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医療崩壊、そのとき医師に必要な学びとは─谷幸治氏(ホロニクスグループ代表)・前編

2020年4月20日

医師が診療科の専門性ではなく、経営の専門性を磨く——。そんな「経営専門医」育成プロジェクトを2020年度から開始するのが、ホロニクスグループの医療法人 医誠会です。日本ではまだ珍しい取り組みを促進する背景には、2025年問題をはじめとした、医療経営をとりまく環境の激変があると、同グループを一代で築いた谷幸治理事長は語ります。現在の医療体制に警鐘を鳴らす同氏に、病院運営がおかれている状況や新たに医師に必要な学びについて聞きました。(取材日:2020年2月21日)
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【医療法人医誠会を含むホロニクスグループの経営実績】
・全国病院「改革実績」ランキング ※週刊ダイアモンド、2016年
 医誠会病院:全国22位、大阪地区1位
・医療法人 経営安定力ランキング ※週刊東洋経済、2019年
 医療法人医誠会:全国14位
・健康経営優良法人 ホワイト500認定 ※経済産業省、2020年
 医療法人医誠会を含むホロニクスグループ:100位以内/2328社

医師にも経営スキルが求められる時代

——なぜ医師が、経営の専門性を身に着ける必要があるのでしょうか。

まず、医療法上、病院を経営できるのは医師であり、医療の意思決定を行うのも医師です。この事実はこの先も変わることはありません。現在、日本では臨床医としての実績・優秀さを備えている医師が院長や経営者になることが多く、しかも医師が経営を体系的に学ぶ機会はほとんどありません。一方で、2025年問題等も含めて、病院経営は年々厳しくなっています。外部環境の大きな変化により、これまでのような属人的かつ経験則に基づいた病院経営は成り立たなくなっているのです。

このような時代の変化から、病院経営における専門家の配置が不可欠になっています。しかし、臨床を経験してから経営を学び始めると、どうしても臨床経験則に基づいたバイアスがかり、年齢という因子も加わり、潜在的変異性を失い、変化適応能力が低下してしまいます。このため、医師経験がまだ浅い、これから専門領域を学んでいくような方の中から、病院経営の専門性を持った医師を育成していく必要があると考えています。加速度的に病院経営が厳しさを増す中で、変化に適応しながら戦略的に病院を運営できる人材が急速に求められているのです。病院が社会の中でどうあるべきか、次代を担う先生たちに考えてほしい。こうした想いから生まれた取り組みの1つが、経営専門医育成プロジェクトです。

病院が病んでいる

——背景には医療経営への危機感があったんですね。

私が最初の病院を開業してから約40年が経ちますが、その間に「病気の主体」「治療の主体」「意思決定の主体」「治療の場の主体」という、4つの主体の変化が起こりました。

【4つの主体の変化】

  •  病気の主体:感染症から生活習慣病へ
  •  治療の主体:医師個人からチーム医療へ
  •  意思決定の主体:医師から患者本人へ
  •  治療の場の主体:病院完結から社会完結へ

しかし、こうした変化に病院は適応できずにいます。先日、国は公立・公的病院の再編・統合リストを発表しました。公立病院には補助金が投入されていて、その総額は年間約8000億円にも上ります。それでもなお、年間812億円の赤字が出ている。累積欠損金も1兆8399億円に達する。明らかに病院は機能不全に陥っているのです。

さらに、人口動態の変化が、医療崩壊のスピードを速めています。急速な人口減少が進む一方で高齢化が進み、医療費や社会保障給付費は加速度的に増加しています。また、日本は平均寿命と健康寿命に約10年の差があります。これが拡大すれば、医療費・介護費の増大は免れないでしょう。

平均寿命と健康寿命の推移(「平成28年版厚生労働白書」より抜粋

要するに、収入が減っていくにもかかわらず支出は増えていく可能性が非常に高いということです。病院経営がますます厳しくなる中で、公立病院が日本の医療をリードする体制を続けていけるでしょうか。現在の制度は、間違いなくどこかで破綻するでしょう。医療の世界においても、民営化の波は避けられません。しかし、公立病院の代替機能を有する民間病院が幾つあるでしょうか。

生き残るのは、変化に対応できる者

——今後、病院経営はどうなるのでしょうか。

病院は多額の設備投資・情報投資が必要です。事業の継続性を考える時、もはやデッドファイナンス(※1)では立ち行かない。電力会社のように、ハードは市場資金、ソフトは公定価格という構図が現実的でしょう。現在、日本では株式会社による病院経営は原則不可とされていますが、私は遠からぬ将来、病院運営にもエクイティファイナンス(※2)の時代がくると考えています。欧米では民間病院の上場は当たり前のことですし、東南アジアやインドでは既に企業による病院の買収が進んでいます。あらゆる職種でグローバル化が進行する現在、病院業界においても“黒船襲来”は避けられないでしょう。そのとき、海外の病院グループに太刀打ちできる日本の病院が一体どれだけあるでしょうか。

(※1…銀行借入や債券発行といった負債による資金調達)
(※2…新株発行による、元金・金利返済を伴わない資金調達)

経営は、環境適応業です。ダーウィンが著したように、生き残るのは強い者でも賢い者でもなく、変化に適応できる者。しかしながら、変化に気づきながらも、適応する術を探すより、自らの既得権益を守ろうとする経営者の方が多いように感じます。現状、病院の民営化というピンチをチャンスに転じられる病院は多くないでしょう。

経営専門医育成プログラムの詳細については こちら

開業する医師のみなさんへ

もし先生が、将来は独立・開業したい、病院経営を担いたいといったお考えをお持ちでしたら、エムスリーキャリアにご相談ください。

●センター新設など、戦略的に事業拡大をしている病院
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