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経営・採用

体力ない若手VS体力ある70代 一緒に働くなら?―究極の選択アンケートvol.3

2021年3月11日

「AとBの医師、どちらかを採用しなければならないとしたら、どちらを選びますか――?」。m3.com会員医師1605人が回答した「究極の選択アンケート」から、“医師が欲しがる医師像”を探ります。今回のテーマは、一般的に中途入職で不利になりがちな高年齢。「〇〇に強い70代医師」と「〇〇に弱い30~40代医師」を比較したとき、「一緒に働きたい」「採用したい」と思う70代はどんな要素を備えている医師でしょうか。

体力がある

1つ目は体力です。
「体力がある70代医師」と「体力がない30~40代医師」を比較すると、70代医師を選択する人が52.6%で、30~40代をやや上回りました。
回答者が高齢になるほど年齢よりも体力を重視しており、50代は62.0%、60代以上は69.0%が「体力がある70代医師」を選んでいます。高年齢の医師は、自身の状態と照らし合わせて「高齢でも問題なさそう」と考えやすいのかもしれません。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります

「体力がある70代」を選んだ割合が多い診療科は、精神科(62.8%)、産婦人科(58.5%)、内科一般(58.5%)などで、「年齢は、体力面での心配を裏付ける事実なので、体力があれば高齢でも全く問題ない」(精神科)、「産婦人科は体力勝負だと思っているから」(産婦人科)といった声が挙がりました。
一方、「体力がない30~40代」を選んだ割合が多い診療科は、呼吸器科(61.5%)、血液科(61.1%)、小児科(59.5%)など。「70歳代の方に月に何度も当直をお願いするわけにはいかない」「70代ならいずれにしても健康上の理由で突然の退職があり得る」(小児科)という懸念があるようです。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります

また、職位が高いほど、「体力がある70代医師」を選ぶ傾向にあります。医長クラス、医員クラスで70代を選択した人は50%を切っているのに対し、院長クラス(正副含む)は60.9%、理事クラスは57.5%に上ります。採用を判断する機会が多い層からは、体力が重視されそうです。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります

医師は体力勝負!「70代ならあと10年は働ける」との声も

採用時に医師を評価する機会が多い部長クラス以上が「体力のある70代」を選んだ理由を見てみると、「70代はまだ現役」「あと10年は働ける」など、70代でも問題ないと考える人のほか、「医師は体力勝負」「(体力がない人を採用するのは)急な休みや退職のリスクになる」など、体力がない人が勤務することでの業務や病院運営への影響を考える人が多いです。

体力重視派の声(部長クラス以上)
※一部編集しているものもあります

  • 医師で70代はまだ現役
  • 70代でも十分働ける人材はいます
  • 離職までの時間は短くても戦力になる
  • あと10年働いてもらいます
  • スキルが同じなら年齢は問わない
  • 見た目が若ければよい
  • 医師不足の解決方法の一つであり、体力があればまだまだ続けられる
  • それくらいの年代のドクターが複数勤務中
  • 医師は体力勝負なので
  • 急な休み、退職のリスクを回避したいから
  • 体力がないと、過重労働に耐えられないから

モチベーションが高い

2つ目はモチベーションの高さです。
「モチベーションは高い70代医師」と「モチベーションは低い30~40代医師」を比較すると、全体としては70代医師を選択した人が51.9%、30~40代医師を選択した人が48.1%とほぼ半々でしたが、職位別に見てみると、院長クラス(正副含む)は58.4%が70代を選びました。ほかの高職位層も、部長クラス(正副含む)55.1%、理事クラス53.8%が70代を選んでおり、採用に携わる機会が多い部長クラス以上は、「モチベーションは高い70代医師」を支持する人の方が多い結果となりました。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります

また、年代別では20代、30代、40代は、「30~40代だがモチベーションが低い医師」を選ぶ割合が過半数を占めますが、年齢が高くなるほど、「モチベーションが高い70代」を評価する割合が高くなり、50代は57.3%、60代以上は67.1%が70代医師を選んでいます。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります

診療科では、「モチベーションが高い70代」を選ぶ割合が多い順に、腎臓科(64.9%)、耳鼻咽喉科(61.3%)、産婦人科(61.0%)となっており、「後輩を育てて頂く」(産婦人科)などの理由を挙げています。「体力がない30~40代」を選ぶ人が多い診療科は、内分泌(60.0%)、呼吸器科(59.0%)、脳神経科(58.8%)で、「ご年配の先生にはお願いしづらい」(呼吸器科)、「70歳は健康問題などのリスクが高すぎる」(脳神経科)などの回答がありました。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります

「いくつになってもやる気のある医師は必要」

部長クラス以上の医師が70代医師を選んだ理由を見てみると、70代であることよりも、モチベーションが低い医師へのマイナスイメージが強いようです。モチベーションが低い医師のパフォーマンスや、周囲のスタッフへの影響、離職のリスクなどを懸念する人が多く見られました。逆に、年齢にかかわらずモチベーションが高い人を採用することで、院内の活性化、スタッフへの好影響などを期待していることがわかります。

