12月から特に活発化していく、医局人事の発表。では実際のところ、どんな条件を満たした医師が異動や昇進、昇格の対象になっているのでしょうか。m3.comの医師会員1000人を対象に実施した調査の概要をお知らせします。
Q.所属医局で昇進、昇格(教授選など)において、独特なルールがあれば教えてください。
- 博士号、専門医取得したもの優先。(医局所属中)
- 各専攻分野の中での年功序列と論文の数(医局所属中)
- 准教授になるには博士号を取得するか相当の論文が必要だった。(2010年代まで医局所属)
- 英文フルペーパーの質と数がものをいう。(2010年代まで医局所属)
- 学位取得、留学経験者が病院スタッフ(助教以上)になれる(医局所属中)
- おおむね年功序列。上が空いたら下が繰り上げ。教授がかわると大きく入れ替わります。(2010年代まで医局所属)
- 開業などで医局人事から離れる場合は1年前までに、遅くとも半年前までに医局長に連絡すること。(医局所属中)
- 教授選に出る准教授は教授から無視される。(2000年代まで医局所属)
- 専門医になって、関連病院の部長になったら、大学に帰れない。(2000年代まで医局所属)
- 俗に言う、根回しが上手い人間の方が出世している。(2010年代まで医局所属)
- 自分の大学出身者を優先するが、現教授よりも有名な准教授などは教授になれない。(2000年代まで医局所属)
- 現在は、公募制がしかれているので独特なルールはなかったが、かつてはやはり教授に気に入られるか否かが、大きな要素を占めていた。さらには、かつての人事権が教授会ですべてきまって執行されていたころは、いかに票を集めるかがすべてだった。特に新教授を決める際には、自大学の医局からは一本化することが暗黙のルールだったので、どうしても戦いたい先生はいったん退局をしていた事例を知っている(もしくは競争相手を先に退局に追い込んで出にくくするという作戦が成功した例も見たが)。(2010年代まで医局所属)
育児や介護…ライフスタイルに配慮したルールを定める医局も
このほか、医局人事の結果が、育児や介護などといった、医師自身のライフスタイルにも大きな影響を及ぼすことも珍しくありません。今回の調査では、医局人事や日常業務の中で、家庭に配慮してのルールがあるかどうかについても質問。「配慮がある」と答えたのは24.8%という結果になっています。
Q.所属医局内で育児・介護など家庭の事情に配慮したルールはありますか?
なお、上記のデータを診療科目別に打ち出した結果は、以下の通りとなっています。
Q.所属医局内で育児・介護など家庭の事情に配慮したルールはありますか?
(診療科目別※回答者10人以上の診療科のみ)
なお、自由記述には「明文化されたルールはないものの、個別事情をあらかじめ相談しておけば配慮はしてもらえる」という趣旨のコメントも多数。育児や介護をフォローするための特別な制度が明示されていなかったとしても、予め相談しておくことで、必要な支援を受けられるようになるケースはあるようです。
以下に、所属医局内で育児・介護など家庭の事情に配慮したルールが「ある」と答えた会員の皆様から寄せられたコメントをご紹介します。
- 15時まで、17時までなど、それぞれに合わせた勤務形態がある。子育て中の母親は当直免除(医局所属中)
- 明文化されたものはないが、完全なトップダウンではなく相談させてもらえる。(医局所属中)
- 医局長との相談から最終的には教授の許可がいったが、人情的な配慮はあった。(2000年代まで医局所属)
- 該当医師の病棟を免除する、当直をなくす、出張を日帰りにする(医局所属中)
- 育児中の女医さんでも働けるような環境を作るように要請されるし、積極的に斡旋しているらしい。(医局所属中)
- 夫婦とも医師の場合、同じ市内勤務とする(2000年代まで医局所属)
- 妊活や婚活、育児を考えている女性で仕事上の配慮をして欲しい、という要望のある人は、それ専用の枠組みでの人事になるようです。(医局所属中)
- 当直を減免する一方で、週末(土曜)の日中勤務を負担して頂くなど。(2010年代まで医局所属)
- 留学を家庭の都合で中止していただきました。(医局所属中)
- 介護はこれまで聞いたことはないが、出産・育児に際してはある程度の配慮がなされていた。しかし、あるセクション担当になるのを嫌がった女医さんが陰口をささやかれていたことや、堂々と育休を取得した男性医師が(普段から遅刻やらすっぽかしが多かったのもあるが)だいぶ逆風を受けていたのも事実である。(2010年代まで医局所属)
次回は、今回のアンケート調査でm3.com会員の皆様から寄せられた、休暇や懇親会のルールについてご紹介します。
調査期間:2018年6月12日~2018年6月18日
対象者:m3.com医師会員
回答者数:1000人
回答者属性:医局在籍中の医師471人、過去に医局在籍していた医師529人
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