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消化器内科の盲点? 急性期以外のニーズとは―診療科目別のキャリアプランvol.3

2020年4月13日

専門医を取得した後、医師はさまざまな経験を積み、多くの選択を重ねて自分自身のキャリアを築いていきます。しかし、フェーズによってはキャリアの悩みや課題が出てくることも。医師のキャリアに精通した医師人材紹介会社のコンサルタントが、診療科目別のキャリアについて語る本シリーズ。今回は消化器内科について、エムスリーキャリア・コンサルタントの斎藤朋子氏にお話を伺いました。(取材日:2020年1月29日)

キャリアを左右するのは「内視鏡へのこだわり」

——消化器内科専門医を取得した医師は、その後、どのようなキャリアを築いていくのでしょうか。

30代半ばまでに専門医を取得する先生が多いです。科目の特性上、消化器内科は内視鏡にこだわりのある先生が多いため、内視鏡のニーズが高い医療機関で勤務したいとお考えになる先生が多いです。

内視鏡を極めたい先生は、消化器内科専門医を取得した後、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)といった内視鏡治療の研鑽を積むほか、消化器内視鏡専門医を取る選択肢もあります。この場合、緊急内視鏡検査および治療に対応している高度急性期の病院でスキルを磨いていく必要があります。一方で、消化器内視鏡専門医を取るほどではないけれども、内視鏡業務に携わりたい先生もいらっしゃいます。その場合は、一般急性期や検診ニーズが高い病院などで内視鏡を経験していくキャリアを選択することが多いです。また、内視鏡にこだわらない場合、慢性期などの病院で一般内科医として勤務されることを選択されたり、緩和ケアや訪問診療に進まれたりする先生もいます。

このように、内視鏡へのこだわりの強さでキャリアが大きく2つに分かれると思います。

——消化器内科医の先生方から寄せられる、キャリアの相談事項はどういった内容が多いですか。

前提として、年齢問わず、内視鏡をキャリアの主軸に考えていらっしゃる先生が非常に多いです。

キャリアについてご相談される先生は30代よりも40代半ば以降の先生が多いと思います。大学医局の関連病院は急性期の対応で忙しい病院が多く、当直や夜間の呼び出しに対応する必要があります。40代になると激務に追われるのは体力的に厳しいと感じる先生方が増えていきます。そのため、医局のしがらみと忙しさから離れたい、ワークライフバランスを変えたいとご相談をいただくことが多いです。50~60代になると、急性期病院で継続していくのは現実的ではなくなっていきます。このように体力的な限界を感じつつも内視鏡は外したくないとお考えの先生からは、人間ドックや検診の求人はないだろうかとお問い合わせをいただくこともございます。求人の多寡は希望勤務地によって左右されるものの、全国的に求人数は限られるといえるでしょう。ただ盲点になりやすいのが、慢性期病院です。慢性期も内視鏡検査のニーズがあるため、内視鏡を続けたい先生はあたってみるのも一手です。

ニーズが高く、経験を重ねるほど選択肢も多い

——消化器内科医が経験を活かして転職に成功した事例を教えてください。

まず、50代前半の医師の事例をお話しします。現在の病院で内視鏡の件数が少なく、病院の方針に変化があったためにご相談をいただきました。

先生は一般企業にお勤めされていた経験があり、年齢を重ねてから医師になられた方でした。先生ご自身は消化器内科医として働きたい、内視鏡の資格も取りたい、内視鏡の症例も上部、下部どちらもある程度確保して働きたいと意欲はあるものの、体力的にバリバリ働くのは難しいとのことでした。内視鏡の上部ができる求人はある程度あるものの、下部までとなると施設が限られます。先生から伺っていた希望勤務地では、ご意向に沿ったご提案が難しい状況でした。そのエリアから少し範囲を広げて探してみたところ、先生がご希望する経験を積める医療機関が見つかりました。お住まいから通勤できる範囲ということもあり、ご提案したところ、ご縁があり入職となりました。現在は、これまでのご経験を活かしつつ、スキルアップが図れる働き方ができているそうです。

