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求人探し

転職を急ぐ医師がはまる落とし穴とは?―コンサルタントとの初面談レポ2

2020年4月15日

転職支援サービスへの登録後に行われるコンサルタント面談に同席し、その様子をレポートする本シリーズ。第2回は、求人探しで失敗しないための方法についてです。
※医師からは許可を得て、面談内容の一部を変更しています。
※エムスリーキャリアのコンサルタント面談は、ウェブ会議システムもご利用いただけます。

転職希望医師:A先生
都内在住。公立病院の救急科に勤務している。医師11年目を迎え、転職を検討中。既婚。子どもはいない。

担当コンサルタント:野村紗欧里さん
エムスリーキャリア株式会社で医師専門の転職サポートに携わる。キャリアコンサルタント(国家資格)、医療経営士の資格を持つ。

医師が転職前に整理しておくべきこと

野村さん:年収以外にご希望の条件はありますか。

A先生:立地ですね。第1希望は東京と神奈川です。救急搬送人数も群を抜いていますし、圧倒的に中等症~重症患者数が多いので。

野村さん:東京や神奈川でしたら救急の需要が強いので、求人の選択肢がありますね。ご留意いただきたいのは、地方の方が年収は高くなる傾向にある点です。これからご家族を増やしたいお考えだと伺いましたので、必要になる教育費用も踏まえてお考えになった方が良いと思います。

A先生:そうですね。でもまだ先の話だし、正直、何を優先するか迷います。

野村さん:年収、症例、立地はどれも捨てがたいですよね。条件のバランスもあると思いますから、あとは求人を見ながら、先生の優先順位をご相談させていただく形になると思います。

A先生:あ、関西出身ですので、もし条件の合う求人があれば、関西へのUターンも考えるかもしれません。遠方で求人を探すとしたら、やはり面接などは大変でしょうか。

野村さん:ご状況や、先生のご希望に応じて、医療機関に面接場所の調整や、ウェブ会議システムを活用した面接の実施を提案しております。医療機関によっては、1次面接で院長や事務長が先生のお住まいの地域まで来ていただけるケースもあります。お互いに好感触であれば、その後に病院見学ができますよ。関西でお仕事をするとしたら、ご家族もご一緒ですか。

A先生:妻は東京出身ですし、出産や育児も考えたらしばらくは難しいかもしれません。話してみないと分からないですね。

野村さん:単身赴任は寂しいかもしれませんが、そうなった場合は定期的にご家族のもとに戻れるよう帰省手当をいただける場合もあります。ちなみに、当直は可能でしょうか。

A先生:当直対応は構いません。ただ、年末年始や大型連休に日勤や当直を入れる代わりに、1週間程度まとまった休みをとりたいと思っています。長期休暇を取得できる施設は少ないでしょうか。

野村さん:医療機関の医師数などによって休暇取得の難しさは異なりますが、医療機関と交渉してみることはできると思います。また、休暇とは別に、転職前にご希望を整理しておくことをお勧めするのが「学会にどれくらいの頻度で参加したいか」ということです。ほどんどの医療機関は、学会のためであれば休暇は取得しやすい環境ですが、発表者かどうかで出張費の支給回数が変わるなど、詳細な規定を設けているところもあります。あらかじめご自身の希望とすり合わせられるとスムーズです。

A先生:学会はできる限り出席したいですが、発表の有無にかかわらず年に最低2回、融通が利くのであればそれでいいと思っています。

野村さん:承知しました。また、「現在よりも業務負担を軽減したい」とおっしゃる先生が多いのですが、A先生は避けたい業務などがありますか。

A先生:救急医ですから、特にありません。でも、一般的にはそこが一番のポイントになるのでしょうね。

野村さん:そうですね。特にご年配になるほど気にされます。勤務先によって業務負荷は大きく異なりますから、ご自身にとっての「適切な業務量・業務内容」をご検討いただけると、納得のいく転職につながるのではないかと思います。

転職を急ぐ医師がはまる落とし穴

野村さん:話は変わりますが、先生はどのくらい先のキャリアまで見据えていらっしゃいますか。今後、どのような形で医療に従事していきたいか、どのような人生を歩んでいたいかなどのお考えがあればお聞かせいただきたいです。

A先生:正直言って、救急医として今のペースでずっと働き続けることには限界を感じています。今はいいですが、この先子どもが生まれたり、優秀な後輩が現れたりと、さまざまな節目ごとに、立ち止まって自分のキャリアを模索することになると思います。これからの専門医制度を考えても、サブスペシャルティ取得をどうするかといった明確なキャリアプランを持つのはまだ難しいかもしれません。

