医師の採用面接において、オンライン面談・面接を取り入れる医療機関が少しずつ出てきています。中には、オンライン面接を経て内定を得た医師も。忙しい医師にとって、場所を選ばずに対応できるオンライン面談・面接は、大きなメリットがあります。今回はオンライン面接の事例、オンライン面接を経験した医師や医療機関の声をご紹介します。
4月以降、オンライン面談・面接の相談がしやすくなっている
医師の転職活動は、一般的に次の流れで進んでいきます。
① 情報収集
② 応募
③ 面接
④ 入職前交渉
⑤ 退職前交渉
転職活動を進めるにあたり、意外と骨が折れるのが応募~面接のプロセスです。医師自身が休みを取りにくい、休みが取れたとしても医療機関とスケジュールが合わない……というように、思うように日程調整が進まないことが往々にしてあります。しかし、COVID-19流行の影響で、オンライン面談・面接を取り入れる医療機関が少しずつ出てきているため、その相談がしやすくなっているようです。
オンライン面談・面接のメリットはいくつかありますが、最大のメリットは面談・面接のために移動する必要がなく、場所を選ばずに行える点ではないでしょうか。2020年3~6月のオンライン面談・面接に対する医療機関、医師の考えについて、医師人材紹介会社のコンサルタントは次のように語ります。
「医療機関からは、2020年3月時点だと『オンラインで面談・面接するとは……?』と戸惑う反応が多かったのですが、緊急事態宣言が発令された4月以降は選択肢の1つにとらえ、話が進むことが増えたように感じます。 ただ、どの医療機関でも同じとは言えず、オンライン化の対応は二極化している印象を受けますね。小回りがきく小規模病院やクリニックは前向きに対応しています。ガバナンスが厳しい大規模な医療機関は消極的な傾向が見られましたが、少しずつ導入されています。
医師については、オンライン面談・面接をご提案すると『この状況ならオンラインの方がいいですね』と受け入れる先生が増えつつあります。逆に先生から『オンラインで対応していただくことは可能でしょうか』と相談をいただくこともあります。
双方に通じることですが、おそらく、オンライン会議システム、オンライン飲み会などが一般化していたこともあり、オンライン上で面談・面接するハードルが下がってきたのではないかと思われます」
参考記事:新型コロナ、医師転職への影響は?転職活動の進め方をコンサルタントが解説(後編)
事例:勤務後~当直までのスキマ時間を使って面接
次に、オンライン面接の実施後、内定を得た事例をご紹介します。
内科系専門医を取得予定の30代前半の女性医師。今年、一般企業に勤める方と入籍予定。現在は大学医局に所属しており、当直が月10~15回と多忙。先輩の女性医師が妊娠した際に、時短勤務を希望していたが医局に取り合ってもらえず、最終的にケンカ別れをしてしまったのを目の当たりにしていた。将来的に子どもが欲しいこともあり、結婚を機に、家庭に重きを置いた働き方にシフトしようと思い、転職活動を開始した。
転職で実現したいことはQOLの向上。未経験だが健診業務にあたりたいという希望を持っていた。数年後を見据えて、産休・育休制度が整っていること、院内保育があることも重視していた。
コンサルタントは医師の希望を聞いたときに、「専門医を取得しようとしていて臨床に熱心なのに、健診業務にシフトするのは本意でないのでは……?」と感じた。医師のキャリアの選択肢を狭めずにおける求人はないだろうかと思い、求人をいくつかピックアップした。そのうちの1つが、内科外来専従の求人を出していた総合病院だった。総合病院であれば、医師が専門医を取得した後、専門科目の外来でも経験を積める可能性があるとも考えていた。院内託児所もあり、産休取得・復帰の実績もあるところだった。 医療機関側に匿名で医師を紹介したところ、「ぜひ面接に来てください」と話が進んだ。しかし、医師が多忙で平日休みもなかなか取れないことから、オンライン面接を提案。医療機関からの了承も得られたので、医師の退勤~当直までのスキマ時間に、勤務先の個室でスマートフォンにイヤフォンを使って実施することになった。
面接は、オンライン会議システムを利用。全員が揃ってから、医師が「今日はよろしくお願いします」とご挨拶をしてスタート。医師も、医療機関も、オンライン面接は初めてだったため、「時代の流れを感じますね」と雑談から始まり、和やかな雰囲気で面接が進んでいった。 医師は事前に質問したいことをピックアップしていたため、やり取りがスムーズだった。面接担当者として女性の内科部長が同席し、「子育てを考えると不安よね」と医師の気持ちに寄り添う言葉をかけていた。入職したら求めたいこと、想定される働き方、基本的に部長自身が面倒を見て、他にどのような先生がカバーしてくれるか、など具体的な話をしてくれた。
面接後、双方から「オンラインでも思った以上に人柄や雰囲気がわかる」との感想が漏れた。内科部長の人柄が好印象だったこともあり、医師からは院内託児所の見学を希望する前向きな反応。医療機関からは、医師の挨拶、受け答え、言葉使いなどから一般常識や人間性などがわかったと同じく好印象を抱いていた。医療機関の「スキルよりも人間性を重視したい。それがクリアできれば内定を出したい」という意向もあり、面接後に内定が出た。
まずは面談でオンライン経験を
医師の採用面接で少しずつ「オンライン化」が進みつつある現状を、コンサルタントは次のように語ります。
「実は私も、最初はオンライン化に懐疑的でした。実際に会うことで、信頼感が得られるし、相手の空気感もわかると思っていたんです。けれども、オンラインでの面談や面接を経験してみて、思った以上に情報量を得られることがわかりました。例えば、人柄やマナーについては、面談・面接を定刻通りに始められるか、言葉遣いは丁寧か。興味・関心の高さは、画面越しにメモをとっているか、事前に聞きたいことをまとめて臨んでいるか……といった面から把握することができます。
講習会や勉強会はオンライン上で開催されることが増えてきていて、そのメリットを実感している方もいらっしゃるでしょう。とはいえ、いきなり面接をオンラインでするのは戸惑いも大きいと思います。まずは面談でオンラインを経験してみてはいかがでしょうか。一度体験することで、オンライン面接への不安や抵抗感も薄れるのではないかと思います。オンラインでのやりとりが選択肢に入ることで、これまで以上に話を聞く機会が増え、転職活動にも広がりがでるのではないでしょうか」
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また、条件交渉では、先生から直接は言いにくいことをコンサルタントが代わりに伝えるため、精神的な負担も少なく済むかと思います。
転職をご検討中でしたら、ぜひご連絡ください。
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