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コラム

妊娠発覚! 産休までどう働く?―女医のつれづれ手帖(9)

2017年10月19日

Yu(ゆう)
女性にとって一大イベントといえる、妊娠・出産。科や医療機関によって妊娠後の働き方はそれぞれだと思いますが、わたしはフリーランスという立場上、ある程度働き方をコントロールすることができました。妊娠がわかってから妊娠後期に入るまで、どのように周囲と連携をとっていたか、働き方を変えていったかをお伝えできればと思います。

フリーランス医師×妊婦ゆえのメリット、デメリット

「子どもは天からの授かりもの」というように、最も計画しづらく想定外になりうるのが、“妊娠”です。
わたしが妊娠・出産したのは2016年。フリーランス医師に転身したばかりで、もう1年先に子どもができたらいいなぁと考えていた矢先だったので、妊娠がわかったときは、うれしさよりも正直おどおどしてしまったことを覚えています。
麻酔科は放射線を浴びることも多い仕事なので、「何だかいつもと体調が違うな」と思った段階で、すぐに簡易検査をしました。結果は見事、陽性。産婦人科にすぐ診てもらい、胎のうと心拍確認をされ、めでたく妊娠が確定。不思議なもので、同じ体調の変化でも、直感で「子どもかも!?」と思ったものです。理由はよくわかりませんが、母の勘というものなのでしょうか?

フリーランスということもあり、まずは仕事を紹介してもらっているエージェントに妊娠したことを伝え、当時非常勤勤務をしていた病院のスタッフの方々にも、自分から妊娠の報告をしました。オペ室の看護師さんたちは、子持ちや既婚者の方が多く、皆さんから「おめでとう」と言っていただいて、ほっとした記憶があります。子育てのアドバイスなどもしてくれたので心強く、うれしかったですね。幸い、悪阻もそれほど酷くなく、経過も極めて順調だったので、妊娠中のトラブルやそれによる勤務の急なキャンセルなどもなく産休まで持ち越せました。

「結婚すると、何がどう変わるのか?!」でも述べた通り、フリーゆえの不安定さはありますが、仕事量の調節がしやすく、半日勤務の案件も紹介していただけました。勤務日数が少なくても、収入に困らずに済んだので良かったと思っています。何より、常勤独特の気遣いをする必要がなかったため(もちろん、医局や病院の雰囲気によります!)、すごく助かりました。ただ、病院によっては、妊婦はお断りというところがあったのも事実。雇う側としては、非常勤で来て突然倒れられても困るでしょうし、症例によっては透視検査を多用するものが入ることもありますから、それは病院側の配慮と捉えています。

このように、妊娠中期くらいまでは、非常勤やスポットでコンスタントに働いていましたが、朝も早く、郊外の病院も多かったので、お腹が大きくなるにつれて、通勤も仕事もしんどくなっていきました。麻酔業務はブランクが空けば空くほど復帰しづらくなることは、百も承知。それでも妊娠後期に入る頃には、さすがに無理を感じるようになりました。家族から仕事を控えるように説得されたこともあり、麻酔の仕事だけではなく、家から通いやすく座ってできるバイトも積極的に入れるようにしました。

働き方を変える勇気を

妊娠後の働き方は、科や所属している組織によって大きく異なると思います。それに加えて、妊娠経過も当然優先されるので、「この時期までこれくらい働こう!」と考えていても、叶わないことがあることを意識しておくべきです。実際に出産経験のある女医さんや看護師さんから、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病になってしまった、子宮頸管長が短いために絶対安静を言われた、という話も聞きました。

妊娠・出産は、人生における命懸けの一大イベントです。
わたしも産婦人科の主治医から、「医療従事者は切迫早産する人多いので無理しすぎないように気を付けて下さい」と忠告を受けました。せっかく授かった命。キャリアや周りの目を気にすることよりも、優先することを再確認してほしいです。お腹の赤ちゃんが一番大切なのですから。

Yu
ゆう
麻酔科・内科医

医学部卒業後、某医局で麻酔科認定医取得。 30代で国際結婚、1児の母。
現在は麻酔科・内科医として働きながら、 自身の経験を活かした執筆活動も行う。

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