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整形外科医が備えるべき2つの転機―診療科目別のキャリアプランvol.4

2020年4月14日

専門医を取得した後、医師はさまざまな経験を積み、多くの選択を重ねて自分自身のキャリアを築いていきます。しかし、その過程でキャリアの悩みや課題が出てくることも。医師のキャリアに精通した医師転職支援会社のコンサルタントが、診療科別のキャリアについて語る本シリーズ。今回は整形外科について、エムスリーキャリア・コンサルタントの澤辺壮太氏にお話を伺いました。(取材日:2020年1月29日)

場合によっては、勤務先が限られることも

——整形外科専門医を取得した医師は、その後、どのようなキャリアを歩むのでしょうか。

大学病院の医局で勤務をされる方、将来的に開業を考えてクリニックなどで経験を積む方と、大きく2つに分かれると思います。将来的に開業を決意している方や、継ぐべき医院があるなどの事情でもなければ、専門医としての目標が初期段階から定まっている方は少ないです。研修しながら方向性を決めていくケースが多いといえます。

整形外科の場合、専門分野に特化するルートと、幅広く様々な症例に対応するルートに分かれます。前者の場合、専門分野には外傷、人工関節(股関節)、人工関節(膝)、脊椎、手外科などがあり、それぞれの症例経験を重ねて専門性を突き詰めていきます。この場合は大学医局に所属して、関連病院など、特定の症例が多く集まる病院で研鑽を積みます。一方で、限定的な分野の経験だけを積んでいる場合、勤められる病院が限られてしまいます。そうならないためにも、非常勤勤務で幅広い症例に触れる機会を増やすなど、意識的に間口を広げることをおすすめします。

割合としては、幅広く様々な症例に対応できるように経験を積む先生の方が多いです。このようなルートに進む場合は、さまざまな症例が集まる病院での経験が必要になります。現在、医師の需要が高くなっているのも、「得意な分野があるけれども、幅広くなんでも診られる」という整形外科医です。

メスを持てる時期は、それほど長くない

——整形外科医の先生方から寄せられるキャリア相談には、どういったものが多いのでしょうか。

医学部と国家試験にストレートで合格していれば、専門医を取得後、30代半ば頃で一人前になるといえます。その前提でお話ししますと、ある程度専門性を身につけた30代後半~40代の方から「医局を退局して次のステージで活躍したい」といったご相談を受けることが多いです。なお、専門性を身につけられる医療機関は大学医局がカバーしていることが多いのですが、都市部と比べると地方の方がその傾向が強い印象があります。

年代別でみると、30代では、大学医局の人事ではなく、外の世界に出て、自分のキャリアを自分でデザインしていきたいと考える先生もいらっしゃいます。今まで限られた世界にいたために、「どんな条件で、どんな働き方ができるのかわからない」とご相談をいただきます。「子どもの将来のために、収入を増やしたい」という明確なご要望をお持ちの先生もいらっしゃいます。 40代は、医師として脂が乗っている時期ということもあり、日々忙しく働き、将来を考える余裕がないことが多いようです。一方、40代後半や50代になると、体力的な負担から第一線から退くことを検討するなど、いわゆるセカンドキャリアを考え始める先生もいらっしゃるので、業務負荷の軽減やQOLの向上を実現したいといったご相談が増えてきます。ただ、これは整形外科医に限らず、医師全般にいえることです。

——整形外科医のキャリアのターニングポイントはいつ頃なのでしょうか。

一番大きなターニングポイントは、「いつメスを置くか」を判断するところだと思います。ある程度の年齢になると、目がかすむ、手先に震えが出るといった身体的な衰えが生じてきます。その症状が出始めた際に、今後もオペをやっていくかどうかを見極めなくてはなりません。

整形外科医がメスを持って活躍できる時期は、だいたい30代半ばから50代と、それほど長くはないという現実があります。大学病院などの大病院だと、先輩医師が控えているために、突き詰めたい症例を充分に経験できないこともあります。そのため、30代後半から40代の時間を無駄にしたくない気持ちが強く、大学医局を離れて民間の病院でキャリアを積む選択をする先生もいます。ただ、大学医局を離れる場合、高度な専門性が求められる機会や、希少な症例に対応できる機会はどうしても少なくなります。設備面に関しても物足りなさを感じてしまうことがあるかと思います。大学医局に所属して働くか、そこから抜ける働き方をするか、を選ぶのも、1つのターニングポイントといえるでしょう。

オペをしなくてもいいから、病院にいてほしい

——転職を選んだ場合の事例を教えてください。

まず、大学卒業後に医局に所属し、今回の転職を機に退局した30代前半の医師のケースです。 専門医取得後、外傷の比較的多い2次救急病院で研鑽を積まれていました。外傷の他に、人工関節にもご興味をお持ちでしたが、人工関節の症例に関わることが難しい状況が続き、勤務先の院長先生にご相談をしても前向きな返答がいただけていませんでした。また、時間外勤務が多く、ご家族との時間を確保したいご希望もお持ちでした。いくつかご提案をさせていただき、次のような医療機関への入職が決定しました。

環境 :人工関節のスペシャリストから指導があり、症例に関与できる
勤務時間:週40時間→週32時間で週4日~4.5日での調整が可能
当直 :あり→なし
年収 :1,200万円→1,500万円