野村さん:明確なプランをお持ちでないにせよ、ご自身周辺の状況や今後の専門医制度のあり方にも視野を広げていらっしゃるのですね。転職で求人票を見ていると、給与や当直、福利厚生などの条件面に目が行きがちですが、ライフプランも考慮しながらご自身に合った勤務先を選択していくことが大切です。待遇を重視し過ぎてしまったり、「現職を辞めること」を優先したりしたために早急に転職を進めてしまい、のちに後悔されている先生方も一定数いらっしゃいます。入職後のミスマッチが起こってしまったら、再度転職や早期退職をすることを余儀なくされるかもしれませんので、長期的視点を持って勤務先を選択していただければと思います。

求人を2段階で評価することが「打率を高める」

A先生:私に合いそうな求人は見つかりそうでしょうか。

野村さん:はい。大丈夫だと思います。ただ、いくら医師の転職市場が売り手市場とは言え、「希望条件に100%マッチしている求人」はなかなか見つかりません。条件面では先生のご希望とマッチしていたとしても、実際に訪問してみたら院内の雰囲気が気になることもありますし、逆に、条件はマッチしないけれども、施設の雰囲気や現場の診療観に強くひかれ、入職を決意されるケースもあります。 先生方には、「2段階で求人を評価する」ことをお勧めしています。1段階目は条件を緩くして、対象となるような医療機関の情報を広く集めてみる。2段階目にそれらの医療機関の細部にも目を配り、ご自身が働き続けられるイメージを持てるかを吟味するといいと思います。

私たちが転職活動を支援する際も2段構えでの求人提案を意識しています。最初は少し広めに求人を提案しますので、先生からは求人を見た率直な感想や、違和感を包み隠さず教えていただきたいです。この過程で、ご自身が何を求めて転職しようとしているのか、優先順位が明確になっていく方も多いですね。 もしご提案した中に気になる求人があれば、先生の希望条件により近づけていけるかどうかを施設側に掛け合います。年収については、求人票では「1,500万~2,000万円」などと幅広い設定になっていることが多く、なかには「1,000万~2,000万円」という場合もあります。そのため、先生のご希望額を医療機関に伝えて交渉します。例えば、募集条件では当直1回となっているのに対し、先生が当直2回までできる場合、それを施設側に伝えた上で、ニーズと合えば、ほかの条件面の交渉をします。そのように最適な転職先の候補を絞っていきます。

A先生:1段階目に広く求人を集めるときは、どんな軸で求人を精査しているんですか。

野村さん:まずは、医療機関から求められる経験・スキル・能力の確認ですね。事前にここをすり合わせておかないと、のちに大きなミスマッチになります。 それと同時に、募集背景をきちんと確認するようにしています。たとえば、人手不足が理由の募集でしたら、入職後の忙しさは明らかです。募集の背景が欠員補充なのか、事業展開による増員なのか――。理由によって、院内の雰囲気や転職後の先生の居心地が変わる可能性があります。そのほか、組織体制や経営方針、その医療圏での立ち位置なども先生方には率直にお伝えしています。 一方で、先生のご経歴・スキルやご意向次第では、求人票にないポストを交渉できる可能性はあります。たとえば医療機関に対し、患者数が多いにもかかわらず地域でカバーできてない領域で、診療科の立ち上げ役を採用してはどうかと提案する、ということもできます。ご希望とぴったり一致する求人がなくとも、先生がご興味あれば、私たちから医療機関に売り込むこともあります。

A先生:自分に合った転職先を見つけるためには、まずは求職者がコンサルタントに率直な意見を伝えることが大事なんですね。

同テーマの記事シリーズはこちら

エムスリーキャリアは、より多くの選択肢を提供します

先生方が転職をする理由はさまざまです。

  • 現状のキャリアや働き方へのご不安・ご不満
  • ご家庭の事情や、ご自身の体力面などの事情
  • キャリアアップ、新しいことへの挑戦
  • 夢の実現に向けた準備

など、多様なニーズに応えるために、エムスリーキャリアでは全国から1万件以上の求人を預かり、コンサルタントは常に医療界のトレンド情報を収集。より多くの選択肢を提供し、医師が納得のいく転職を実現しています。

転職すべきかどうかも含め、ご相談を承っています。

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