続いて、60代前半の医師の事例をお話しします。大学医局に所属し、関連病院で部長兼副院長を務めている先生でした。急性期病院のため、救急対応や休日のオンコールなども対応されていましたが、年齢もあり、ワークライフバランスを考えたいというご相談をいただきました。これまでの医師人生で培ってきた内視鏡はどうしても続けたいとのご要望があり、また知人の先生が内視鏡業務を中心にした働き方で高年収を得ていたことから、ご自身もある程度の収入を確保したいという思いもお持ちでした。

通勤圏内に、検査などで上部も下部も内視鏡をしている慢性期に近い病院があり、ご提案しました。通勤時間も働き方も負担がなさそうとのことで面接をしたところ、入職の運びとなりました。時間的な余裕があったので、「年収を確保するためにも、非常勤の勤務ができる病院があればプラスアルファで勤めたい」とご希望があり、入職先の病院に相談したところ、「勤務日以外の日は非常勤の勤務をして構わない」と回答があり、現在は非常勤の勤務もされていらっしゃいます。

——キャリアについてお考えの消化器内科医に、アドバイスをお願いします。

地方の場合、症例を積める医療機関が大学関連病院であることが多いので、大学医局に所属して研鑽を積んだ方が良いケースが多いです。都市部の場合、医療機関が多いこともあり、医局をそこまで気にすることなく急性期の病院を選べることもあります。その一方で、病院にいる医師の数によっては症例のバリエーションが限られる、症例数を確保できない可能性がある点に注意が必要です。

以前よりも目が見えにくい、手が震えるようになってきたなど加齢に伴う身体の変化は、業務をするうえで支障をきたしがちです。消化器内科の場合、内視鏡を扱う際に手が震えてくるなどの問題を避けられません。それでも、ご活躍の場は多いでしょう。この領域は患者が多く、急性期から慢性期までのどこでも強いニーズがありますから、どんなステージの医療機関からも求められています。 高齢になっても内視鏡を続けたい場合、医療機関が重視するのは、先生がどのぐらいスキルをお持ちかという点です。例えば、一般の先生が午前中で10件済ませる検査を熟練しているので12件できる、カメラが得意など、明確なスピードやスキルがあると良いアピールポイントになります。

ご自身がやりたいことや、得意なことが明確に提示できると、選択肢の中からよりスムーズにキャリアチェンジができます。転職するうえで優先したいこと、大切にしたいことを整理して、ご自身が働くうえでどこが適切なのかを見極める必要があります。不安に思うことやお悩みがありましたら、ご希望に沿ったキャリアプラン形成のためにお手伝いをさせていただきますので、一度ご相談いただければと思います。

斎藤 朋子
さいとう ともこ
 

国立大学外国語学部卒業後、新卒で大手ホテルに入社。フロント勤務を経て、ブライダルプランナーとして勤務。その後、エムスリーキャリアに入社。現在は、医師キャリア事業部常勤紹介グループで、北海道のエキスパートコンサルタントを務める。2019年上期MVP賞を受賞。

今後のキャリア形成に向けて情報収集したい先生へ

医師の転職支援サービスを提供しているエムスリーキャリアでは、直近すぐの転職をお考えの先生はもちろん、「数年後のキャリアチェンジを視野に入れて情報収集をしたい」という先生からのご相談も承っています。

以下のような疑問に対し、キャリア形成の一助となる情報をお伝えします。

「どのような医師が評価されやすいか知りたい」
「数年後の年齢で、どのような選択肢があるかを知りたい」
「数年後に転居する予定で、転居先にどのような求人があるか知りたい」

当然ながら、当社サービスは転職を強制するものではありません。どうぞお気軽にご相談いただけますと幸いです。

エムスリーキャリアは全国10,000以上の医療機関と提携して、多数の求人をお預かりしているほか、コンサルタントの条件交渉によって求人を作り出すことが可能です。

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