モチベーション重視派の声(部長クラス以上)
※一部編集しているものもあります
  • モチベーションが高い方がよく働くので
  • モチベーションが高い方が、病院全体が活性化するから
  • 経験を生かした診療を行ってほしい
  • 元気であれば、病院特性や現場への理解がある方が良い
  • 高齢でもモチベーションが高いとスタッフには良い影響がある
  • 精神の持ちようで年齢差はカバーできる
  • 短期勝負であれば、モチベーションの高い経験豊富な方を選びます
  • 熱心さは患者さんに伝わるもの
  • 70代の採用は正直厳しいですが、モチベーションが高ければ70代でも仕事を頑張ってくれる方が良いです。30~40代でモチベーションが低い方は仕事しないと思います
  • いくつになってもやる気のある医師は必要
  • チーム医療ではモチベーションの低さは全体に影響を及ぼす
  • モチベーションが低いといざというときに職場に来てくれない可能性があるから
  • モチベーションが低いと医療事故につながる
  • モチベーションの低い医者と一緒に働くのは辛い

ストレスに強い

3つ目はストレスに強いことです。
「ストレスに強い70代医師」と「ストレスに弱い30~40代医師」の比較では、全体では70代を選ぶ人が51.4%、30~40代を選ぶ人が48.6%とこちらもほぼ半々でした。しかし、体力、モチベーションと同様に職位や年代が高いほど70代医師を評価する傾向にあり、職位別では院長クラス(正副含む)の58.0%、年代別では60代以上の68.5%が70代医師を選んでいます。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります
※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります

診療科別では、「ストレスに強い70代医師」を選んだ割合が多い順に、耳鼻咽喉科(61.3%)、産婦人科(61.0%)、腎臓科(59.5%)が並び、「ベテランに色々ご教示いただきたい」(腎臓科)などを理由としています。
一方で、「ストレスに弱い30~40代医師」を選んだ割合が多い診療科は、泌尿器科(62.2%)、眼科(61.8%)、血液科(61.1%)で、「ストレスの多くない仕事を与える」(泌尿器科)で、「70代になると体調が常に心配であるから」(血液科)といった声がありました。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります

ストレス耐性がある医師は、高齢でも長く勤められそう

部長クラス以上の医師が70代医師を選んだ理由を見てみると、ストレスに弱い医師に対して、仕事を休みがちになったり、早期離職したりするなどの懸念を抱える人が多いです。高齢の医師が中途入職する際は今後の勤務年数を気にされがちだと思いますが、ストレス耐性があることをアピールすれば「長く、安定して勤めてもらえそう」と安心されるかもしれません。

ストレス耐性重視派の声(部長クラス以上)
※一部編集しているものもあります
  • 70代でストレスに強いのはすごい
  • ストレスにさらされる職業なのでストレスに強くないといけない
  • ストレスに強いなら年齢は無関係
  • ストレスに弱いと、突然仕事を休む可能性がある
  • ストレスに弱いと早期離職のリスクあり
  • 一緒に働きやすい
  • 頑張ってくれたらよい相談相手になりそう
  • 健康管理が大切(メンタルヘルスの維持は重要)
  • 現実的なマンパワーが必要なので
  • 高齢でも、新たな職場に適応できる人材が欲しいと思う
  • 精神的に安定している方を望む
  • 長く勤められそうだから
  • 療養型病院なので、高齢でもストレスに強い方が良いです

高齢医師を採用する際「スキル」は評価されにくい

逆に高齢医師が評価されにくいのが「スキル」です。
「スキルは抜群の70代医師」と「スキルは乏しい30~40代医師」の比較では、66.0%が30~40代医師を選びました。
また、すべての年代で「30~40代だが、スキルは乏しい」医師を選ぶ人が過半数を占めていますが、60代以上は70代を選んだ人が49.1%おり、評価が割れています。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります

ほとんどの診療科でも「30~40代だがスキルは乏しい」医師を選んだ人が多く、内分泌が唯一、70代と30~40代を選んだ人がそれぞれ50.0%に分かれました。30~40代を選んだ医師が81.3%と最も多かったのは消化器外科で、理由として「若ければ、育てればいいが、年齢が高い人がこれからのITを使う仕事にどこまでついてこられるかが不安なので。高齢では、健康面も心配」と回答しています。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります

職位別でも、すべての職位で60%前後の人が30~40代を選びました。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります

伸びしろがある若い世代への期待

これまで紹介したポイントと、「スキル」にはどのような違いがあるのでしょうか。部長クラス以上が「スキルは乏しい30~40代医師」を選んだ理由で最も多かったのは「30~40代ならスキルにまだ伸びしろがある」というものす。70代のスキルが高い医師について「体がついていかない」「威張る医師が多い」というマイナスイメージも強いようです。

「スキルは乏しい30~40代」を選んだ理由(部長クラス以上)
※一部編集しているものもあります
  • これからの伸びしろに期待できる
  • スキルは今後長い目で見て身につけていけるもの
  • 教育しだいでスキルアップは可能だから
  • 給料を安くできる
  • 70代の医師にそれ程のスキルは望まない
  • 70代はいくらスキルがあっても身体が動かないでしょう。とりわけ産科領域は瞬時の判断と対応が必須
  • 70台でスキル抜群の医師は概して威張る

以上、医師が一緒に働きたいと思う70代医師の特徴についてご紹介しました。皆さんが考える、同僚として魅力的な70代医師はどのような方ですか?

【調査概要】
期間:2020/12/3~12/4
対象医師:m3.com登録医師1605人

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