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転職時の条件交渉、希望を叶えるポイントは?―医師の転職カルテvol.18(前編)

2020年3月31日

転職サイトを眺めていても、自分の条件に合う求人票が見つからない……。医師人材紹介会社には、時折このような相談が寄せられます。しかし、実際には難しい条件でも転職を実現できたケースは少なくありません。医師人材紹介会社のコンサルタントが医療機関と条件交渉をすることで、求人票とは違った待遇が認められる場合があるのです。交渉の余地がある条件とは、どんなものなのか。また、どのようにして医療機関と交渉するのか。経験豊富なコンサルタントに聞きました。

「これは無理だろう」と思う条件が叶う理由

例えば次のような転職の条件は、なかなか叶いにくいと思っていないでしょうか。

  1. 求人票に記載された金額以上の年収がほしい
  2. 当直やオンコールを免除してほしい
  3. 勤務日数が週3日などと少なくても、常勤として雇用してほしい
  4. 単身赴任になるため、引越費用や帰省時の交通費を医療機関側に負担してほしい
  5. 専門的な手技を維持するため、新たに医療機器を導入してほしい
  6. 健康上の事情に配慮してほしい(スロープの設置、専属クラークの配属など)
  7. 入職時期がどうしても1~2年くらい先になってしまう

しかし、実際にはこうした条件も医療機関が受け入れる場合があります。なぜでしょうか。 「医師の採用は医療機関にとってウェイトが大きい(重要度が高い)からにほかなりません。医療機関側が望む医師像とマッチングすれば、ある程度、柔軟に検討してもらえることは少なくないのです。コンサルタントとの交渉次第で、採用に前向きになる医療機関もあります」(コンサルタント)。

交渉しやすい医療機関は2パターン

コンサルタントによると、条件交渉の余地がある医療機関は2パターンに分けられるそうです。一つは、医師の採用に困っている医療機関です。 「自院の規定を変更してまで医師を迎えたいということは、それだけ採用が難航しているということです。逆にいうと、医師からの人気が高く、採用に困っていない医療機関は交渉が難しい傾向があります」 もう一つ、個別のニーズを持っている医療機関も、交渉がうまく進みやすいそうです。 「例えば、新たに診療科を立ち上げたい、特定の診療科の体制を強化したいといった医療機関があるとします。そうした重要なポジションを任せられる医師がいつもタイミングよく応募してくるとは限りません。医療機関のニーズと、医師のスキルや経歴がうまく合致した場合は、難しい条件でも検討してもらえるケースがあります」

また、医療機関の規模や経営母体などによっても、交渉のしやすさは変わってきます。 「小規模なクリニックは個人事業に近いため、理事長や院長の一存で求人の条件を変更してもらえる場合があります。それに対し、大きなグループ病院は組織としてのガバナンスが強く効いているため、交渉しにくいといえます。医療機関の規模が大きいほど、就業規則や他の医師とのバランスを考慮する必要があるためです。また、中小規模であっても公立病院は勤務条件がある程度一律に決まっており、融通が利きにくい傾向があります」

診療科や地域によっても交渉しやすさが変わる

ここからは、医師が求める条件ごとに、医療機関側の対応を見ていきます。

勤務時間や休日

時短勤務にしたい、週末は必ず休みたいといった条件は、「院内の人員調整でカバーできるか」によって、交渉の成否が分かれます。 「訪問診療は、他の医師と訪問件数を分担しやすいため、比較的、柔軟な勤務時間が認められます。病棟管理だけの勤務も、看護師などがカバーできる部分があるので、時短で働きやすいかもしれません。一方、透析管理など休日対応が多い診療科は、週末を休みたい希望は通りにくいといえます。小児科は、夕方に親と一緒に来る患者が多いため、時短勤務ができないことがあります」

引越費用や帰省時の交通費

転職に付随するこれらの費用を医療機関が全額負担するケースは、全国的に見えると多くはありません。しかし、地域によっては柔軟に対応してもらえるようです。 「医師不足が顕著な地域は、そうした経費を払ってでも医師を招聘したいという医療機関があります。また、東海地方のある県は、もともと遠方の大学から医師を受け入れてきた文化があり、高い交通費を出す傾向があります。交渉次第では、帰省費用なども医療機関に負担してもらえるかもしれません」

難しい交渉は、自分からの譲歩も必要

医療機器の導入

大型の医療機器は時に億単位の費用がかかります。しかし、医療機関側にとって導入を決めるポイントは金額よりも採算性。その機器の使用頻度や患者増の見込みを勘案して、十分に採算が取れると判断できれば、導入してもらえる可能性があります。ただし、条件がつくことも。 「医師が入職するので高額な医療機器を導入したのに、思いがけず退職してしまうケースもないではありません。医療機関によっては、入職後ある程度の期間が経ってから機器を購入します」

当直やオンコールの免除

医師数が限られている地域では、厳しい傾向があります。ただ、どうしても当直やオンコールに対応できない場合は、何らかの譲歩をすることで希望が叶う可能性があります。 「例えば、昼間のうちにカルテを丁寧に書いたり、週2回は遅番を引き受けたりして、他の医師に負担が行きすぎないようにするのです。他の医師とのバランスが崩れない働き方であれば、医療機関としても検討する気になるようです」

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