企業(産業医・MD・社医)

企業ニーズにどう対応?産業医の業務とは

2013年12月20日

産業医の業務内容は、労働安全衛生法で詳細に定められています。ただ、業種や個々の事業所によって労働者や労働の性質は大きく異なるため、産業医は事業所ごとの特徴を見極めて、法的に定められた業務や、健康の管理・増進に必要な提案をすることが求められます。

労働安全衛生法が定める業務

産業医の職務として、労働安全衛生規則14条では下記のように詳細に定めています。

  1. 健康診断、面接指導等の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置、作業環境の維持管理、作業の管理等労働者の健康管理に関すること。
  2. 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
  3. 労働衛生教育に関すること。
  4. 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。

上記に加え、産業医は事業所に対して労働者の健康管理に必要な勧告を行うことができます。また、少なくとも月1回職場環境の作業方法や衛生状態を巡視し、健康を害するおそれがあるときには、必要な措置を講じなければならないことになっています。しかし、労働安全衛生規則等の省令の改正に伴い、事業所から月1回以上産業医に所定の情報が提供されており、事業者の同意がある場合は、産業医による巡視頻度を少なくとも2カ月に1回とすることが可能となりました。

産業医による面接―月100時間を超える時間外労働、企業によっては独自基準も

このほか1996年からは、月100時間を超える時間外労働を行い、心身の疲労が感じられると申し出た者に対して、事業所は医師による面談の機会を設けなければならないことになっています。労働者健康状況調査(2012年)によると、過去6カ月間で、実際にこうした面接指導を実施した事業所の割合は4.3%。過重労働者へのメンタルヘルス対策は企業の効率性を高める意味でも重要なテーマとなっており、企業によっては「80時間以上の残業が2か月続いた場合に医師との面接実施」などと独自に定めたり、労働者側からの申し出の有無に限らず、定期的に産業医との面接機会を設定したりしている場合もあるようです。

企業ごとに労働者の特徴に違い

産業医に求められる法的な業務内容の大枠は上記のようになりますが、もちろん、業種ごとに労働者の特徴は異なるため、それに応じて産業医の業務の進め方は異なってきます。労働者の勤務時間が不規則だったり、所属する事業所を離れて仕事をすることが多かったりする場合には、産業医との接点を持ちにくくなってしまったり、健診への参加率が下がったりしてしまう場合があるようです。また、同じ事業所内であっても部署によって、業務内容や労働者の属性(男女差、平均年齢、雇用形態など)は異なり、抱える健康リスクも一様ではないようです。

その企業特有のリスクに目を光らせる

労働者の属性や労働内容、それによる健康リスクの中身が変わってくれば、産業医が日常的に意識すべき疾患、法律や規則も変わってきます。建設業や造船業などでの高所作業や、化学メーカーなどでの有害業務に携わる労働者に対しては、労働安全衛生規則などで定められた安全対策がきちんと守られているかどうか、確認する必要が生じます。

有害業務が少ない場合でも、たとえばデスクワークが多いために運動不足になりやすかったり、生活習慣病への対応が求められたりする傾向もあります。また、IT業界や情報通信業界などは労働者の平均年齢が低いのが特徴的ですが、一方で、年金の受給開始年齢の引き上げに伴って定年延長や、再雇用が義務化された結果、労働者の高齢化への対応が求められている企業も多く存在します。産業医には、個々の業種や事業所の特徴、また特有の健康リスクに着目し、必要な措置を講じる必要があります。

産業医の判断は重大な影響を及ぼす

このほか産業医が行う重大な職務として、労働者の就業可否の判断があります。就業可否は、労働者自身の健康を守るために重要ですが、労働者の生活にダイレクトに影響を及ぼすため慎重な判断が必要です。就業可否の判断が適切になされなければ、場合によっては自動車運転事故など、第三者を巻き込む重大な事態にもつながりかねません。産業医には、時に厳しい判断を求められる場合もあります。

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