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自由診療領域の転職市場、コロナ禍で変化は?

2020年10月26日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大以降、医師人材紹介会社への登録は増加傾向にあります。求職者から多い相談内容の1つとして挙げられているのが「自由診療領域」への転職です。コロナ禍において、自由診療領域の転職市場はどのような影響を受けているのでしょうか。医師人材紹介会社の自由診療領域専門のコンサルタントに話を聞きました。

ニーズが増えた、減った領域とは?

——コロナ禍において、自由診療領域の転職市場に変化はありましたか。

医師人材紹介会社への転職相談は増加傾向にあります。2020年10月現在、少し落ち着いてきましたが、春夏にかけては自由診療領域を希望する求職者が増えたように感じています。そのような方に自由診療領域を希望する理由を聞いてみると、「リスク回避」、「もともと興味があった」といった回答が多い印象です。

「リスク回避」は、具体的には健康面と経済面においてです。ご家族から「COVID-19の感染リスクが少ない医療機関で働いてもらえないか」と相談され、そのリスクが比較的少ない自由診療が選択肢になっていることもあります。自由診療は、ほとんどが完全予約制であり、基本的に健康な方が受診されます。何かしらの症状がある方はほぼ来院しないので、一般的な保険診療のクリニックよりは感染リスクが低いといえるでしょう。

また、COVID-19で勤務先の収益が下がり、給料が減ってしまった方が「自由診療なら年収を維持・向上できるのではないか」と考え、保険診療よりも高年収を実現しやすい自由診療へのシフトを検討するケースです。

「もともと興味があった」は言葉通りです。COVID-19を機に働き方を変えたいと考える方が、もともと興味があった自由診療領域に挑戦する、といったケースもあります。あとは、以前に比べて自由診療領域の理解度が上がっており、それによって「自由診療をやりたい」と言いやすくなってきていることも考えられます。

——自由診療の市場感について教えてください。

ひとくちに自由診療と言っても、領域によって違いがあります。

美容外科はあまり影響がなく、医療機関によってはニーズが増えているところもあります。コロナ禍で在宅勤務の方が増えたので、術後のダウンタイムを気にせず治療を受けに来る患者さんが多いためです。

美容皮膚科領域は外出をしないので人前で肌をさらすことがない、マスクをすると肌が見えない、セルフケアの時間が増えて肌がきれいになったなどの理由から、春夏は一時的に患者さんが減っていましたが、現在は少しずつ患者さんが戻ってきています。医師採用のニーズも高まってくるでしょう。

医療脱毛、AGAは横這いで、再生医療は多岐にわたるので一概には言えないですが、インバウンド(訪日外国人)に力を入れていた法人は患者さんが激減してしまい、厳しい状況です。

医師の応募10倍のクリニックも

——自由診療領域を希望する求職者が増えると、その分、採用ハードルも高くなるのではないでしょうか。

その通りです。某美容外科クリニックでは、これまで1カ月に3~4人の医師から応募があったのに対し、応募数がピークだった春夏は月30~40人に増えていた事例があります。なかでも、20~30代からの応募が増えていたようです。

それだけ応募が殺到すると、医療機関側もチェック項目を厳しくしないと対応しきれません。某クリニックでは、1次面接をクリアすれば最終面接でしたが、2次面接をはさむようになりました。

経営の順調な法人では、これを医師採用の良い機会と捉え、今でも採用に積極的です。ご興味がある先生は、採用枠が埋まらないうちに応募をご検討されることをお勧めしています。とはいえ、まずは情報収集が必要でしょう。どんな働き方をするのか、面接でどのような受け答えが求められるかは、私たちコンサルタントに聞いてくださればお伝えできます。ご相談いただければと思います。

——採用されやすい医師の傾向はあるのでしょうか。

美容領域においては、即戦力となる経験者が採用されやすいです。未経験の先生の場合、「これまで何をしてきたか」というのはあまり問われません。やる気だったり、転職理由が前向きであるかだったりが見られます。

未経験・経験者に共通して言えるのは、転職・応募の理由をしっかり説明できることが重要ということです。具体的には、(1)なぜ転職をするのか、(2)なぜこの領域に興味を持ったのか、(3)多くのクリニックがある中で応募先を決めた基準・理由は何か―の3点です。自由診療領域でどんな医師になりたいかもよく聞かれるので、答えられるようにしておきたいところです。

しかしこうした質問は、保険診療領域での転職だと聞かれない、あるいは、軽く聞かれる程度のことも少なくないため、どのように答えたらいいか迷う先生もいらっしゃいます。そういう場合は、企業での転職経験があるご家族・お知り合い、私どものようなコンサルタントに回答案を見せてフィードバックをもらっておくと、面接でも先生の想いが伝わると思います。

今後のキャリア形成に向けて情報収集したい先生へ

医師の転職支援サービスを提供しているエムスリーキャリアでは、直近すぐの転職をお考えの先生はもちろん、「数年後のキャリアチェンジを視野に入れて情報収集をしたい」という先生からのご相談も承っています。

以下のような疑問に対し、キャリア形成の一助となる情報をお伝えします。

「どのような医師が評価されやすいか知りたい」
「数年後の年齢で、どのような選択肢があるかを知りたい」
「数年後に転居する予定で、転居先にどのような求人があるか知りたい」

当然ながら、当社サービスは転職を強制するものではありません。どうぞお気軽にご相談いただけますと幸いです。

エムスリーキャリアは全国10,000以上の医療機関と提携して、多数の求人をお預かりしているほか、コンサルタントの条件交渉によって求人を作り出すことが可能です。

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