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コラム

甘え上手は仕事復帰しやすい?!―女医のつれづれ手帖(17)

2018年5月10日

Yu(ゆう)
産休・育休中から仕事復帰をする場合、さまざまな関門が待ち構えています。それをクリアするためには、周囲の協力が必要不可欠。今回は、仕事復帰にあたり「いかに支えてもらうか」を実現させるために、わたしが実践したことをお伝えしたいと思います。

「復帰の関門」を突破せよ!

産休・育休中の女性が仕事復帰をする場合、いろいろな条件を整えなければなりません。保育園探しに始まり、家族の協力を得ること、職場に理解をしてもらうこと…。とにかく多くの関門が待ち構えています。「職場復帰で気をつけたい3つのこと―女医のつれづれ手帖(13)」でも触れたように、わたしが育児休暇を経て、仕事復帰したのは子どもが生後3カ月のときです。

復帰時の仕事内容は、美容内科と麻酔科のスポット勤務。最初は週3日ペースで様子を見て、徐々に週4~5日に勤務時間を増やしていきました。妊娠前は麻酔科のスポット勤務を中心にやっていましたが、これから妊娠・出産・育児などライフステージが変わったときに仕事を続けることを考えると、片道1時間弱かけて満員電車に乗って通勤することは厳しいだろうと思い、比較的体力面に余裕が持てる美容内科も並行して診るようにしました。

頼れる環境のありがたさ

保育園がなかなか決まらずに、仕事復帰ができない方もたくさんいると思います。わたしの住む地域は比較的保育園の数は多い印象がありますが、待機児童も多いらしい、という話も聞いていました。子どもが産まれる前から保育園を探し始めたことは、スムーズに復帰できた理由の一つかもしれません。生後3カ月から預けることに多少不安もありましたが、保育園の先生方はとてもよく面倒を見てくださり、本人も楽しそうに通っているので、思い切って決めて正解だったと思っています。わたしは麻酔科業務の復帰もあったので、ブランクがあればあるほど手技が怖くなってしまう傾向があり、そういう意味でも仕事に戻りたくなくなる前に復帰してよかったなと思っています。

わたしが聞いた話によると、女医さんは、仕事復帰をするのが比較的早めだそうです。どの女医さんも仕事のスキルや感覚が鈍ってしまう心配や、専門医試験が控えているなど、早く復帰しなければ!という思いが強くなるのではないでしょうか。復帰前は、仕事だけではなく、「急に子どもの具合が悪くなったときはどのように対応しようか」や、「仕事が押して保育園のお迎えに間に合わないときはどうしたらいいのだろう」など、今となっては対応に慣れてきたことも、当時は不安でいっぱいでした。そういった不安材料を払拭するには、現在の日本だと、まずは家族の協力なしには実現できません。

実際に、月齢が低いうちに保育園に預けると第二の家感覚で子どもが抵抗感なく通ってくれるなどの良い面もたくさんある反面、まだ免疫が弱いせいか、保育園に通いだして半年くらいは常に感染症との闘いで、1カ月に1回(3日~1週間以上)は病欠せざるを得ないほどでした。その度に仕事を休むわけにもいかないため、絶対的に家族の協力が必要になります。我が家は、旦那がわたしよりも仕事が忙しく、調整がききにくいので、緊急時は自分の親に急遽お願いすることが多いです。幸い、実家が近いところにあるため、今のところどうにかなっています。子どもが成長するにつれ、感染症にもかからなくなってきたので、急な病欠の不安は減ってきましたね。

ダメもとの条件でも、まずは伝えること

あとは、職場の理解。例えば、保育園が見つからなくても、勤務先に託児所があると、復帰の目途が立ちやすくなります。託児所がなくても、時短勤務や勤務日数の融通を利かせてくれるだけでも復帰しやすい条件は整ってきます。わたしの勤務先・スポット勤務では、多少のペナルティがあるにせよ、急な代診の手配をしてもらえるので、いざというときは何とかしてもらえる環境です。しかし、まだまだママ女医が偏見を持たれているケースが後をたたないようだ、と耳にしています。これは、本当に残念なことです。女医自体も増えてきており、少子化も叫ばれているのですから、医療界全体がもう少し女医の結婚・出産に対してプラスに捉えてもらいたいですね。

これから仕事復帰を目指している方は、いろんなハードルがあって、育児も大変という状況に気が滅入ってしまうかもしれません。しかし、ダメもとでも上司に相談してみたり、条件に合う転職先をリクルートしてみたりすると、意外と今の自分のライフスタイルにぴったりのものが見つかる可能性はゼロではありません。現状について一人で抱え込まずに、視野を広く持って前向きに捉えてほしいと思います。

Yu
ゆう
麻酔科医・内科医

医学部卒業後、某医局で麻酔科認定医取得。 30代で国際結婚、1児の母。現在は麻酔科・内科医として働きながら、 自身の経験を活かした執筆活動も行う。

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