面接には院長先生や指導医、その後も院長先生をはじめ数人に何度か会う機会を設けていただき、職場や人間関係の雰囲気も含めて問題なさそうなことをご確認いただきました。 先生は今回、300床以上の急性期病院から100床未満の小規模病院へご転職されました。規模が大きい病院だと年次ごとの給与規定がありますが、小規模病院だといい意味で自由度が高いため、条件交渉の余地があります。また、転職先の医療機関は小規模とはいえ、整形外科に注力しています。人工関節のスペシャリストが在籍しているため、先生が希望されていた人工関節領域の指導を受けることができるようになりました。

続いて、大学医局に所属していた50代医師の事例をお話しします。 大学ご卒業後、医局人事で関連病院にご勤務されていました。部長として、診療のほか、若手医師の指導、学会活動など非常に多忙を極めており、頑張って働いてきたものの、希望を考慮してもらえない状況でした。また、医局の雰囲気は非常に緊張感があるもので、そこでの人間関係に関わることに疲れているご様子でした。転職にあたってのご要望は、(1)十分に手術をしてきたのでメスを置いても良い、(2)チームワークの良い環境で仕事をしたい、(3)最低でも現収維持、できれば年収アップをはかりたい、(4)家族との時間を作りたい―といったものでした。複数の候補の中で興味をお持ちいただき、次のような医療機関に入職されました。

環境 :経営者はじめスタッフ間の雰囲気が非常に良く、お互いが尊重しあう職場環境
勤務時間:週5日→週4.5日 家族との時間が確保可能
当直 :あり→なし
年収 :1,600万円→2,000万円

整形外科はリハビリ病院などでのニーズもありますが、年収アップとなると難しいため、「雰囲気が良い」×「整形外科クリニック」を優先してお探ししました。以前よりお付き合いのある法人で、経営者やスタッフの雰囲気が非常に良好な施設がございましたので、医師にご紹介しました。経営者とその他スタッフとお会いいただいたところ、その場で法人の雰囲気の良さをご理解いただき、ご入職に至ります。待遇も結果的には良くなり、現収以上の年収提示をしていただけました。

整形外科は求人数が多い診療科の一つであり、手術ありの場合は高めの年収提示が期待できます。なかには、相場より高い水準を提示する医療機関もあります。非常に魅力的に映りますが、なぜその水準が出るのかについての確認も必要です。手術件数、医師体制、勤務日数、時間外対応、麻酔科/循環器内科/脳神経外科の体制など、その給与水準を出す理由が必ずあります。その点含めて、ご判断いただけますと幸いです。

——キャリアについてお考えの整形外科医へのアドバイスをお願いします。

整形外科医の先生のニーズは、地域を問わず、高いです。

例えば、救急対応で受け入れ可能かという問い合わせが来た場合、頭から胸、腕まで広い部位に外傷のある患者さんですと、専門科の医師には受け入れ可能か判断ができません。ジャッジができるのは整形外科の医師です。整形外科医がいると救急の受け入れを高い確率でできるため、病院としてはオペをしなくてもいいから一人はいてほしいという事情があります。

高齢者が増えている現在、腰痛や変形性関節症などの外来対応や入院患者さんのリハビリができる点も病院には嬉しいところです。将来的には、訪問診療や介護老人保健施設といった道も増えてくると思われます。というのも、訪問診療を展開している医療機関様から「運動器を診られる医師はいませんか」とご相談を受けることがあるからです。そのため、整形外科の場合、ある程度年齢の高い先生でも招聘いただけるところが多く、年齢を問わず先生が望んだ待遇を得られやすい傾向にあります。

医師としてキャリアを築いていくなかで、ライフイベントの発生に伴う生活の変化、先生ご自身の加齢など、ライフステージの変化は誰にでもやってくる問題です。その変化の渦中で、「このままで良いのだろうか」というお悩みが生じたり、「どんな選択肢があるのか知りたい」とお考えになったりすることもあるかと思います。転職にはメリットもあれば、デメリットもございます。もしよろしければ、医師として働くうえで実現したいこと、大切にしたいことをお知らせください。先生にとって、最適なご提案ができるよう努めたいと思います。

澤辺 壮太
さわべ そうた
 

高校在学中から20歳までレーシングドライバーとして活躍。日本大学卒業後、大手住宅メーカーの戸建住宅営業を経て、エムスリーキャリアに入社。現在は、医師キャリア事業部 常勤紹介グループで、関西エリアのエキスパートコンサルタントを務める。2012年下期準MVPを受賞。2017年上期顧客満足賞を受賞。

今後のキャリア形成に向けて情報収集したい先生へ

医師の転職支援サービスを提供しているエムスリーキャリアでは、直近すぐの転職をお考えの先生はもちろん、「数年後のキャリアチェンジを視野に入れて情報収集をしたい」という先生からのご相談も承っています。

以下のような疑問に対し、キャリア形成の一助となる情報をお伝えします。

「どのような医師が評価されやすいか知りたい」
「数年後の年齢で、どのような選択肢があるかを知りたい」
「数年後に転居する予定で、転居先にどのような求人があるか知りたい」

当然ながら、当社サービスは転職を強制するものではありません。どうぞお気軽にご相談いただけますと幸いです。

エムスリーキャリアは全国10,000以上の医療機関と提携して、多数の求人をお預かりしているほか、コンサルタントの条件交渉によって求人を作り出すことが可能です。

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