転職活動をしていると求人票の情報が全てだと思い込んでしまいがち。しかし、地域特性や生活環境が異なるような土地への転居を伴う転職の場合、求人票には記載されていない“思わぬこと”が入職後の決定的なミスマッチにつながることがあります。今回は、都市部の医師が地方勤務を希望する場合、面接や病院見学で確認しておきたいポイントを解説します。
顔合わせに近い医師の面接 質問は積極的に
面接の目的は、医師と医療機関が顔を突き合わせて「相互理解を深めること」。
医療機関が医師に質問を投げかけ、採用可否を判断する―というのはもちろんですが、医師にとっても、その医療機関が自分にマッチするかどうか見極める、大切な機会でもあります。印象を損ねない配慮は必要ですが、医療機関から質問を受けるだけではなく、気になる点を積極的に確認するようにしましょう。面接に合わせて病院見学をセッティングしてもらえる場合も多いので、気になる設備はあらかじめ伝えておくと実物を見せてもらえる可能性もあります。
なお、地方の医療機関では、面接後に食事会が設定されていたり、居酒屋を何軒もはしごしたりというケースが多々あります。宿泊を伴う面接の翌日には、事務方の先導のもと、観光案内が組まれているケースも。地域のことをよく知ることができるまたとない機会なので、時間に余裕があれば参加することをおすすめします。
面接時に確認しておきたいポイント1:多い症例、患者層
全国には、慢性疾患を持つ高齢患者が多い地方もあれば、小児科を標榜していなくても小児疾患を診るのが当たり前になっているような地方もあります。こうした地域事情は、その地域では「当たり前のこと」になってしまっているために採用担当者が求人票に盛り込んでいないケースもあるので、どんな症例・患者層が多いかは、確認しておくのが得策でしょう。
なお、一般的に言えば都市部と比べると地方の方が、幅広い症例・患者層を診なければならない傾向にあります。とりわけリハビリテーション病院、療養型病院のような慢性期病院ほど、その傾向が強く、外科医が内科の入院患者を持ったり、整形外科を診たりする事例は珍しくありません。マイナー科目でも全身管理がついてまわるので、プライマリケアのスキルが強く求められる環境だと言えそうです。
面接時に確認しておきたいポイント2:勤務条件
勤務医が少ない地域では当然、勤務条件も厳しい傾向。「医師が足りないため、負荷の大きい状況下での急な夜間対応もやむなし」といった状況があるのも事実です。
ニーズが高いとはいえ、医師も身体が資本。期待に応えようとし過ぎて身体を壊してしまっては、元も子もありません。医療機関の人員体制はもちろん、休暇中の代替人員や、いざという時にコンサルトできる協力病院の有無、法人や地域住民が医師の勤務環境に理解を持っているか―などによって肉体的・心理的負荷は大きく異なるため、バックアップ体制は事前に確認しておきましょう。
ちなみに、タフな勤務条件の場合、面接の時点で、自身の負担を軽減させる対応を求めるのも1つ。「将来的に非常勤医師を雇用し、週の数日は必ず休めるようにする」「夜間は複数名体制にする」「休日の代診体制を整える」など、具体的に提案をしてみても良いでしょう。もし入職後の不履行が懸念されるのであれば、契約書に法人側が勤務環境の改善を図る旨、盛り込んでおく方法もあります。
面接時に確認しておきたいポイント3:福利厚生
医師の間でも見逃してしまいがちなのが、福利厚生です。
転居を伴う転職を行う場合、家族を残して単身赴任する医師も多く存在します。地方には、こうした医師をターゲットに労働環境を整え、休日は自宅でゆっくり過ごせるよう、福利厚生の一環として、帰省費用を負担する医療機関も。家族が単身赴任先を訪ねる場合に、家族分の交通費を負担してくれるケースもあります。
このほか、法人によっても微妙に異なるのが、学会出張の取り扱い。旅費や休暇の取り扱いはもちろん、代診体制についても含めて確認しておくと安心です。
懸念事項の洗い出しを
どの医療機関にも、大なり小なりその土地特有の患者層、古くから根付いている風潮などがあります。人の移動が少ない地方ほどその傾向が強く、都市部の “当たり前”が通用しないことも考えられます。入職後に「こんなはずではなかった」とならないよう、想定される懸念事項を洗い出し、事前に疑問を解消できるように努めましょう。
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