I・Uターンや単身赴任の転職というと、ハードルが高いように感じるかもしれません。しかし、医師としての方向性や、ライフスタイルと照らし合わせ、あえてその選択をする医師もいます。職場環境も生活環境も一変させる決断に至るまで、どういった経緯があるのでしょうか。医師紹介会社のコンサルタントが、実際にあったケースについて語ります。
北海道→福岡にIターン。ライフスタイルに合った働き方を実現
Case1 麻酔科医(専門は緩和ケア)、60代、女性
北海道にある病院の緩和ケア病棟で、フルタイム勤務をしていた。60代に入り、冬の寒さが堪えるようになったことから、温暖な地への移住を検討。結婚した娘が福岡県に住んでおり、同県によい印象を持っていた。同じく麻酔科医の夫とも意見が一致し、夫婦そろって移住。福岡市内の総合病院で週4日、夜間休日対応なしの条件で勤務している。QOLが向上し、満足している。
転職前に働いていた北海道の病院は、夜間休日の呼び出しが多く、ハードな職場環境でした。そのまま勤務することもできましたが、年齢的・体力的な問題を考慮し、転職を決意。まったく知らない土地へのIターンは選択肢を絞るまでが大変ですが、この医師の場合は、福岡県に娘さんが住んでいたことが決め手となりました。さらに、「温暖な地で、無理のない範囲で緩和ケアを続けたい」という希望が明確だったことから、すぐに転職先が決まりました。
Iターンに興味のある医師は、自身に何かしらの地縁がないか。どんな環境で、どんな医療を提供したいか考えてみるとよいでしょう。なお、このケースでは夫婦ともに医局に属していましたが、すでに医局人事には乗っていませんでした。長年の貢献もあって無理な引き留めはされず、スムーズに転職することができました。
故郷の病院へ単身赴任。麻酔科から内科へ転科した女性医師
Case2 麻酔科医、60代、女性
麻酔科業務に不満はなかったが、「患者と直接触れあい、話ができる仕事をしたい。訪問診療にも携わってみたい」と希望。人材紹介会社に登録し、当初は東京都内で転職先を探していた。しかし、60代で麻酔科から内科への転科は容易でなく、都内には条件に見合う医療機関がなかった。より広域の勤務地を検討したところ、出身地の熊本県で希望に合致する病院が見つかった。内科の全身管理を学び、訪問診療のスキルを身につけた。なお、配偶者は企業の顧問を務め、子どもはすでに独立しているため、単身赴任を選択した。
60代での転科、Uターン、単身赴任と、極めて大きな決断をしたケースです。当初は難航するように思えた転職でしたが、コンサルタントと膝をつき合わせて話し合うことで好転しました。
「この先生が医学部に入学した頃は、まだまだ女性医師が珍しかった時代です。医師を志した理由を伺うと、『故郷の熊本で、自分や家族を診てくれた“町医者”に憧れて』とのことでした。ちょうど熊本県内のある病院が医師を募集しており、偶然にも求職者の同級生や、研修医時代の同期だった医師が複数在籍していました。内科医は顔見知りですし、麻酔科医から在宅医に転科した医師もいます。安心して内科を学べる環境があったのです」(エムスリーキャリア、コンサルタント)
現在、この医師は、病院が用意した熊本市内の借家を拠点にしています。母親が暮らす実家までは車で1時間の距離で、必要があればすぐに赴くことができます。夫が暮らす東京にも、月1回のペースで帰っています。生まれ育った故郷に貢献していることに、大きなやりがいを得ているそうです。
前出のコンサルタントは、「医師の転職は『そもそも何をしたかったのか』を深掘りし、明確なビジョンを持つことで、満足のいく結果につながります」と話します。自身の原点を見つめ直し、地方で働くことへの関連性があるならば、I・Uターンを視野に入れることで道が開けるかもしれません。
従来の価値観に とらわれない働き方をしたい先生へ
先生の「やりたい」を叶えるためには、従来の働き方のままでは難しいとお悩みではありませんか。
- 医師業と、自分のやりたいことを兼業したい
- 病院・クリニック以外で医師免許を生かして働きたい
もし上記のようなお考えをお持ちでしたら、エムスリーキャリアのコンサルタントにご相談ください。
エムスリーキャリアは全国10,000以上の医療機関と提携して、多数の求人をお預かりしているほか、コンサルタントの条件交渉によって求人を作り出すことが可能です。