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コラム

職場復帰で気をつけたい3つのこと―女医のつれづれ手帖(13)

2017年11月17日

Yu(ゆう)
保育園入園の時期が決まったら、いよいよ育休も終盤。仕事の勘を早く取り戻すことができるか、子どもの体調によって休みがちにならないか、保育園に時間通りお迎えに行けるのかなど、不安を挙げたらキリがないですが、休みをいただいたからには職場復帰について考えなくてはなりません。わたしの場合はフリーランスなので職場はありませんが、仕事復帰にあたり3つのことに気を付けていました。今回は、そのことをお伝えします。

妊娠4カ月で仕事復帰の時期が決定

わたしが仕事復帰の時期を決めたのは、妊娠4カ月頃でした。まだ出産は先のこと、と軽い気持ちで行った保育園の見学会で、生後3カ月から預かってもらえることが判明。「来年の○月なら、まだ空きがあるので入れますよ」と言ってくれたので、他の保育園を見ずに入園手続きに踏み切り、それが自動的に復帰の時期となりました。
待機児童の問題も騒がれているこのご時世、入園がスムーズに決まったことは本当に運が良かったと思います。ただ、生後3カ月というのは、まだまだ手がかかる時期なので心配な面もありました。実際に入園してみると、子どもはいろんなお友だちと触れ合えていい刺激になっているみたいですし、わたしは保育園の先生方から育児のアドバイスを聞くことが出来ていて、本当に助けられています。

医師として職場復帰するのは、それぞれの科や勤務している職場によってさまざまだと思います。麻酔科は特に、数カ月のブランクですら復帰するのが怖くなる科目。一度麻酔をやめてそれっきり怖くて復帰への気持ちが遠のいている、という意見も聞きます。それに、産前・産後に体力を奪われて、そこから休みなく子育てをしているため、妊娠前と全く同じような体力を持って働けなくなるケースもあります。
わたしの場合は、保育園の入園時期に合わせて産後3カ月で復帰することになりましたが、仮に今でも保育園が見つからずにいたら、転科の道を選んでいた可能性も十分に考えられます。正直なところ、もっと手技の少ない科を選択すべきだったかもしれないと、後悔したこともあります。

自分、職場、家族と向き合う

これらを踏まえると、職場復帰するときに気を付けるべきことの一つは、「産後の自分を過信しすぎないこと」ではないでしょうか。たった数カ月でも、勘は確実に鈍っています。復帰したての頃は、周りにどんなに急かされたり、期待されたりしても、様子を見ながら仕事をする方が良いと思うんです。現にわたしも、復帰後2カ月くらいは仕事をセーブしていたのですが、なんとなく断り切れずに引き受けてしまった仕事もありました。外では仕事が、家では子育てが待っている状態に、予想以上に早い限界を見ました。この経験から、最近では仕事と同じくらい体力回復にも力をいれるようにしています。体力が戻ってくれば、仕事も、子育てもキャパシティーが増えて、もう少し楽に出来るようになってくるはず!と思ってやっています。

気を付けるべきことの二つ目は、職場復帰したときに「ご迷惑おかけしました」と謝罪するのではなく、「おかげさまで子供も元気です。ありがとうございました」と感謝を伝えることだと思います。
日本人は、何でもすぐに謝りがちではないでしょうか。妊娠・出産はおめでたいことですし、何より命がけの行為です。一方で、自分が産休・育休を取っている間に、他の人達が仕事をカバーしてくれていて、これからも多々フォローしてもらうことになることも事実。ですので、ここは感謝の気持ちを最大限に伝えるのが良いのではないでしょうか。もしわたしが勤務医だったら、女医さんが育休から復帰をしてきた時に、謝られるよりも、明るくお礼を言われた方がいいですし、お互いに前向きな気持ちになれると思います。少なくとも「わたしはママだから」と横柄にならなければ良いと思うのですが、いかがでしょうか。

最後に、いつも育児を手伝ってくれている家族にも感謝の気持ちを伝えないとダメですね。わたしも必死になり過ぎて「こっちは仕事が大変なんだから!」と旦那や親に当たってしまい、「どっちが忙しい合戦」となり喧嘩することもしばしば(笑)。しかし、仕事をしているのは旦那も同じであり、親もわざわざ遠くから来てくれています。そのことを忘れてはいけないと思いつつ、最近の態度を振り返り反省中です。そして、仕事も軌道に乗ってきた今、次は「いつ二人目を産むのか」というテーマとの闘いと葛藤が始まるのでした(笑)。

Yu
ゆう
麻酔科医・内科医

医学部卒業後、某医局で麻酔科認定医取得。 30代で国際結婚、1児の母。現在は麻酔科・内科医として働きながら、 自身の経験を活かした執筆活動も行う。

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