくかもしれません。

図4:ウェブ会議ツールを今後使用したいシーン(20~70代の医師508名が回答、複数回答)

ハードルは通信環境とコミュニケーション

最後に、利用にあたって困っていることと注意していることをまとめました。回答の多くはウェブ会議をつなぐための環境面の問題と、ウェブならではのコミュニケーションの問題の2つに分けられました。

ウェブ会議をつなぐための環境面の問題

【困り事】
  • Wi-Fi、アプリ、ソフトの準備が必要
  • 音声のハウリング
  • スマホだと画面が小さくてスライドは読めない。デスクトップパソコンだとカメラが付いていない
  • ITに疎いので、うまく操作できない時にその解決法がわからない
  • セキュリティーがどこまで確保されているのかわからない
【注意点】
  • 個室での利用
  • あらかじめテストをする
  • Web会議用のパソコンに加えて、資料を表示するパソコンを別に準備する
  • Zoomを使うときとTeamsを使うときなどで、回線速度などに注意している
  • クリアな音声が届けられるよう、必ずウェブ会議用のスピーカーマイクを使用している
  • 電源プランは「スリープしない」、ディスプレイは「電源を切らない」にしておく
  • Teamsを使おうとしたところ、一部の方がiOSのバージョンが古くて、動作しないことがあった。相手方のOSのバージョン等の確認と、適宜アップデートしていただくことが重要

ウェブならではのコミュニケーションの問題

【困り事】
  • 画面に室内が映り込むことがあるが、対策は簡単ではない
  • お互いの対面式と異なり、「話す」、「聞く」のタイミングが合わない
  • 同時発言がしにくいため、型通り、事前イメージ通りの進行となることが多い。良きアクシデントは皆無
  • 大勢で利用しているときに、きちんと伝わっているか不安
  • 画面に向かって集中しないといけないので、結構疲れる
【注意点】
  • 予定で行うので質問事項を予め考えておく
  • 一人では制御しにくいので数人で担当を決めている
  • 時々カメラ目線となるようにしている
  • ゆっくり話す、身振りを気にする、途中で確認する
  • ハウリングしないよう、発言時以外はミュートにしている
  • 誤解を生むような冗談を言わないようにしている
  • 短いセンテンスで発言し、終了時には「どうぞ」または「以上です」というように留意している

上記のようにウェブならではの制約を意識し、試行錯誤を続ける医師が多いようです。ウェブ会議は最初の設定が大変かもしれませんが、その後は繰り返し利用することで慣れていくはずです。本記事で紹介した内容を参考に、先生方もウェブ会議ツールを上手に活用してみてはいかがでしょうか。

同テーマの記事シリーズはこちら

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