近年、製薬企業の間で医師を雇用しようという動きが活発化しています。その背景には、何があるのでしょうか。
外資製薬企業から広がったメディカルドクター(MD)の雇用
製薬企業で医師は、メディカルドクター(MD)と呼ばれ、医学知識や臨床経験が豊富なエキスパートとして、新薬の創出や適正使用の推進に至る様々な場面での活躍が期待されています。
製薬企業の中でこうしたMDを雇用する文化は、欧米からもともと広がったと言われています。
欧米では、医薬品の研究開発・適正使用の推進は「治療の一環」としてとらえられ、規制当局も、製薬企業の活動にMDが積極的に関与することを求めてきたことから、製薬企業へのMDの就職が日本よりも一般的だと言われます。大学などの研究機関で活躍していた教授レベルの医師が製薬企業に就職したり、逆に製薬企業で活躍したMDが大学に移ったりなど、企業とアカデミアの間での人材の流動性も高いようです。
こうした状況を踏まえて、欧米に本社がある外資製薬企業では、欧米本社だけでなく、日本法人にもMDを雇用してきました。日本法人にもMDを配置することで、日本法人と欧米本社が同じ目線で情報交換できるようになり、国際的に同時並行で行われる臨床開発や安全対策に対しても、足並みを揃えやすくなるというメリットがあるようです。
日本の内資企業でも広がるメディカルドクター(MD)の雇用―国際共同治験、「メディカルアフェアーズ部門」立ち上げなどの影響も
MDを雇用しようという動きは現在、日本の内資製薬企業にも広がっています。
外資製薬企業が自社内へのMDの雇用を進めてきたのに対し、内資製薬企業はこれまで、外部の医師との協力関係をベースに医薬品の研究開発、安全対策などを行ってきた傾向があります。しかし、ドラッグ・ラグが叫ばれ、複数の国または地域で同時で臨床試験を行う国際共同治験に日本も参加できるように、欧米と足並みをそろえて組織づくりをしなければならなくなったという事情があるようです。
また日本では、製薬企業と医師の利益相反の問題が指摘され、透明性を担保しつつ製品のエビデンスを構築していくことが製薬企業にとっての大きな課題となっています。
こうした状況を受けて製薬企業では、営業部門とは独立的に医学的な側面から製品の価値向上を図る部門として、「メディカルアフェアーズ部門」の立ち上げが相次いでいます。現場の医師の目線を持つMDは、医学知識も豊富である上に臨床医との連携も取りやすいため、こうした場においても重宝されるようです。
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